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	<title>時の勇者 &#8211; 揺れる</title>
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	<title>時の勇者 &#8211; 揺れる</title>
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		<title>Respawn</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/respawn/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 27 Jan 2023 15:13:34 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[たかがゲームで泣くなんて、ばかみたいだと思われるかもしれないけれど、わたしは『時の勇者』がかわいそうで仕方なくて、画面のまえでぼろぼろ泣いてしまった。 今まで頑張ってきた冒険のすべてがなかったことになって、一生懸命助けた...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/respawn/" title="続きを読むRespawn">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>たかがゲームで泣くなんて、ばかみたいだと思われるかもしれないけれど、わたしは『時の勇者』がかわいそうで仕方なくて、画面のまえでぼろぼろ泣いてしまった。<br />
今まで頑張ってきた冒険のすべてがなかったことになって、一生懸命助けたゼルダ姫との出会いも最初からやり直しだなんて。<br />
こんなのってあんまりじゃないか。いくら世界を再生させるためだからって、勇者の、リンクの気持ちはどうなっちゃうの。<br />
もしわたしがこの場にいたなら、そんなのありえないけど、もしいたらリンクのこと思いっきり抱きしめて、今までよく頑張ったねって言ってあげられるのに。<br />
リンクの旅を最初から最後まで全部知ってるの、わたしだけなんだから。<br />
ゲームのプレイヤーであるわたしだけ。</p>
<p>わたし。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>「……未登録名前？」</p>
<p>呼ばれて目を覚ますと、リンクがわたしの顔を覗き込んでいた。</p>
<p>「いつもより遅かったから、起こしに来たんだけど」</p>
<p>「あ、そうなんだ。ありがと」</p>
<p>上体を起こして、ぐっと伸びをした。<br />
いつもより多めに寝たせいか、頭がぼんやりしている。少し外で体操でもしてこようかな、とベッドから降りようとすると、リンクがなぜか不安そうな顔をしていた。</p>
<p>「リンク？どうかした？」</p>
<p>「えっと……」</p>
<p>言いにくそうにリンクは視線を落として、</p>
<p>「寝ているとき、未登録名前が泣いてたから。なにか悲しい夢でもみたのかって思って」</p>
<p>そう言えば、頬が濡れている気がする。でも、夢をみた覚えがない。</p>
<p>「大丈夫だよ。多分、リンクの旅の夢をみてたんだよ」</p>
<p>「僕が時の勇者だったときの？……不思議だよね。誰も覚えてないはずの旅なのに、未登録名前は全部知ってるんだから」</p>
<p>知っている、というよりは、目の前でみたように頭の中に映像が残っているから更に不思議だ。<br />
いつの頃からあるこの不思議な記憶は、リンクと初めて出会ったときに呼び起こされた。初対面だというのにわたしはぼろぼろ泣いてしまって、リンクを困らせてしまったのを覚えている。</p>
<p>「でも嬉しかったよ。未登録名前だけが、僕のことを覚えていてくれた」</p>
<p>「だから好きになった？」</p>
<p>「それだけじゃないよ」</p>
<p>ちょっとむっとして言うあたり、リンクの子供っぽさが見えて、わたしはくすくす笑ってしまった。</p>
<p>「ごめん、分かってるよ。わたしも、リンクの旅を知ってるから好きってだけじゃないし」</p>
<p>もちろんそれも大きな要素ではあるけれど。<br />
わたしが彼を好きになった理由は、他にもたくさんある。</p>
<p>「そだ。リンク、朝ごはんたべた？」</p>
<p>「あ、まだ」</p>
<p>「じゃあちゃちゃっと着替えて作るから、一緒に食べよう」</p>
<p>「うん！」</p>
<p>そしてこれからも増えていく。だってわたしたちは、一緒に暮らしているのだから。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>始まりは些細</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e5%a7%8b%e3%81%be%e3%82%8a%e3%81%af%e4%ba%9b%e7%b4%b0/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 27 Jan 2023 15:11:31 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[「ねえリンク」 「な、なに？」 テーブルに頬杖ついて、じいっと僕のことを見つめていたが突然口を開いたものだから、僕は少したじろいだ。 彼女の癖なのだが今だに慣れない。というのは、彼女はなんと他の世界（ニホン、っていったか...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e5%a7%8b%e3%81%be%e3%82%8a%e3%81%af%e4%ba%9b%e7%b4%b0/" title="続きを読む始まりは些細">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>「ねえリンク」  	</p>
<p>「な、なに？」</p>
<p>テーブルに頬杖ついて、じいっと僕のことを見つめていた未登録名前が突然口を開いたものだから、僕は少したじろいだ。<br />
彼女の癖なのだが今だに慣れない。というのは、彼女はなんと他の世界（ニホン、っていったかな）からやって来たらしく、この世界で見るもの全てが目新しいからとよく質問をしてきた。<br />
