ナックルズ

雨、夜、音

 さらさら……と窓の外で音がした。カーテンを開ければそれは、ついに降り出した雨だと気付く。昼過ぎから雲行きが怪しいとは思っていたが夕方になっても降る気配がなかったので、家に帰る頃にはすっかり忘れてしまっていた。 徐々に雨脚が強くなっていく。…

ハートネス・ライアー

“ごめん!彼氏と仲直りしたから今日行けないや!” 約束の時間を30分過ぎたあたりで、なんとなくこうなるとは思ってた。思ってたけど、いざこの文字を目の当たりにすると、深い溜め息もでてしまう。友達が彼氏と喧嘩したのは一昨日じゃなかったか?それで…

天使たちの罪

辺りが赤に染まっていた。比喩ではなく、真っ赤な炎が景色を埋めていた。人がたくさん倒れていた。ぴくりとも動かなかった。その奥で、一人の女の子が泣いていた。「どうして、どうして、」と繰り返していた。ここはどこ、と思った瞬間に、見覚えがあることに…

フェザー

--夢主幼女ある日の昼下がり、俺は久々にステーションスクエアに降りていた。日用品の買出しや最近のニュースなんかは、さすがにエンジェルアイランドでは手に入らないからな。しかし長くマスターエメラルドから離れているわけにもいかないので、さっさと用…

逆チョコ

珍しく街でナックルズを見かけたと思ったら、急にこちらに歩み寄ってきて。「ほらよ」ぽいっと渡されたなにか。「なにこれ?」「……チョコ」「なんで?」「……バレンタイン」え?チョコ?ナックルズが?わたしに?バレンタインだから?「どういう風の吹き回…

約束はいらない

--アニメ2期のこと「ナッコはさ、もしわたしがメタレックスに捕まったら、助けてくれる?」「は?」マスターエメラルドの手入れをしていたナックルズは、わたしの言葉を受けて一瞬呆けた。まあ、当然の反応だと思うけど。「もしもの話だよ。しかも今すぐに…

失墜のロトス

「なんだ、それ」「蓮の種子」「蓮(ロータス)?」「そう」マスターエメラルドの祭壇、その周りには囲むように水が流れている。昔その水辺にしか暮らせない生き物がいたと聞くぐらいだから、植物が育つくらいにはきれいだろうとは思うが。「勝手に植えんなよ…