*Synchronicity夢主
「ずいぶん強くなったね、私が初めて召喚したときよりずっと」
私が目で見ても分かるほど、こいつの魔力は格段に強くなっている。
褒められて気を良くしたらしいこいつは、得意気に鼻で笑う。
「本来のチカラとは程遠いが……まあ、キサマにしては上出来だな」
「と、いうのは」
「みなまで言わせる気か?察しの悪いことだな」
いやこいつの言いたいことは理解できる。そのくらい長い時間行動をともにしているのだから。
私が驚いたのはその内容だ。遠回しにしろ、こいつが私を褒めているのだ。
お前にしては上出来、つまり、お前のおかげで強くなれたと。
「……なにをうす気味悪い笑顔を」
「いよいよ私も認められたってことかなって」
そう言うと、今度は苛立たしげに舌打ちをする。
「つけあがるな。言っただろう、私の本来のチカラとは程遠いと」
それでも褒めてくれたことには変わりない、と返そうと思ったが、悪くなった機嫌が更に悪くなりそうなので、曖昧に笑うにとどまった。
「……ところで」
こいつの視線が動いた。反射的に追うと、そこには、
「クルーク?」
「ぼぼぼボクだって強くなってやるからな!」
「は?……あ、いっちゃった」
その背中を見つめるのに忙しい私は、魔物のほうが盛大なため息をついたことに気付かなかった。