他の世界からやってきた、ということに疑問を持ったことはない。僕自身、時間を超えた経験があるから、そういうこともあるだろうなと思っていた。<br />
今度はどんなことを聞いてくるのだろう。</p>
<p>「どうしてリンクの耳は長いの？」</p>
<p>「え？」</p>
<p>質問の内容は、僕からすれば当たり前のことばかりだった。<br />
つまり、深く考えたことがないものばかり。</p>
<p>「ええ、っと……確か、ハイラルの民は神様の声をよく聞くために耳が長くなったって」</p>
<p>いつか城下町で聞いた昔話を思い出しながら言った。<br />
すると、彼女は眉間に皺をよせて、なにやらぶつぶつ言い出した。</p>
<p>「すると、耳が長いほうが音がよく聞こえるということかな？確かに耳介にはそういう作用が……いやでも」</p>
<p>未登録名前は、どんな疑問でも、なんでも深く考える。<br />
僕にとっての当たり前が、未登録名前にとっては当たり前じゃない。<br />
彼女といるとそれに気づかされて、驚かされてばかり。<br />
だから、僕は。</p>
<p>「……リンク？なに、笑ってるの？」</p>
<p>「あ、ううん。なんでもない」</p>
<p>未登録名前と一緒にいるのが、大好きなんだ。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>夢より現実</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e5%a4%a2%e3%82%88%e3%82%8a%e7%8f%be%e5%ae%9f/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 Jan 2023 11:06:24 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[めぐる 「え、あ、あれ？」 わたしはポケットの中を一生懸命探った。 けれど期待した、あるはずの手ごたえはない。 手さげかばんのほうに入れたのかも、とかばんの中を探したけれど、やっぱり目的のものはなかった。 うそ、どこかで...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e5%a4%a2%e3%82%88%e3%82%8a%e7%8f%be%e5%ae%9f/" title="続きを読む夢より現実">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>めぐる</p>
<div style="height:80px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>「え、あ、あれ？」</p>
<p>わたしはポケットの中を一生懸命探った。<br />
けれど期待した、あるはずの手ごたえはない。<br />
手さげかばんのほうに入れたのかも、とかばんの中を探したけれど、やっぱり目的のものはなかった。<br />
うそ、どこかで落とした？あんな大事なものを？<br />
わたしは全身から冷や汗が出るのを感じた。<br />
どうしよう。どうしよう。頭はそれでいっぱいになり、他になにも考えられなくなった。<br />
どこで落としたんだろう。ここに、カカリコ村に戻る前は、どこにいたっけ？<br />
ええと、確か朝起きて、牧場でミルクを買って。それから林で食べられる野草を採って――ああだめ、範囲が広すぎる。せめて村の外に行っていないのであれば、見つかったかもしれないけど。<br />
これでは絶望的だ。わたしはスカートのすそをぎゅっと握り締めて、あふれそうになる涙をこらえていた。<br />
泣いたってどうにかなるものじゃないのに。むしろどうにもならないのに。<br />
自分が悪いのに……。</p>
<p>「ねえ、そこの君？」</p>
<p>不意に呼びかけられた。<br />
一瞬わたしのことだとは分からなくて、振り向いたけど、周りをきょろきょろと見回した。<br />
その様子を見ていた人……わたしに声をかけた青年は、「君だよ、君」とわたしに向かって言った。</p>
<p>「え、と。なにか、用？」</p>
<p>金髪碧眼の、とてもきれいな顔立ちをした青年だった。いや、少年と青年の間くらいかな？<br />
とにかくこの村の人ではないことは、すぐに分かった。初めて見る顔だったから。<br />
青年は左手で、なにかを差し出した。</p>
<p>「これ、君の落し物じゃないかな」</p>
<p>「あ！これ！」</p>
<p>それはまさにわたしが捜し求めていた、一枚のハンカチ。</p>
<p>「ありがとう！もう見つからないと思った……！」</p>
<p>両手でハンカチを受け取ると、わたしはぎゅっと胸に抱きしめた。</p>
<p>「とっても大事にしてるんだね」</p>
<p>他の人からしたら、ただの水色の……いや、もうだいぶ古いものだから、少し色あせてしまったハンカチに見えるだろうけど。<br />
わたしにとっては、一生の宝物だ。</p>
<p>「うん。これは……昔出会った子がくれたの」</p>
<p>「なんていう子？」</p>
<p>「うーん……それが名前を聞きそびれちゃって。もう７年も前だから、顔もよく覚えてなくて……でも」</p>
<p>「でも？」</p>
<p>「不思議な子だった。わたしと同じくらいの年なんだけど、なんていうのかな。雰囲気がね、大人びてるっていうか、とにかく不思議で。少ししか話はしてないんだけど、引き込まれるような感じがして」</p>
<p>「……そうなんだ」</p>
<p>「まだ城下町が賑わってたころ、わたしがその子と別れたくないよーってぐずってね。あ、その子旅をしてるって言ってたから。それで、その子がじゃあいつでも僕を思いだせるように、って、その子の瞳と同じ色をしたこのハンカチを買ってくれたの。それからは、これがわたしの宝物なんだ」</p>
<p>あの時のことは、今でも忘れない。<br />
顔は思い出せなくても、笑い声とか仕草とか、手のひらの暖かさだとか。</p>
<p>「また何回でも会えるよ」って言ってくれた言葉だとか。</p>
<p>思い出せるものは他にもたくさんある。<br />
わたしの、もう一つの宝物だ。</p>
<p>「あっごめんね、一方的にこんなこと話しちゃって……」</p>
<p>初対面の人にする話じゃなかったと思い、慌てて謝る。<br />
けれど、青年はなぜか嬉しそうだった。</p>
<p>「気にしないで。いい話だったよ」</p>
