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	<title>ゼルダ短編 &#8211; 揺れる</title>
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	<title>ゼルダ短編 &#8211; 揺れる</title>
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		<title>心因性の神聖</title>
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		<pubDate>Sun, 26 Feb 2023 08:48:27 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[*百合っぽい 姫様は、もうずいぶん見たことのない笑顔で編み物をなさっていた。薄く開けた窓から吹き抜ける穏やかな風が、時折編み終えた糸を揺らすので、そのつど姫様は子どもを寝かしつけるみたいな優雅な手つきで糸をなだめる。ただ...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e5%bf%83%e5%9b%a0%e6%80%a7%e3%81%ae%e7%a5%9e%e8%81%96/" title="続きを読む心因性の神聖">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>*百合っぽい</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>姫様は、もうずいぶん見たことのない笑顔で編み物をなさっていた。薄く開けた窓から吹き抜ける穏やかな風が、時折編み終えた糸を揺らすので、そのつど姫様は子どもを寝かしつけるみたいな優雅な手つきで糸をなだめる。ただそれだけの仕草が、姫様が行っているというだけで、まるで教会の壁に描かれた女神のような神秘性を持つ。一般人には触れることすら許されない、高潔なお姿。<br />
けれど姫様は、そんな神秘性とはうらはらに、無邪気な笑顔で実に楽しそうに編み物を続けている。侍女の私が部屋に入っていても気づかないくらいに集中されている。</p>
<p>私は知っている。<br />
いまや敵だらけになったこの城内、姫様の本心を知り得るのは姫様の乳母と侍女の私だけ。<br />
だから教えてもらった。<br />
これは、昔城に忍び込んだ少年に渡すものであると。</p>
<p>いつ来るのですか、と聞けば、分からない、と仰られた。いつ来るかもしれない客人のために、せっせと編み物をするというのは、まあ、そういうことだ。<br />
そう、私には最初から勝ち目などない。もとより当然なのだが、駄目押しされた気分だ。<br />
けれど姫様のお側にいられるという侍女の特権が未練がましく捨てられず、いまもこうして、お声がけいただくまで、教会の壁画をぼんやり眺めているのだ。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>Respawn</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/respawn/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 27 Jan 2023 15:13:34 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[たかがゲームで泣くなんて、ばかみたいだと思われるかもしれないけれど、わたしは『時の勇者』がかわいそうで仕方なくて、画面のまえでぼろぼろ泣いてしまった。 今まで頑張ってきた冒険のすべてがなかったことになって、一生懸命助けた...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/respawn/" title="続きを読むRespawn">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>たかがゲームで泣くなんて、ばかみたいだと思われるかもしれないけれど、わたしは『時の勇者』がかわいそうで仕方なくて、画面のまえでぼろぼろ泣いてしまった。<br />
今まで頑張ってきた冒険のすべてがなかったことになって、一生懸命助けたゼルダ姫との出会いも最初からやり直しだなんて。<br />
こんなのってあんまりじゃないか。いくら世界を再生させるためだからって、勇者の、リンクの気持ちはどうなっちゃうの。<br />
もしわたしがこの場にいたなら、そんなのありえないけど、もしいたらリンクのこと思いっきり抱きしめて、今までよく頑張ったねって言ってあげられるのに。<br />
リンクの旅を最初から最後まで全部知ってるの、わたしだけなんだから。<br />
ゲームのプレイヤーであるわたしだけ。</p>
