時姫

心因性の神聖

*百合っぽい姫様は、もうずいぶん見たことのない笑顔で編み物をなさっていた。薄く開けた窓から吹き抜ける穏やかな風が、時折編み終えた糸を揺らすので、そのつど姫様は子どもを寝かしつけるみたいな優雅な手つきで糸をなだめる。ただそれだけの仕草が、姫様…