<p>青年が微笑んだ。その笑顔があんまりきれいだったから、わたしは少し照れくさくなって視線を泳がせた。</p>
<p>「そういえば、どうしてこのハンカチがわたしのだって分かったの？」</p>
<p>嬉しくて忘れていたけど、この人とわたしは初めて会うから、これがわたしのものだっていうのは、知ってるはずないと思うんだけど。</p>
<p>「君から落ちていくのを見たからだよ」</p>
<p>「あ、なんだ。そうだったの」</p>
<p>それなら、納得。</p>
<p>「ねえ、よかったらお礼がしたいんだけど……」</p>
<p>わたしの大事なものを拾って届けてくれたから、どうしてもなにか、お返しがしたかった。<br />
けれど青年は少し困ったように頬をかいた。</p>
<p>「ごめん。これから行かなきゃいけないところがあって」</p>
<p>よく見ると、青年は背中に剣と盾を背負っていた。<br />
じゃあこの人も旅をしているんだ。<br />
それなら引き止めるわけにはいかない。</p>
<p>「そっか。それなら仕方ないね」</p>
<p>仕方ないけど、残念だ。その気持ちが隠せず、わたしはうつむいた。<br />
旅の途中ということは、これから遠いところに行くんだろうか。<br />
今度は、いつここに来るんだろうか。<br />
それとも、もう。</p>
<p>「また何回でも会えるよ」</p>
<p>弾かれたように顔をあげた。</p>
<p>「それじゃあね」</p>
<p>わたしがなにか声を出す前に、青年は立ち去ってしまった。<br />
あの言葉は。でも。彼は。<br />
わたしは、青年が立ち去ったほうを、いつまでも見ていた。</p>
<div style="height:80px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>記憶は</p>
<div style="height:80px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>わたしは、買ってもらったハンカチを見つめながら、昨日の少年のことを考えていた。<br />
名前、ききそびれちゃった。わたしも名前、教えてない。<br />
また何回でも会えるって、言ってたけど、旅をしてるなら、今度いつここにくるかわたしには分からない。<br />
でもまた会いたい。もっときみのこと、知りたいよ。<br />
はあ、とため息をつく。すると頭上から影がふってきて。<br />
顔をあげると、</p>
<p>「きみ！」</p>
<p>「言ったでしょ。また何度でも、って」</p>
<p>少年はにこっと笑って、こう言った。</p>
<p>「名前、教えてなかったと思って。僕はリンク。君の名前は？」</p>
<p>わたしは元気よく、惜しみない笑顔を向けて答えた。</p>
<p>「わたしは未登録名前！よろしくねリンク！」</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>（リンク、っていう子だったよ）<br />
（そうなんだ。僕も、リンクっていうんだよ）<br />
（え……？じゃ、じゃあ）<br />
（また会ったね、未登録名前）</p>
<div style="height:80px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>――そうしてまた、何度でも。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>Water Garden</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/water-garden/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 Jan 2023 10:19:38 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[「きみって旅人なの？」 通りを歩いていたら、頭上から声が降ってきた。 女の人の声だった。細くてきれいな声をしてて、一瞬聞きほれたけど、あわてて声の主を探した。 すぐにその人は見つかった。 そばの家の開け放した出窓から、ひ...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/water-garden/" title="続きを読むWater Garden">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>「きみって旅人なの？」</p>
<p>通りを歩いていたら、頭上から声が降ってきた。<br />
女の人の声だった。細くてきれいな声をしてて、一瞬聞きほれたけど、あわてて声の主を探した。<br />
すぐにその人は見つかった。<br />
そばの家の開け放した出窓から、ひじをついてこちらを見ていた。髪の長い、きれいな人。</p>
<p>「あ、ごめんね。急に声をかけちゃって」</p>
<p>「ううん。大丈夫」</p>
<p>僕はまだ子供だから、背をうんと伸ばしてお姉さんに近づこうとした。<br />
でも届かないから諦めたら、お姉さんのほうが身を乗り出してきてくれた。</p>
<p>「それで、きみって子供なのに旅をしてるの？」</p>
<p>近くで聞こえるきれいな声に、少しどぎまぎしながら頷く。<br />
するとお姉さんは嬉しそうに笑った。</p>
<p>「すごいなあ。ね、よかったら旅の話を聞かせてくれないかな？」</p>
<p>ほんとは急がないといけないけど、でも、お姉さんのことがとても気になったので、</p>
<p>「いいよ」</p>
<p>と答えていた。</p>
<div style="height:80px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>家の玄関には、お手伝いさんがいた。けっこう広い家で、豪華ではないけど調度品が高そうだなと思った。<br />
お手伝いさんは「お話は伺っております、どうぞ」と無機質に告げて、僕をお姉さんのいる部屋に通した。<br />
部屋は広くて、どこか寂しそうな印象を受けた。だって、モノがあんまりない。<br />
大きなベッドがあって、クローゼットがあって、机があるだけだ。<br />
お姉さんは僕の姿を見ると顔を輝かせた。</p>
<p>「いらっしゃい」</p>
<p>「おじゃまします」</p>