<p>わたし。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>「……未登録名前？」</p>
<p>呼ばれて目を覚ますと、リンクがわたしの顔を覗き込んでいた。</p>
<p>「いつもより遅かったから、起こしに来たんだけど」</p>
<p>「あ、そうなんだ。ありがと」</p>
<p>上体を起こして、ぐっと伸びをした。<br />
いつもより多めに寝たせいか、頭がぼんやりしている。少し外で体操でもしてこようかな、とベッドから降りようとすると、リンクがなぜか不安そうな顔をしていた。</p>
<p>「リンク？どうかした？」</p>
<p>「えっと……」</p>
<p>言いにくそうにリンクは視線を落として、</p>
<p>「寝ているとき、未登録名前が泣いてたから。なにか悲しい夢でもみたのかって思って」</p>
<p>そう言えば、頬が濡れている気がする。でも、夢をみた覚えがない。</p>
<p>「大丈夫だよ。多分、リンクの旅の夢をみてたんだよ」</p>
<p>「僕が時の勇者だったときの？……不思議だよね。誰も覚えてないはずの旅なのに、未登録名前は全部知ってるんだから」</p>
<p>知っている、というよりは、目の前でみたように頭の中に映像が残っているから更に不思議だ。<br />
いつの頃からあるこの不思議な記憶は、リンクと初めて出会ったときに呼び起こされた。初対面だというのにわたしはぼろぼろ泣いてしまって、リンクを困らせてしまったのを覚えている。</p>
<p>「でも嬉しかったよ。未登録名前だけが、僕のことを覚えていてくれた」</p>
<p>「だから好きになった？」</p>
<p>「それだけじゃないよ」</p>
<p>ちょっとむっとして言うあたり、リンクの子供っぽさが見えて、わたしはくすくす笑ってしまった。</p>
<p>「ごめん、分かってるよ。わたしも、リンクの旅を知ってるから好きってだけじゃないし」</p>
<p>もちろんそれも大きな要素ではあるけれど。<br />
わたしが彼を好きになった理由は、他にもたくさんある。</p>
<p>「そだ。リンク、朝ごはんたべた？」</p>
<p>「あ、まだ」</p>
<p>「じゃあちゃちゃっと着替えて作るから、一緒に食べよう」</p>
<p>「うん！」</p>
<p>そしてこれからも増えていく。だってわたしたちは、一緒に暮らしているのだから。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>始まりは些細</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e5%a7%8b%e3%81%be%e3%82%8a%e3%81%af%e4%ba%9b%e7%b4%b0/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 27 Jan 2023 15:11:31 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[「ねえリンク」 「な、なに？」 テーブルに頬杖ついて、じいっと僕のことを見つめていたが突然口を開いたものだから、僕は少したじろいだ。 彼女の癖なのだが今だに慣れない。というのは、彼女はなんと他の世界（ニホン、っていったか...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e5%a7%8b%e3%81%be%e3%82%8a%e3%81%af%e4%ba%9b%e7%b4%b0/" title="続きを読む始まりは些細">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>「ねえリンク」  	</p>
<p>「な、なに？」</p>
<p>テーブルに頬杖ついて、じいっと僕のことを見つめていた未登録名前が突然口を開いたものだから、僕は少したじろいだ。<br />
彼女の癖なのだが今だに慣れない。というのは、彼女はなんと他の世界（ニホン、っていったかな）からやって来たらしく、この世界で見るもの全てが目新しいからとよく質問をしてきた。<br />
他の世界からやってきた、ということに疑問を持ったことはない。僕自身、時間を超えた経験があるから、そういうこともあるだろうなと思っていた。<br />
今度はどんなことを聞いてくるのだろう。</p>
<p>「どうしてリンクの耳は長いの？」</p>
<p>「え？」</p>
<p>質問の内容は、僕からすれば当たり前のことばかりだった。<br />
つまり、深く考えたことがないものばかり。</p>
<p>「ええ、っと……確か、ハイラルの民は神様の声をよく聞くために耳が長くなったって」</p>
<p>いつか城下町で聞いた昔話を思い出しながら言った。<br />
すると、彼女は眉間に皺をよせて、なにやらぶつぶつ言い出した。</p>
<p>「すると、耳が長いほうが音がよく聞こえるということかな？確かに耳介にはそういう作用が……いやでも」</p>
