ぷよぷよ短編

瓦解する愛

「愛、それは無限の可能性……まさしく宇宙」このりすくま先輩は愛らしい見た目とは裏腹に男前なテノールボイスを有している不思議な人(?)だ。「そう、宇宙のように広がるわたくしの愛を感じないか」ついでに言ってることもよくわからない。「なんで、回り…

星空パレードダンス

 ようやく完成する頃には、外はすっかり真っ暗になっていた。「できた……」 教室のなかは魔導で生み出した星空でいっぱいになっていて、教卓や机、そしてわたしも宙に浮いているように見える。万年赤点のわたしが、よくここまでやれたものだと涙がでそうに…

やがて消えゆく温度について

*ふつうにいかがわしい どうしてこうなったんだろうなぁ。 うすぼんやりした頭の片隅で考える。お腹の底にうず巻く熱が、大きくわたしの中心を揺すぶっていてもそんなことを思い浮かべてしまうのだから、わたしはまだどこか冷静なのだろう。それともとっく…

魅惑の視線

恋をするって空から魔法が降ってくるようだ、と誰かが言ってたけれど。「本当にその通りなんだなあ……」誰もいない教室で、窓の外を頬杖ついて眺めながら独りごちた。外は夕方に差し掛かるころ、男子サッカー部が活動している。もうすぐ終わるのだろう、グラ…

堂々巡り

プリサイス博物館の図書室で、泣いている女が一人いる。 声はあげず、時々鼻をすする音だけが、室内に響いている。外は天気が悪いからか、利用者は女の他に誰もいない。「どうして私じゃないんだろうねえ」その言葉は私に向けられたものではない。「あいつ…

雨がくれた距離

私はカーテンの裾を握りしめながら、無慈悲に振りしきる雨を睨みつけていた。二階の窓から見える景色は、灰色に濁った雲と勢いよく地面を打つ雨で、陰鬱な気分をさらに落としこんでいく。 今日この日をどれほど待ちわびたと思っているのか。昨日は早起きす…

冬の陽

薄赤い太陽が、その姿を街並み際に寄せて沈みつつある冬空。 私は白い息をつきながら、コンビニに向かっていた。特に何か理由があったわけじゃないが、下校中、このまま家に帰るのはなんとなく勿体無い気がしたので、思いつきでただ寄ってみた。横断歩道を…

ルナティック

赤い月が昇る。蝙蝠が飛び回る。風で木が揺れ、ざわざわと葉音を立てる。その中を、ボクは一心不乱に走っていた。運動することなんか大嫌いだが、今はそんなことを言っている場合じゃない。一刻も早くここから離れなければならない。水を飲む暇も汗を拭う暇も…

記憶の夢

「くっそーまた負けた!」「勝っちゃった★」「一体いつになったら、私はまぐろくんに勝てるようになるんだろ……」「いやいや、ちゃんどんどん強くなってるから、ボクも必死、なんだよ★」「嘘だぁ全然勝てないのに」「そ?んなことないよ★さっきだって、反…

 傷 

「いてっ」その声で振り返ると、指先を見つめて顔をしかめるちゃん。ボクには彼女がなにをしているのかがすぐ分かった。「ダメだよ、ささくれ引っ張っちゃ★」とがめるように、ボクはちゃんの手を取った。親指の爪の付け根が、血で痛々しいことになっている。…

ボクの私の勝負事情

強者だけが登ることを許された塔が、ここプワープアイランドに存在する。……というか、ほほうどりが勝手に作ったとかなんだとか。 そんなことはどうでもいい。今重要なのは、目の前の敵を倒して、さらなる高みを目指す。それだけだ。「さすがに、今のはこた…

転化する可能性

あれだけ熱烈に愛の告白をしていた彼女が、めっきり姿をみせなくなった。 「先輩、最近を見ませんね」放課後の部室で実験中、りんごくんですら気になったようで、顎に手をやって首を傾げた。「そうだな……」「先輩はその方がいいですか?」はっきり明…