<p>「そだ、まだ名前教えてなかったね。わたし、未登録名前っていうの」</p>
<p>「僕はリンク」</p>
<p>よろしくね、と手を差し出すと、未登録名前が少し戸惑ってから僕の手をとった。<br />
なんて細い腕だろう。色だって、とても白い。<br />
もしかしたら未登録名前は、なにかの病気なのかもしれない。だからベッドにいるのかな。<br />
じっと手をみていたから、未登録名前が気づいた。</p>
<p>「ごめんね。わたしの手……青白くてきもちわるいでしょう」</p>
<p>それで握手するのをためらっていたんだ。</p>
<p>「そんなことないよ。きれいな手だよ」</p>
<p>僕の手なんて、傷だらけのマメだらけだ。<br />
それに比べたら未登録名前の手はずっときれい。<br />
思ったままを口にしたら、未登録名前は困ったように笑いながら「ありがとう、やさしいんだね」と言った。</p>
<p>「ね、冒険の話、聞かせて。わたし外にでたことないから、知りたいんだ」</p>
<p>「女の人が喜ぶような話じゃないと思うけど――」</p>
<p>そう前置きしてから、僕はこれまでの旅の話をした。<br />
コキリの森を出るところから、デスマウンテンを登って、ゾーラの里へ。<br />
知らない場所に話が移るたび、未登録名前は目をきらきらさせて話に聞き入っていた。<br />
話を終えると、未登録名前は拍手をした。</p>
<p>「すごい。ほんとにすごい。リンク君ってすごいな」</p>
<p>「そうでもないよ」</p>
<p>あんまりほめられると、少し照れる。<br />
未登録名前はほうっとため息をついて、窓の外に視線を向けた。</p>
<p>「いいなあ……わたしも、一度でいいから、外の世界を見てみたい」</p>
<p>とても悲しそうな声だった。<br />
僕は、未登録名前のそんな声は聞きたくないと思った。<br />
出会って間もないけれど、未登録名前がとても優しい人だというのは分かってる。<br />
そんな優しい人が傷つくところを見たくなかった。</p>
<p>「見られるよ。未登録名前だって外にいけるよ」</p>
<p>「そうかな」</p>
<p>「うん」</p>
<p>病気がよくなれば、絶対に行ける。<br />
そうしたら、未登録名前にも色んな場所を見せてあげたい。<br />
僕が育った森や、デスマウンテン、はちょっと無理だから、ロンロン牧場や、ゾーラの里。<br />
きっと楽しいだろう。一人で景色を見るより、ずっといい。<br />
でも未登録名前は、やっぱり困ったように笑うのだった。</p>
<p>「ありがとう。リンク君って、ほんとに優しい」</p>
<p>どうしたら、心の底から笑ってくれるだろう。<br />
一生懸命考えるけれど、僕の頭では答えがでない。<br />
僕が子供だから、未登録名前に安心させてあげられないのかな。<br />
大人だったら、未登録名前を抱きしめてあげることだってできる。<br />
僕が大人だったら――</p>
<p>「リンク君？どうしたの？」</p>
<p>「あ、ううん。なんでもない。僕、もうそろそろ行かないと」</p>
<p>「そっか。じゃあ、また遊びにきてね」</p>
<p>「うん。また来るよ」</p>
<p>大人になったら、またここに来よう。<br />
きっとその頃には病気も治ってるだろうし、そうしたら、未登録名前とでかけよう。<br />
そのためには、旅を終わらせないと。<br />
僕は時の神殿へ向かった。</p>
<div style="height:80px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>時の神殿でマスターソードを抜いたら、体が大人になっていた。<br />
光の賢者ラウルさんが言うには、僕はまだ幼いから剣を扱いきれないため魂を封印されて、７年眠っていたらしい。<br />
７年。その間に城下町は魔王のせいで魔物がはびこる危険な町となってしまい、住民はカカリコ村に避難したそうだ。<br />
真っ先に頭をよぎったのが、未登録名前のこと。<br />
彼女もカカリコ村にいるだろうか。病気はどうなっただろう。<br />
僕はカカリコ村に向かい、未登録名前を探した。けれどどこにもいない。せめて知ってる人を、と思い人々に声をかけていった。<br />
すると未登録名前の家のお手伝いさんに行き当たった。</p>
<p>「未登録名前は今、どうしているんですか？」</p>
<p>「未登録名前様は７年前亡くなりました」</p>
<p>なんだって？</p>
<p>「元々、不治の病だったのです。ご両親も諦めておりました。いつ死ぬかわからない状態だったのです」</p>
<p>無機質に告げるお手伝いさんも、きっと未登録名前のことを疎ましく思っていたに違いない。だからこんなに無感情でいられるんだ。<br />
怒りと、悲しみと、色んな感情がまぜこぜになって、僕はその場で立ち尽くしていた。<br />
お手伝いさんは不思議そうな顔をして立ち去っていった。<br />
未登録名前が。未登録名前が７年前に死んだ。死んだ。<br />
きっと僕と別れてからすぐだ。<br />
もう二度と会えない。あのきれいな声を聞くことは出来ない。<br />
最後まで、彼女が心の底から笑うところを見ることはなかったんだ。</p>
<p>僕は走り出していた。わき目も振らず、一心に走った。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>「あら？リンク君どうしたの？」</p>
<p>未登録名前は相変わらずベッドにいて。<br />
静かに微笑んでいた。</p>
<p>「忘れ物を取りに来たんだ」</p>
<p>「忘れ物？なにかな」</p>
<p>未登録名前があたりを見回す。<br />
見つかるはずがない。だって僕が忘れてきたものは、形にはない。<br />
僕は未登録名前の腕を握って、自分の頬に近づけた。<br />
未登録名前はびっくりしていたけど、振り払う様子はなかった。<br />
おそらく分かっていたのだと思う。<br />
僕が未登録名前の病気を、不治のものだと知ったことを。<br />
未登録名前の手は、温かくて、柔らかくて。<br />