<p>未登録名前は、どんな疑問でも、なんでも深く考える。<br />
僕にとっての当たり前が、未登録名前にとっては当たり前じゃない。<br />
彼女といるとそれに気づかされて、驚かされてばかり。<br />
だから、僕は。</p>
<p>「……リンク？なに、笑ってるの？」</p>
<p>「あ、ううん。なんでもない」</p>
<p>未登録名前と一緒にいるのが、大好きなんだ。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>生まれなかったうさぎ</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e7%94%9f%e3%81%be%e3%82%8c%e3%81%aa%e3%81%8b%e3%81%a3%e3%81%9f%e3%81%86%e3%81%95%e3%81%8e/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 27 Jan 2023 15:10:21 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[「やあ、また会ったねりんく」 「やあ」 「こうしてまたきみと会えるなんて、夢にも思わなかったよ」 「ぼくもそう思うよ」 「さて、どうしてきみはここにきたんだい？」 「きみに言いたいことがあって」 「なあに？」 「ごめんね...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e7%94%9f%e3%81%be%e3%82%8c%e3%81%aa%e3%81%8b%e3%81%a3%e3%81%9f%e3%81%86%e3%81%95%e3%81%8e/" title="続きを読む生まれなかったうさぎ">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>「やあ、また会ったねりんく」 </p>
<p>「やあ」</p>
<p>「こうしてまたきみと会えるなんて、夢にも思わなかったよ」</p>
<p>「ぼくもそう思うよ」</p>
<p>「さて、どうしてきみはここにきたんだい？」</p>
<p>「きみに言いたいことがあって」</p>
<p>「なあに？」</p>
<p>「ごめんね、って、言いたかった」</p>
<p>「それは、どっちの意味？」</p>
<p>「両方だよ」</p>
<p>「そっか」</p>
<p>「いまも、ときどき、思うんだ。もしも、って」</p>
<p>「でも、そのもしもはなかったんだよ」</p>
<p>「……うん」</p>
<p>「わたしはうさぎできみは人間だし」</p>
<p>「……うん」</p>
<p>「きみは現実だけどわたしは夢だよ」</p>
<p>「でも、」</p>
<p>「あらゆるものが生まれなかったんだよ。最初からなかったんだ。だから、きみが悔いる必要はどこにもないよ。後悔だって、本当はなかったんだから」</p>
<p>「それでもぼくは、きみに会いたかった」</p>
<p>「生まれなくても？」</p>
<p>「生まれてたよ」</p>
<p>「たとえばなにが？」</p>
<p>「きみが、ぼくをあいしてたって気持ちと、ぼくが、きみをすきって気持ち」</p>
<p>「ああ、そうかあ」</p>
<p>「だからね。もう一度あいたかったんだ。一度だけ」</p>
<p>「一度だけ。会ったね」</p>
<p>「もう、会えないね」</p>
<p>「そうだね」</p>
<p>「さよなら、未登録名前」</p>
<p>「さよなら、りんく」</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>その時ぼくは、板切れの上で目を覚まし、風をきって空を飛ぶ魚を見た。<br />
そのはしで、カモメが遠く鳴いたの聞いて、どうしてうさぎは鳴かないんだろうなって思って、かすかに笑ったあとに少しだけ泣いた。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>恋人のいない夜</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e6%81%8b%e4%ba%ba%e3%81%ae%e3%81%84%e3%81%aa%e3%81%84%e5%a4%9c/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 Jan 2023 11:09:45 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[カチ　コチ　カチ　コチ いくら待っても、あいつが帰ってくる気配はない。 太陽は既に山際、薄紫の空が濃紺へ変わる時間になるというのに。 一体どこをほっつき歩いてるんだ。 俺がこんなに心配してるっていう――いや、心配なんかし...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e6%81%8b%e4%ba%ba%e3%81%ae%e3%81%84%e3%81%aa%e3%81%84%e5%a4%9c/" title="続きを読む恋人のいない夜">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>カチ　コチ　カチ　コチ</p>
