フレディ

2019年バレンタイン

--フレディ「なんでチョコ持ってねえんだよ!」「夢の中ですよここ」「気合いで持ってこいよ」「夢魔が言うんですかそれ……っていうかチョコ欲しいんですか?」「お前から貰えるモンは全部欲しいなぁ」「かっこいいけど、それ命も含まれてるんでしょうね」…

籠絡

--ややいかがわしい ベッドの上での小さな背中を抱え込み、足を絡める。経験が浅いためかそれだけで面白いほどびくりと体を震わせた。は身をよじって抜け出そうとするが、俺が服の中に手を入れ腹部に這わせると「あ、」と息に似た声を漏らして動きを止める…

一発殴るじゃ済まされない

 おなじみのボイラー室に、フレディさんの姿はなかった。おかしいな、いつもだったら、よく来たなぁ#name1#って大げさに手を広げてくるのに。そして私が、来るもなにもフレディさんが呼ぶんでしょうって言って、そうだったかなと笑う彼を見ているのに…

おかしたりない

「フレディさんは、なんでもできるのね!」 色とりどりのお菓子を出してやれば、はキラキラ輝く瞳で俺を見上げた。テーブルの上にはキャンディやチョコレートやクッキーで埋め尽くされている。 テーブルに寄りかかった俺は、の頭を撫でてやった。さらさらの…

知らぬ存ぜぬ虚無の味

 強く、揺さぶられる。その瞬間わたしの喉から短い悲鳴があがり、それを見たフレディさんは嬉しそうに目を細めた。 わたしの体のあちこちは、フレディさんが与えてくれた熱ですっかりぐずぐずになってしまっていて、彼とわたしの境目なんかとっくになくなっ…

水を切る岸辺

 13日の金曜日。 それはジェイソンが、最もママの声が聞こえる日なんだという。 だから、ジェイソンはこの日が来ると、朝から一人でどこかへ行ってしまう。普段は自分から出かけるなんてほとんどなくて、いつも、このお家でわたしと一緒にご飯を食べたり…

できれば夢なんかじゃなくて

 ぼた、ぼた。 吐いた血が床に滴り落ちる。それでも私は、足を引きずり壁を伝いながら必死に歩いた。 ボイラー室は、薄暗かった。煙こそ漂っているが機械が動いている様子はなく、むせ返るような暑さも目を焼く炎も全く感じられない。音もなく、自分の足音…

ファンタジック・シネマ

 女の子が笑っている。サテンのリボンを付けた白いワンピースの女の子が、くるくる踊っては楽しげに笑っている。まだ小さな女の子は時々つかえて、そのたび照れくさそうにはにかんでいた。不意に女の子が振り返ると、こちらに向かって駆け出した。画面が切り…