僕は知らず涙を流していた。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>（もう触れることはできないんだね）</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>FOLLOW YOUR DREAMS</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/follow-your-dreams/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 Jan 2023 10:13:43 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[その子と会ったのは、村からほど近い森の中だった。 わたしは川に水を汲みにきていて、その子は顔を洗っていた。緑色の帽子と服を着ていて、まるで森の一部のようになじんでいて。 木々の間から差し込む太陽の光が、その子の金髪をてら...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/follow-your-dreams/" title="続きを読むFOLLOW YOUR DREAMS">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>その子と会ったのは、村からほど近い森の中だった。<br />
わたしは川に水を汲みにきていて、その子は顔を洗っていた。緑色の帽子と服を着ていて、まるで森の一部のようになじんでいて。<br />
木々の間から差し込む太陽の光が、その子の金髪をてらして、きらきら輝いていたのが印象的だった。</p>
<p>「きみ、だれ？」</p>
<p>わたしは見たことない少年に、少し驚いていたと思う。<br />
少年は振り返り（青い瞳が、きれいだなあ）にこっと笑った。</p>
<p>「こんにちは。僕はリンクっていうんだ」</p>
<p>「あ、わたし、未登録名前」</p>
<p>「水を汲みにきたの？場所とっちゃってごめんね」</p>
<p>わたしの持つ桶を見て、少年、リンクくんがその場をどいた。わたしは首を横に振って、「大丈夫」と返した。<br />
それにしても、不思議な子だなあ。歳はわたしと変わらないと思うけど、背中に剣と盾を背負っている。旅、してるのかな。<br />
見たことのない少年に、わたしは興味が湧いた。</p>
<p>「ねえ、よかったらすこしお話しない？」</p>
<p>勇気を出して、聞いてみた。リンクくんはちょっとだけ驚いた様子で、でもすぐに「いいよ」と言ってくれた。<br />
わたしたちは川べりに隣同士座りあう。</p>
<p>「リンクくんって、旅、してるの？」</p>
<p>「そうだよ」</p>
<p>「魔物とか、こわくないの？」</p>
<p>「うーん、最初は怖かったけど、慣れたかな」</p>
<p>「すごーい！」</p>
<p>「はは、そうかな」</p>
<p>「すごいよ、そうぞうできないせかいってやつだね」</p>
<p>「難しい言葉を知ってるね」</p>
<p>「わたし、本をよくよむから」</p>
<p>「本かあ。僕はあんまり読んでないな」</p>
<p>「旅してるんでしょ？だったらしょうがないよ。……そうだ、明日もまたここにきてよ！おすすめの本、もってくるから」</p>
<p>「いいの？いつ、返せるかわからないよ」</p>
<p>「わたしはもう何回もよみかえしたからいいの！」</p>
<p>「ありがとう。楽しみにしてるよ」</p>
<p>「うん！じゃあ、わたしそろそろ行かなきゃいけないから。またねリンクくん！」</p>
<p>「またね、未登録名前」</p>
<p>わたしは水を汲んで、リンクくんに手を振ってからその場を後にした。</p>
<p>翌日。わたしは同じ時間に本を持って森へ行ったけれど。<br />
リンクくんは夕方になっても夜になっても、来ることはなかった。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>（……あれからもう、７年か）</p>
<p>古くなった本の表紙を撫でて、わたしはため息を付いた。<br />
どうしてリンクくんはこなかったんだろう、とたまに思い返す。<br />
旅をしてる子だったから、なにかあったんだろうかと心配もした。<br />
しんでしまったんだろうか、なんて、よくないことも考えた。<br />
忘れたほうがいいとは思ったけど。<br />
あの子の金髪が、青い瞳が、どうしても忘れられなくて。<br />
渡すはずだった本を読み返しては、あの時のことを思い出す。</p>
<p>こんこん</p>
<p>ドアをノックする音が聞こえたので、わたしは思い出に浸るのをやめて玄関に向かった。</p>
<p>「はーい……？」</p>
<p>そこには、見たことのない青年が立っていた。</p>
<p>「君は、未登録名前、だよね」</p>
<p>「え、そ、そうですけど……」</p>
<p>おずおずと言うと、青年は困ったような表情をして、</p>
<p>「やっぱり忘れちゃったかな」</p>
<p>忘れたって、なにを？<br />
……待って。<br />
この青年に、見覚えは？<br />
ないはずだけど、でもなにか忘れてる。確かに。<br />
緑の服に緑の帽子。青い瞳に金色の髪。<br />
え、ま、まさ、か。</p>
<p>「もしかして、リンクくん……！？」</p>
<p>「久しぶりだね、未登録名前」</p>
<p>うそっ！どうして！<br />
どうしてリンクくんがここにいるの！？<br />
わたしは目の前の事実が受け入れられず、目を見開いたまま口をぱくぱくさせていた。</p>
<p>「随分探したよ。どこに住んでるか、聞くの忘れてたから。でも見つかってよかった」</p>
<p>彼は、にこっと微笑んだ。あの頃とは少し違う、大人びた笑み。</p>
<p>「約束、破ってごめんね」</p>
<p>「……ううん、いいの」</p>
<p>リンクくんが、生きてた。<br />
約束を覚えていてくれた。<br />
嬉しくて、涙がでそうになった。<br />
けどまた会えたから。<br />
わたしはリンクくんに負けない笑顔を見せる。</p>
<p>「ずっと待ってたよ。また会えてよかった」</p>
<p>「僕も。覚えててくれてありがとう」</p>
<div style="height:50px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>そうして果たされる約束は<br />
