日暮れの街に歌をうたう

  • 最初の歌

    最初の歌 陽が落ち、レジスタンスとエッグマン軍の交戦は明日に持ち越しとなった。建物はすでに破壊し尽くされ、辺りは不気味なほど静まりかえっている。こちらの勝利は確定したようなものだとほくそ笑みながら、廃墟と化した街を歩いた。 そして違和感に気…

  • 再会の空

    再会の空 エッグマン軍の脅威は去った、とは言っても、街はまだまだ復興中。あっちこっちでトンカンやってるし、私のお店も完全とは言えない。そんな中で外食しようとか酒を飲もうっていうような酔狂はいないわけで、つまるところ、私の暇はまだまだ続くって…

  • 名前と約束

    名前と約束「そういや、キミの名前を聞いていなかったよ」 パンを買って女に渡すと、調理を始めたところでふと顔を上げた。こちらを見ながらでも手が止まらないのはさすがと言うべきか。 に、してもその通りだ。今まで名乗る機会がなかった……いや、初めて…

  • くれないのキス

    くれないのキス「っと、悪いな兄さん」 夜、すでに馴染みとなった店のドアを開けようとしたところ店から出てきた男とぶつかりかける。男は朗らかに笑うと俺に道を譲った。おそらくは常連か、こう気の良い奴ならアイツと気が合うだろうなと思いながらドアをく…