<div style="height:50px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>いくら待っても、あいつが帰ってくる気配はない。<br />
太陽は既に山際、薄紫の空が濃紺へ変わる時間になるというのに。<br />
一体どこをほっつき歩いてるんだ。<br />
俺がこんなに心配してるっていう――いや、心配なんかしてない。<br />
ただちょっと……そう、呼ばれたんだよ、あいつに。未登録名前に。<br />
呼ばれたから、仕方なく来てやって、待ってやってるだけだ。<br />
夕飯をご馳走するからって、あいつが言うから仕方なく。そう。別に俺は、食べ物を必要としない。魔物だからな。でも、あいつが笑顔で言うから、断りきれなかった。それだけのことなんだ。<br />
それにしたって本当に遅い。あいつのほうから呼んだくせに、この俺を待たせるとはいい度胸してやがる。<br />
ほら、もう太陽が完全に隠れちまった。空は濃紺どころか、俺みたいに真っ黒だ。別に黒は嫌いじゃないけどな。<br />
そういえばあいつも、黒は嫌いじゃない、むしろ好きだって言ってたっけな。やっぱり笑顔で俺を見るもんだから、少しだけむくれたのを覚えてる。<br />
――むくれる？なんで俺が。だって俺は。待てよ。<br />
おい。<br />
これ　は</p>
<p>だ<br />
　　れ　の</p>
<p>　き<br />
　　　お<br />
　　く</p>
<div style="height:80px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>ごぼ、と喉の奥から空気が漏れて、泡になって水面に上っていった。<br />
もう明かりは見えない。あいつが俺を倒して、部屋の鍵を開いたから。<br />
指先、足先から形を失っていくのが分かる。俺を形成する俺の魔力が失われていく。<br />
抗う力も、意思もなかった。少し前までなら、意思くらいはあったかもしれない。<br />
でも俺は、結局あいつの影でしかない。<br />
『俺の』記憶の中での未登録名前は、いつだって泣いていた。笑ったことなんて一度もなかった。<br />
俺は、あいつに、なれなかった。<br />
あいつの影なんかじゃなく、全く別の、人間だったなら、俺も、未登録名前に、<br />
好きだったってことも、伝えられ、たの、だろう、か。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>（ただいま）<br />
（あ、おかえり）</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>Title：タケカワユキヒデ</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>ムーンライト・シング</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e3%83%a0%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%88%e3%83%bb%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%82%b0/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 Jan 2023 11:07:45 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[夜、ふと目を覚ましたら、カーテンの隙間から光が漏れていた。 あまりにそれがまぶしいものだったので、こんな夜更けに外でなにかあるのだろうかと不思議に思いながら、カーテンを開けた。そして、息を呑んだ。 それは月の光だった。で...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e3%83%a0%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%88%e3%83%bb%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%82%b0/" title="続きを読むムーンライト・シング">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>夜、ふと目を覚ましたら、カーテンの隙間から光が漏れていた。<br />