なによりの強さを与えてくれる</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>Title：ZABADAK</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<title>人形たちの永い午睡</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e4%ba%ba%e5%bd%a2%e3%81%9f%e3%81%a1%e3%81%ae%e6%b0%b8%e3%81%84%e5%8d%88%e7%9d%a1/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 Jan 2023 10:12:11 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[うだるような夏の暑さとは裏腹に、その日はしとしとと雨が降っていて、涼しい日だった。 仕事もないので、わたしはソファに横になりウトウトしていた。 ここのところずっと暑かったから、夜寝付けなかったんだ。 今日は久しぶりにゆっ...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e4%ba%ba%e5%bd%a2%e3%81%9f%e3%81%a1%e3%81%ae%e6%b0%b8%e3%81%84%e5%8d%88%e7%9d%a1/" title="続きを読む人形たちの永い午睡">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>うだるような夏の暑さとは裏腹に、その日はしとしとと雨が降っていて、涼しい日だった。<br />
仕事もないので、わたしはソファに横になりウトウトしていた。<br />
ここのところずっと暑かったから、夜寝付けなかったんだ。<br />
今日は久しぶりにゆっくり寝られそう。<br />
もうちょっとで意識を手放す、そんな時、玄関のドアが開く音がした。<br />
鍵はしっかりかけていたから、おそらく合鍵を持っているリンクだろう。<br />
旅の途中、ふらりとやってきてはご飯を食べにくることがよくあるのだ。<br />
足音はわたしの傍まで来て、音の主は小さく「……未登録名前？」と呼びかけた。その声は間違いない、リンク。<br />
でも、ごめんなさい。<br />
今日はひどく眠いから、寝かせてほしい。<br />
起きないでいると、リンクが屈み込んだ気配がした。わたしが本当に寝てるかどうか、見ているのか。<br />
ややあって、</p>
<p>ちゅ</p>
<p>「！？」</p>
<p>頬に柔らかい感触。<br />
わたしは驚き跳ね起きた。リンクはにっこり笑っている。</p>
<p>「やっぱり起きてた」</p>
<p>「……気付いてたの」</p>
<p>キスされた頬を抑えながら言う。<br />
心臓はばくばくと音を立てていた。リンクの顔をまともに見られなくて、視線があちこちに泳ぐ。</p>
<p>「キスくらいでそんなに照れなくても」</p>
<p>「だっていきなりだったから！」</p>
<p>「何度もしてるのに。可愛いなあ未登録名前は」</p>
<p>可愛い、なんて言われて、かあっと顔が赤くなってしまう。眠気は完全に吹き飛んでいた。</p>
<p>「もう、なにか作ればいいんでしょ。何がいいの？」</p>
<p>諦めて起き上がろうとすると、なぜかリンクに制されてしまう。</p>
<p>「未登録名前見てたら、僕も眠くなっちゃった。一緒に寝よ」</p>
<p>「はあ？何言って……うわあ！」</p>
<p>リンクがわたしを抱きしめて横になる。<br />
狭いソファが、ギシギシと音を立てた。</p>
<p>「ちょ、リンク」</p>
<p>「起きたら、夕飯を食べようね。おやすみ」</p>
<p>そう言って目を閉じたリンクは、すぐに寝息をたてはじめた。よほど疲れていたのかもしれない。冒険の旅に、休みなんてないから。<br />
仕方ないなあ。と胸中で独りごちて、わたしも目を閉じた。<br />
雨はまだ降っている。静かで優しく、わたしたちの午睡を包み込んでいた。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>Title：ZABADAK</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>青い空に</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e9%9d%92%e3%81%84%e7%a9%ba%e3%81%ab/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 Jan 2023 09:50:21 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[青空のような人。 それが、最初の印象。 その人は城下町を走りまわっていて、いつも忙しそうにしていた。 背中に立派な剣と盾を背負っていたから、旅人なんだってすぐ気が付いた。 時折立ち止まって、町の人に話を聞いては笑顔を振り...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e9%9d%92%e3%81%84%e7%a9%ba%e3%81%ab/" title="続きを読む青い空に">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>青空のような人。<br />
それが、最初の印象。</p>
<p>その人は城下町を走りまわっていて、いつも忙しそうにしていた。<br />
背中に立派な剣と盾を背負っていたから、旅人なんだってすぐ気が付いた。<br />
時折立ち止まって、町の人に話を聞いては笑顔を振りまく。<br />
端正な顔をしているから、見る度ドキッとするんだ。<br />
そうしていつの間にか、彼を目で追うようになって。<br />
気が付いたら、恋してた。</p>
<p>「こんにちは、未登録名前」</p>
<p>「こんにちはリンク」</p>
<p>会話といえば、この位。<br />
最近やっと名前を聞けて、こうして口にするのは数えるほど。<br />
もっと彼のことが知りたい、でも勇気が出ない。<br />
彼女、いるかもしれないし。<br />
いや、彼くらいいい男だったらいてもおかしくない。<br />
だってかっこいいもん。贔屓目じゃなく。</p>
<p>「今日はいい天気だね」</p>
<p>「そうね、抜けるような青空だわ」</p>
<p>まるであなたみたいな。<br />
そんなことは言えないけど。</p>
