明日からの風
始めの日
始めの日まだ幼い男の子が、一人で町の宿屋に泊まっている。という話を聞いて、わたしは好奇心からその男の子を訪ねることにした。ハイラル王国から来たらしくて、馬を使ってここまできたとか。随分遠くからきたんだなあ。わたしはわくわくしていた。わたしは…
悲しみと未来
悲しみと未来その翌日、お昼になるとわたしは宿屋に向かった。リンクくんと約束したから。明日また会おうって。……違和感の正体は、まだわからないけれど。でも会いたい。会いたいって気持ちが、すごく強くて。わたしはいてもたってもいられなかった。宿屋に…
君の音色
君の音色今日はおうちの用事で、リンクくんのところに行けなかった。でもせめて挨拶はしたくて、夕方、宿屋のほうに行ってみた。けれどリンクくんはいなかった。わたしはがっかりしながら、家に――――どこからか、笛の音色が聞こえる。聞いたことない曲。誰…
気持ちの名前
気持ちの名前この気持ちはなんだろう。リンクくんといるのは、とても楽しいはずなのに。でも、苦しくもあるんだ。どうしてかなあ。あの「きれいな」顔を見ると、胸がぎゅうっとするんだ。「ねえ、お母さん。リンクくんって、不思議なんだよ」お夕飯を待ってい…
嘘と本当
嘘と本当日が少し傾いて、影が少しだけ長くなったころ。すっかりおなじみになった公園に、リンクくんがいる。わたしは嬉しくなって彼に駆け寄った。「こんにちは!リンクくん」「。こんにちは」にこりと微笑むリンクくんは、寂しそうじゃなかった。やっぱり誰…
「またね」
「またね」「え、もういないって……」宿屋に行くと、リンクくんがもう町を出て行ったことを知った。おかみさんも困った顔をしてため息をついている。「夜は危険だからって、言ったんだけどねえ。どうしても行かなきゃいけない理由ができたんだって、なんだか…
それから
それからここは、とある国のとある町。小さな港がひとつあるだけの、何の変哲もない町。だけどここには、わたしの幸せがぎゅって詰まってる。「ただいまー」「おかえり、リンク!」リンクは、あー疲れた、とか言いながら、ソファーにどさっと座った。「今日の…