あまりにそれがまぶしいものだったので、こんな夜更けに外でなにかあるのだろうかと不思議に思いながら、カーテンを開けた。そして、息を呑んだ。<br />
それは月の光だった。でもただの光じゃない。満月の光。<br />
青白く透き通った光は、今は人のいない石畳の通りと、明かりの消えた家々を優しく照らし、普段とは違う、静かで幻想的な街を作り出していた。<br />
あまりの美しさに魅入ってしまい、わたしは窓の外をじっと見渡す。<br />
すると、いないと思っていたはずの人の影が目に止まった。<br />
小さな影だった。それも、ひとつだけしかない。<br />
なにか考える前に、わたしは上着を羽織って外に出ていた。</p>
<p>影は通りの、ちょっと段差になったところに腰掛けて、月を見上げていた。<br />
その影の正体に、すぐ思い当たった。<br />
遠い遠い国からやってきたという、小さな旅人。名前は……なんといったか。<br />
あまり人の来る街ではないから、彼が訪ねてきたときはすぐ噂になった。<br />
直接話したことはない。けれど、あんな小さな子供がたった一人で旅をしているのには、なにか深い理由があるのだろう、と思っていた。<br />
それきり考えることをやめていたから、深いことは知らない。</p>
<p>「こんばんは、おねえさん」</p>
<p>気がつくと、少年は肩越しにこちらを見ていた。<br />
どうやら彼の後姿を見たまま、わたしは固まっていたらしい。</p>
<p>「こ、こんばんは」</p>
<p>うまく声が出せなかった。<br />
なぜだろう、この少年を見ていると、胸が苦しい。<br />
少年は幼いながら整った顔立ちをしていた。さらさら揺れる金髪と、ガラス細工みたいにきれいな青い瞳が、わたしの目をとらえて離さない。<br />
でもなによりわたしが、この少年を――</p>
<p>「ねえ」</p>
<p>少年が言った。</p>
<p>「こんなに大きな満月だとさ、まるで落ちてきそうじゃない？」</p>
<p>わたしには、少年が冗談を言っているようには見えなかった。<br />
口調こそ無邪気で奔放だけれど、表情は大人が秘密ごとを吐露するような、真摯で不敵な笑みだった。<br />
分からない。<br />
わたしには、この子のことが、よく分からない。</p>
<p>「ごめんね、へんなこと言って」</p>
<p>わたしは首を横に振った。<br />
むしろ、答えてあげられなかったわたしが謝るべきだ。<br />
そう思ってなにか言おうとしたとき、少年がまた言った。</p>
<p>「月ってさ、見てる国によって住んでるいきものが違うんだって」</p>
<p>その話は、聞いたことがある。<br />
国によって月の模様が違って見えるので、月に関係する神話や御伽噺なんかもその国によって色々あるらしい。</p>
<p>「おねえさんは、何が住んでる？」</p>
<p>少しおかしな聞き方だな、とちらっと思ったけれど、そのことには触れず、わたしはこの国で見える月の模様を話した。</p>
<p>「違う、違う。おねえさんの見え方が聞きたいんだ」</p>
<p>わたしの見え方。<br />
「国」や「御伽噺」ではなく、「わたし」の。<br />
わたしは月を見上げた。<br />
真ん丸の月。そこに、うっすら浮かび上がる模様。<br />
あの模様は、わたしには。</p>
<p>わたしは思ったまま、見たままを少年に伝えた。<br />
それを聞いた少年は、少し悲しそうに笑っていた。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>あなたはきっと　幸せな人</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>夢より現実</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e5%a4%a2%e3%82%88%e3%82%8a%e7%8f%be%e5%ae%9f/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 Jan 2023 11:06:24 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[めぐる 「え、あ、あれ？」 わたしはポケットの中を一生懸命探った。 けれど期待した、あるはずの手ごたえはない。 手さげかばんのほうに入れたのかも、とかばんの中を探したけれど、やっぱり目的のものはなかった。 うそ、どこかで...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e5%a4%a2%e3%82%88%e3%82%8a%e7%8f%be%e5%ae%9f/" title="続きを読む夢より現実">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>めぐる</p>