<p>ああ、あなたが目の前にいるのに。<br />
嬉しくて、でも寂しいよ。<br />
近いようで遠い存在。<br />
だから、そう。<br />
青空みたいだって思ったの。</p>
<p>「あの、未登録名前」</p>
<p>その時、いつもなら挨拶を交わして去るだけの彼が。</p>
<p>「もし良かったら、お茶でもどうかな」</p>
<p>「え？」</p>
<p>「あ、で、できたらでいいんだ！」</p>
<p>やや顔を赤らめる彼の言葉はぎこちないもので。<br />
そんなふうに言われたら、期待してしまうよ？</p>
<p>「わたしでよければ」</p>
<p>「ほんと？ありがとう！」</p>
<p>彼は空色の双眸を細めて笑った。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>寂夜</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e5%af%82%e5%a4%9c/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 Jan 2023 09:42:56 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://swingswing.echo.jp/?post_type=works&#038;p=682</guid>

					<description><![CDATA[明かりを消す。 窓から差し込む月の光だけが、わたしの部屋をてらした。 冷たい布団に潜り込み、体をぎゅっと丸める。 「おやすみなさい」 返ってくる言葉は、ないけれど。 今はいない同居人に向けて。 彼、リンクは、今どうしてる...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e5%af%82%e5%a4%9c/" title="続きを読む寂夜">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>明かりを消す。<br />
窓から差し込む月の光だけが、わたしの部屋をてらした。<br />
冷たい布団に潜り込み、体をぎゅっと丸める。</p>
<p>「おやすみなさい」</p>
<p>返ってくる言葉は、ないけれど。<br />
今はいない同居人に向けて。<br />
彼、リンクは、今どうしてるだろうか。<br />
月明かりの下で、眠っているだろうか。<br />
わたしのこと考えてくれてるかな。わたしみたいに。<br />
そうだったら嬉しいな、とちょっと微笑んで、目を閉じる。<br />
まだ布団、冷たいや。こんなときリンクがいてくれたら、あっという間に温まるのに。<br />
リンク。<br />
さびしいよ。<br />
わたし、あなたが無事でいればいいって言ったけど。<br />
それだけじゃ、やっぱり足りない。<br />
閉じた瞳から、ぽろっと涙がこぼれて、枕をぬらした。</p>
<p>その時、かすかに扉の開く音がして。</p>
<p>「っわ！？」</p>
<p>誰かがわたしの布団に入り込んできた。<br />
玄関にはちゃんと鍵をかけた。<br />
合鍵を持っているのは、一人しかいない。</p>
<p>「リンク……！？」</p>
<p>「ただいま、未登録名前」</p>
<p>ぎゅっとわたしを抱きしめるリンク。<br />
なんで、どうしてここに。旅は、まだ終わってないよ。</p>
<p>「近くに寄ったから、会いたくなって。寝てるところ悪いとは思ったけど」</p>
<p>「そんなことない。会えて嬉しいよ」</p>
<p>ふにゃ、と顔がゆるんだ。<br />
ああ今わたし、最高に幸せだ。</p>
<p>「……未登録名前。涙のあとがある」</p>
<p>不意に彼の顔が怪訝そうなものに変わり、指でわたしの目じりを撫でた。<br />
そっか。さっきまでわたし、泣いてたんだ。<br />
リンクに心配かけたくない。</p>
<p>「た、ただのあくび」</p>
<p>「嘘。目だって赤い」</p>
<p>「何度もした、から……」</p>
<p>「未登録名前」</p>
<p>あ、ちょっと怒ってる。<br />
わたしは観念して、本当のことを言った。</p>
<p>「夜、一人で寝るときは……寂しくて、たまに涙がでるの。あ、でもちょっとだけだから！リンクが心配するほどのことじゃ」</p>
<p>「ごめんな」</p>
<p>わたしの言葉はさえぎられ、代わりに彼の辛そうな声に消される。<br />
そんな、謝ることじゃないよ。<br />
わたしが待つって決めたんだから、リンクは、そんな顔しないで。</p>
<p>「ごめんな……」</p>
<p>言いながら、リンクはわたしの涙のあとを追うようにキスをする。<br />
優しい優しい口付けに、また涙がでそうになった。<br />
でもだめ。<br />
リンクの前では笑顔でいるって決めたんだから。</p>
<p>「わたしは大丈夫だから。リンクは、自分のすべきことをして」</p>
<p>「未登録名前……」</p>
<p>「今日はリンクがいてくれるし、寂しくないよ」</p>
<p>にこ、と微笑む。</p>
<p>「……明日になったら、また行かなきゃいけない」</p>
<p>「わかってる」</p>
<p>「また、未登録名前を泣かせてしまうかもしれない」</p>
<p>「耐えられるよ、リンクのこと信じてるから」</p>
<p>「ありがとう……」</p>
<p>リンクの顔が迫る。<br />
わたしは目を閉じて、あたたかな抱擁と優しいキスを一身に感じた。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>ドジな子</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e3%83%89%e3%82%b8%e3%81%aa%e5%ad%90/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 Jan 2023 09:41:51 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://swingswing.echo.jp/?post_type=works&#038;p=680</guid>

