ルーイン・コンタクト

ルーイン
コンタクト

「……すごい」

 やっとの思いで遺跡に辿り着いて、最初に出た言葉はそれしかなかった。
 テレビではGUNと交戦中と言われていたはずが、黒いやつらもGUNの姿も見当たらない。ただ遺跡や森に残った傷痕が、どれほどの戦いだったのかを物語っていた。それは先に進めば進むほどに激しくなり、黒いヤツらの残したらしい卵のようなものやドロドロとした管が千切れたり破裂したりしている。っていうか、なんだろう……これ、GUNがやったのかな。それにしちゃあ随分派手にぶっ壊すんだなあ。この遺跡って価値あるものって言ってなかったっけ?
 後先考えずに飛び出したものの、この惨状を見て後悔し始める。戦いだとか全く無縁に生きてきた私が、この中に飛び込んで生きていられる訳がない。それにGUNが引き上げていなかったら、入り込むことさえかなわなかった筈だ。
 が!ここまで来た以上後に引くなんてかっこ悪すぎる!こうなったら絶対にあのハリネズミの情報を掴んでみせる!!

「……あ!!」

 歩き回って疲れてきた頃合い、ようやく誰かの影を見つけた。しかもあれは、目的のハリネズミじゃないか!?いやでも今にも走り出しそう!!

「ちょ、待てーーーーい!!!!」

 声の限り叫びながら走り、ハリネズミの腕を思いっきり掴んだ。……あれ、なんか青い?

「What!? 女の子!?」

「あれ!?人違い!?」

 人違いっていうかハリネズミ違い?こっちは体が青くて目の色がグリーン。すごくキレイなグリーンだなーっていや今はそんなことより!ここにあいつによく似たハリネズミがいるってことはつまりそういうことなんじゃないだろうか!?

「ねえあなた!!ここで黒いハリネズミ見なかった!?あなたにすっごい似てるの!!」

「Ah…もしかしてシャドウのことか?」

「名前は分かんない!!でも多分そう!!」

「っていうと、アイツのことだな」

 青いハリネズミが指差した先、つまり私の背後を向けば。

「……何を騒いでいる。鬱陶しい」

「ああーーいたーーーーー!?!?!?」

「鬱陶しいと言っている!」

 私が探していたあのハリネズミが、ようやく姿を現した。

「シャドウ、お前に用があるらしいぜ」

 促され、シャドウと呼ばれたハリネズミが私に視線を投げた。
 そして逸らした。

「ちょっ無視か!!」

「僕は君のことなど知らん」

「はあああああ!?っておい、どこ行くんだこらー!!」

 叫び声虚しく、シャドウはものっすごいスピードで走り抜けて行ってしまった。ああっせっかく捕まえられたと思ったのにーーっ!!