–マイケル一人称
未登録名前の背中はとても小さい。腰に腕を回して、僕が少し力を入れれば、ぱきりと折れてしまいそうだ。背中だけじゃなく、手も小さいし首だって細い。未登録名前の体は、なにもかもが僕とは違う。
「……マイケル」
腕の中の未登録名前が、おずおずといった調子で名前を呼んだ。
「あの、くすぐったいよ。手とか、首とか」
だってきみが小さいんだよ、と言わんばかりに僕は未登録名前の手のひらを片手でさすりながら、首筋に頬を寄せる。冷たいゴムマスク越しのはずなのに、不思議と未登録名前の体温が伝わる気がした。
後ろから抱きしめているから見えないけれど、きっと未登録名前は真っ赤な顔をしているに違いない。そのくらいのことはすぐに分かってしまうんだ。だって僕は未登録名前のことがだいすきなんだから。
「マイケル、そろそろ離して欲しいよ」
それはだめ。まだきみのこと抱きしめていたい。言葉のかわりに腕に力を込めると、未登録名前は観念したみたいに少しだけ僕によりかかった。それが嬉しくて、僕は未登録名前を抱きしめる力を強くする。
名前を呼ばれると暖かい気持ちになって、触れられるとそこだけ熱に浮かされたみたいになって、すきって言われると、何もかもがとろけてしまいそうになる。こんな気持ちにしてくれる未登録名前のことが、僕はほんとうにだいすきだ。だいすき、だいすき、だいすき、だいすき、だから。
きみを殺したくて殺したくて殺したくてたまらないんだ。
(今日も#name1#は、ぼくの腕の中で何も知らずに甘えている)