<div style="height:80px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>「え、あ、あれ？」</p>
<p>わたしはポケットの中を一生懸命探った。<br />
けれど期待した、あるはずの手ごたえはない。<br />
手さげかばんのほうに入れたのかも、とかばんの中を探したけれど、やっぱり目的のものはなかった。<br />
うそ、どこかで落とした？あんな大事なものを？<br />
わたしは全身から冷や汗が出るのを感じた。<br />
どうしよう。どうしよう。頭はそれでいっぱいになり、他になにも考えられなくなった。<br />
どこで落としたんだろう。ここに、カカリコ村に戻る前は、どこにいたっけ？<br />
ええと、確か朝起きて、牧場でミルクを買って。それから林で食べられる野草を採って――ああだめ、範囲が広すぎる。せめて村の外に行っていないのであれば、見つかったかもしれないけど。<br />
これでは絶望的だ。わたしはスカートのすそをぎゅっと握り締めて、あふれそうになる涙をこらえていた。<br />
泣いたってどうにかなるものじゃないのに。むしろどうにもならないのに。<br />
自分が悪いのに……。</p>
<p>「ねえ、そこの君？」</p>
<p>不意に呼びかけられた。<br />
一瞬わたしのことだとは分からなくて、振り向いたけど、周りをきょろきょろと見回した。<br />
その様子を見ていた人……わたしに声をかけた青年は、「君だよ、君」とわたしに向かって言った。</p>
<p>「え、と。なにか、用？」</p>
<p>金髪碧眼の、とてもきれいな顔立ちをした青年だった。いや、少年と青年の間くらいかな？<br />
とにかくこの村の人ではないことは、すぐに分かった。初めて見る顔だったから。<br />
青年は左手で、なにかを差し出した。</p>
<p>「これ、君の落し物じゃないかな」</p>
<p>「あ！これ！」</p>
<p>それはまさにわたしが捜し求めていた、一枚のハンカチ。</p>
<p>「ありがとう！もう見つからないと思った……！」</p>
<p>両手でハンカチを受け取ると、わたしはぎゅっと胸に抱きしめた。</p>
<p>「とっても大事にしてるんだね」</p>
<p>他の人からしたら、ただの水色の……いや、もうだいぶ古いものだから、少し色あせてしまったハンカチに見えるだろうけど。<br />
わたしにとっては、一生の宝物だ。</p>
<p>「うん。これは……昔出会った子がくれたの」</p>
<p>「なんていう子？」</p>
<p>「うーん……それが名前を聞きそびれちゃって。もう７年も前だから、顔もよく覚えてなくて……でも」</p>
<p>「でも？」</p>
<p>「不思議な子だった。わたしと同じくらいの年なんだけど、なんていうのかな。雰囲気がね、大人びてるっていうか、とにかく不思議で。少ししか話はしてないんだけど、引き込まれるような感じがして」</p>
<p>「……そうなんだ」</p>
<p>「まだ城下町が賑わってたころ、わたしがその子と別れたくないよーってぐずってね。あ、その子旅をしてるって言ってたから。それで、その子がじゃあいつでも僕を思いだせるように、って、その子の瞳と同じ色をしたこのハンカチを買ってくれたの。それからは、これがわたしの宝物なんだ」</p>
<p>あの時のことは、今でも忘れない。<br />
顔は思い出せなくても、笑い声とか仕草とか、手のひらの暖かさだとか。</p>
<p>「また何回でも会えるよ」って言ってくれた言葉だとか。</p>
<p>思い出せるものは他にもたくさんある。<br />
わたしの、もう一つの宝物だ。</p>
<p>「あっごめんね、一方的にこんなこと話しちゃって……」</p>
<p>初対面の人にする話じゃなかったと思い、慌てて謝る。<br />
けれど、青年はなぜか嬉しそうだった。</p>
<p>「気にしないで。いい話だったよ」</p>
<p>青年が微笑んだ。その笑顔があんまりきれいだったから、わたしは少し照れくさくなって視線を泳がせた。</p>
<p>「そういえば、どうしてこのハンカチがわたしのだって分かったの？」</p>
<p>嬉しくて忘れていたけど、この人とわたしは初めて会うから、これがわたしのものだっていうのは、知ってるはずないと思うんだけど。</p>
<p>「君から落ちていくのを見たからだよ」</p>
<p>「あ、なんだ。そうだったの」</p>
<p>それなら、納得。</p>
<p>「ねえ、よかったらお礼がしたいんだけど……」</p>
<p>わたしの大事なものを拾って届けてくれたから、どうしてもなにか、お返しがしたかった。<br />
けれど青年は少し困ったように頬をかいた。</p>
<p>「ごめん。これから行かなきゃいけないところがあって」</p>
<p>よく見ると、青年は背中に剣と盾を背負っていた。<br />
じゃあこの人も旅をしているんだ。<br />
それなら引き止めるわけにはいかない。</p>
<p>「そっか。それなら仕方ないね」</p>
<p>仕方ないけど、残念だ。その気持ちが隠せず、わたしはうつむいた。<br />