					<description><![CDATA[がちゃん。 派手な音を立てて、壷が割れてしまった。 「はドジだなー」 「う、うるさいな」 あわてて屈み、破片を拾おうとすると、リンクに制されてしまった。 危ないから、とわたしをのけてさっさと破片を拾い集めてしまう。 もう...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e3%83%89%e3%82%b8%e3%81%aa%e5%ad%90/" title="続きを読むドジな子">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>がちゃん。</p>
<p>派手な音を立てて、壷が割れてしまった。</p>
<p>「未登録名前はドジだなー」</p>
<p>「う、うるさいな」</p>
<p>あわてて屈み、破片を拾おうとすると、リンクに制されてしまった。<br />
危ないから、とわたしをのけてさっさと破片を拾い集めてしまう。<br />
もう、子供みたいな扱いして！</p>
<p>「昔からそうだったよな。よく転んだりして」</p>
<p>「い、今はもうちょっと落ち着いてるって」</p>
<p>「ふーん？そう？」</p>
<p>「信じてないでしょ……」</p>
<p>「だって現に今」</p>
<p>「ううう」</p>
<p>そうなのだ。<br />
わたしは昔っから、そそっかしい。<br />
もうクセみたいなもので、一向に治る気配がない。<br />
何か失敗するたびにリンクに手助けされて、それはそれは恥ずかしかった。<br />
大人になったら治ると思ってたんだけどな……。</p>
<p>「もっとオトナーな人になりたい」</p>
<p>ぽつりと呟く。</p>
<p>「どんな？」</p>
<p>「ゼルダ姫みたいな上品な人とか。あ、マロンみたいなしっかり者でもいいな。そうしたら……」</p>
<p>言いかけて、はっと口をつぐむ。</p>
<p>「なに？言いかけてやめるなんて気になる」</p>
<p>「え、えっと」</p>
<p>そうしたら、リンクとつりあうのに。<br />
なんて口が裂けても言えないよ。<br />
リンクは器用だから、わたしみたいな女の子、好きになってくれない……と思うから。<br />
家事もろくにこなせないようじゃ、リンクだって呆れちゃうよ。</p>
<p>「いや、その。ドジがなおらないと、お嫁にいけないじゃない。そそっかしいお嫁さんなんて欲しがる人いないし」</p>
<p>嘘は、言ってない。<br />
本当のことも言ってないけど。<br />
すると、リンクは破片を拾う手を止めた。</p>
<p>「僕がもらうよ」</p>
<p>「え」</p>
<p>今、今なんて？<br />
わたしは耳を疑った。けど、リンクは立ち上がって、まっすぐわたしを見て。</p>
<p>「未登録名前がそそっかしくてもドジでも。僕が、お嫁さんにする」</p>
<p>卒倒しそうになった。</p>
<p>「というより、他の誰にもあげないかな。あげる気ないし」</p>
<p>「そ、そ、それって」</p>
<p>「僕は、未登録名前のことが好きだよ」</p>
<p>未登録名前は？と聞かれて、わたしは、少しあたふたして、でも、すごく嬉しくて。<br />
顔を真っ赤にしながら、頷いたのだった。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
		<post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">680</post-id>	</item>
		<item>
		<title>もっと見せてよ</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e3%82%82%e3%81%a3%e3%81%a8%e8%a6%8b%e3%81%9b%e3%81%a6%e3%82%88/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 Jan 2023 09:40:42 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://swingswing.echo.jp/?post_type=works&#038;p=678</guid>

					<description><![CDATA[「……？」 「ん、なにリンク？」 わたしは料理する手を止めないまま、返事をした。 「髪の毛。上げてるから驚いたよ」 「ああ、ちょっと邪魔になってきたからね。で、何か用事？ごめん今ちょっと手が離せないんだ」 「そっか。じゃ...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e3%82%82%e3%81%a3%e3%81%a8%e8%a6%8b%e3%81%9b%e3%81%a6%e3%82%88/" title="続きを読むもっと見せてよ">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>「……未登録名前？」</p>
<p>「ん、なにリンク？」</p>
<p>わたしは料理する手を止めないまま、返事をした。</p>
<p>「髪の毛。上げてるから驚いたよ」</p>
<p>「ああ、ちょっと邪魔になってきたからね。で、何か用事？ごめん今ちょっと手が離せないんだ」</p>
<p>「そっか。じゃあ後でいいよ」</p>
<p>……とは言ったものの、リンクはなかなかその場を動こうとはしない。<br />
わたしが不思議に思って、振り返ろうとしたそのとき。</p>
<p>ちゅっ</p>
<p>「っ！？」</p>
<p>首筋に、やわらかい感触。<br />
思わず手を止めて振り返っていた。</p>
<p>「普段みえないからさ、未登録名前のうなじ。きれいだなって思って」</p>
<p>「だ、だからって……」</p>
<p>「うん、首から肩にかけてのラインもきれい」</p>
<p>そう言って、ぐっとわたしの首に顔を近づける。</p>
<p>ばしっ</p>
<p>「あいたっ」</p>
<p>わたしはリンクの頭をはたいていた。</p>
<p>「いい加減にしなさいっ！」</p>
<p>今度から髪の毛を上げるのはやめておこう、と思った。<br />
するとリンクが「髪あげないの？」なんて聞くから、「誰のせいよ誰の！」とまた怒ったのだった。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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	</channel>
</rss>
