ババ

純情可憐殺戮障害

 はぁ、ひっ、は、は、 走る男の息は乱れに乱れ、目はぎらぎらと血走りながら涙をこぼす。満月は鬱蒼とした木々に隠れてしまい、眼前の闇を照らすものは何もない。こうなってしまえば頼れるのは音だけだ。けたたましいモーター音と、大きな男の足音から遠ざ…

咀嚼

 ババちゃんの大きな体に包まれていると、まるで頭から丸呑みされるような錯覚を覚えて、いつも少しだけむずむずした。 でもババちゃんはわたしを、特に後ろからぎゅっとするのが好きみたいで、暇があればこうして抱きつくのだった。そのとき、すんすんと鼻…