マイケル

2019年バレンタイン

--フレディ「なんでチョコ持ってねえんだよ!」「夢の中ですよここ」「気合いで持ってこいよ」「夢魔が言うんですかそれ……っていうかチョコ欲しいんですか?」「お前から貰えるモンは全部欲しいなぁ」「かっこいいけど、それ命も含まれてるんでしょうね」…

カボチャの警鐘

 ぎりぎり、と頭が痛む。割れそうなほどの痛みに息を吐くとマスクの内側が熱くなった。テレビから流れてくる町の浮かれた様子も、もう僕の耳には届かない。 体を動かせば寝そべったソファが悲鳴を上げた。まるで人の喉をきゅうと締め上げるときみたい。人の…

きみを頼るはなし

 きみだけが頼りなんだ。 言葉を発していなくても、マイケルが言っていることはわたしには分かる。それだけ一緒の時間を過ごしてきた仲だから。 だけど、いくらマイケルの頼みでもきけないものはある。それが、マイケルが大事にしてる妹のことならなおさら…

レイン・コール

 まっくらい夜の中にざあざあと降る雨を、ぼんやりと見上げていた。冷たいという感覚ももはやなく、ぬかるんだ地面に足を投げ出しながらコンクリートの硬い壁に背中を預けていた。「しくったなぁー」 豪雨にかき消えてしまうくらいの声で、わたしは独りごち…

呼吸と同義

--マイケル一人称 の背中はとても小さい。腰に腕を回して、僕が少し力を入れれば、ぱきりと折れてしまいそうだ。背中だけじゃなく、手も小さいし首だって細い。の体は、なにもかもが僕とは違う。「……マイケル」 腕の中のが、おずおずといった調子で名前…

焼け付いた瞳

 思えば、マイケル・マイヤーズという男の声を、私は一度も聞いたことがなかった。 マイヤーズ家とは隣近所だったことから、彼の姿を見かけることは多かった。だが彼は、同い年の子どもたちが遊んでいても決して輪に入らず、また声を出しているところも見た…