空からしあわせ

※スカウォまだやってない。ゼルダの口調がわからんので想像。

リンクとゼルダとわたしは、幼馴染。
子供の頃はよく3人で遊んだりしたけど、今はわたしだけ離れてる。
なんでかって?それはとても難しい問題で。
わたしはリンクのことが好きなんだけど、でもリンクはゼルダとばっかりいるんだ。
二人で話してるのをよく見かけるし、すごく楽しそう。
多分、お互い好きあってるんだよ。
だからわたしは、それを遠くから眺めてるしかなくて、いつからか、身を引いた。
叶うことのない恋心をもてあまして、あふれそうになる涙をぎゅっとこらえて。
せめて見つめるだけなら、と、ゼルダに向けられた笑顔を隠れて見ている。
苦しいけど、しかたない。
リンクがしあわせならそれでいい。なんて、強いことはいえないけど。
わたしが割って入ってリンクを困らせるくらいなら、ずっと、気持ちを隠したままでいようと思った。

「ねえ、未登録名前。最近私とリンクのこと避けてない?」

「え」

ゼルダから急に声をかけられて、わたしはどきりとした。

「私たち、なにかしたかしら」

「そ、そんなことないよ!気のせいだよ」

「たまには一緒にお話しましょうよ。リンクも寂しがってるわ」

そんなわけない。
リンクはゼルダがいればいいんだから。
そんなひねくれたことを思ってしまう。

「……わたしはいいよ。二人の邪魔、したくないし」

「え?」

「だって、ゼルダとリンクはお互い好きなんでしょ?」

つい、口調が厳しくなってしまう。
なんて意地が悪いんだろう。ゼルダにあたるなんて。
こんな自分がすごく嫌で、この場から逃げ出したかった。
でも、なぜかゼルダがくすくすと笑いだすので、わたしは首をかしげた。

「な、なに?」

「なんだ、そういうことね。……誤解されてるわよ、リンク」

え、リンク?
ゼルダがわたしの後ろを指差すので、くるりと振り返ると――

「り、リンク!?」

「え、えーと……や、やあ未登録名前」

リンクがぎこちなく手をあげる。
うそ、うそ。今の話、聞かれてた?
けど誤解って、どういうこと?

「あなたのせいなんだからね。ちゃんと自分から話さないとダメよ」

そういい残して、ゼルダは行ってしまった。
後に残ったのは気まずい雰囲気のリンクとわたし。

「えーと。あ、あのな未登録名前」

「な、に」

「俺、ゼルダに相談してたんだ」

「……何を」

「どうしたら未登録名前が振り向いてくれるかって」

「え?」

なんでそんなことゼルダにきくんだろう。
だってリンクがすきなのは、

「俺……未登録名前のことが好きだ。好きなんだ。でも自分から声をかけられなくて……ずっとゼルダにどうしたらいいんだろうって」

「リンク……」

「未登録名前は、俺のこと、どう思う……?」

おそるおそる放たれた言葉は。
まるで子犬のように震えていて。

「……っふ、はは、あははは!」

「未登録名前?どうしたんだ!?」

「だって、リンクおっかしい……声震えてるし……!」

「な、勇気だして聞いたんじゃないか!笑うなよ!」

「ふふ、だって……」

笑ってしまうよ。
だって、

「わたしも、同じ気持ちだったから」

「え、え?」

「わたしもリンクのことが好きだよ」

言うと、リンクはぱっと顔を輝かせた。

「ほ、ほんとか!?」

「ほんと。ずっと好きだった」

「やった!」

「わっ!」

リンクはわたしのことを、ぎゅっと抱きしめた。

「あー嬉しい。ホント嬉しい!」

子供のようにはしゃぐリンク。
ああ、久しくこの笑顔を見てなかった。
わたしも今、すごく嬉しいよ。
まさかあなたと想いが通じるなんて、夢にも思わなかったから。
リンクの暖かい抱擁を一身に受けて、わたしはにこりと微笑んだ。

(まずは引っ越さなくちゃな!)
(ええ!?気が早いよ!)
(だって未登録名前と一緒にいたいから……)
(しょ、しょうがないなあ)
(やった!)

–空勇者は「選択肢に冗談が多い」と聞いてこんなかんじかなーと想像