旅の途中ということは、これから遠いところに行くんだろうか。<br />
今度は、いつここに来るんだろうか。<br />
それとも、もう。</p>
<p>「また何回でも会えるよ」</p>
<p>弾かれたように顔をあげた。</p>
<p>「それじゃあね」</p>
<p>わたしがなにか声を出す前に、青年は立ち去ってしまった。<br />
あの言葉は。でも。彼は。<br />
わたしは、青年が立ち去ったほうを、いつまでも見ていた。</p>
<div style="height:80px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>記憶は</p>
<div style="height:80px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>わたしは、買ってもらったハンカチを見つめながら、昨日の少年のことを考えていた。<br />
名前、ききそびれちゃった。わたしも名前、教えてない。<br />
また何回でも会えるって、言ってたけど、旅をしてるなら、今度いつここにくるかわたしには分からない。<br />
でもまた会いたい。もっときみのこと、知りたいよ。<br />
はあ、とため息をつく。すると頭上から影がふってきて。<br />
顔をあげると、</p>
<p>「きみ！」</p>
<p>「言ったでしょ。また何度でも、って」</p>
<p>少年はにこっと笑って、こう言った。</p>
<p>「名前、教えてなかったと思って。僕はリンク。君の名前は？」</p>
<p>わたしは元気よく、惜しみない笑顔を向けて答えた。</p>
<p>「わたしは未登録名前！よろしくねリンク！」</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>（リンク、っていう子だったよ）<br />
（そうなんだ。僕も、リンクっていうんだよ）<br />
（え……？じゃ、じゃあ）<br />
（また会ったね、未登録名前）</p>
<div style="height:80px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>――そうしてまた、何度でも。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>DEIR PAIDER</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/deir-paider/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 Jan 2023 11:04:20 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[じゃあ、お話をしよう。 ここじゃない、どこか遠い国のお話。 昨日のことだったかもしれないし、はるか昔のことかもしれない。 そう、とても曖昧なんだ。まるで夢のなかのようにね。 でもそこは重要じゃない。大切なのは、ここからさ...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/deir-paider/" title="続きを読むDEIR PAIDER">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>じゃあ、お話をしよう。<br />
ここじゃない、どこか遠い国のお話。<br />
昨日のことだったかもしれないし、はるか昔のことかもしれない。<br />
そう、とても曖昧なんだ。まるで夢のなかのようにね。<br />
でもそこは重要じゃない。大切なのは、ここからさ。</p>
<p>一人の少年がいた。馬を一匹つれていて、旅の途中だった。<br />
旅の目的？さあ、なんだっただろうね。確かなのは、彼がなにかを探しているということだけだよ。<br />
続けよう。彼は満月の夜、歩きつかれた馬を休ませるため森に立ち寄った。<br />
平原を歩いていたから、他に宿がなかったんだね。川が一筋あったから、そこで水を飲ませていた。<br />
すると、森の奥から歌が聞こえてきたんだ。<br />
少年は驚いた。満月が頭のてっぺんにあるような時間だよ？もちろん、魔物だと思ったさ。ほら、いるだろう？歌声で酔わせて死に至らしめるとかっていう魔物。<br />
よく知らない？それもそうか。まあ、それはおいといて。<br />
少年は、見つかる前に倒してしまおうと思ってね。馬を木につないでおいて、剣と盾を持って、歌の聞こえるほうに向かった。<br />
はっきり聞こえてくると、その歌声はとても美しいものだと気がついたんだ。<br />
少年には、これが魔物の力だとは、どうしても思えなかった。なぜそう思った？少年は、魔物の声で体が動かなくなることを、すでに体験してたからさ。<br />
けれど、そう思わせることが魔物の力なのかもしれない。少年は用心深かったからね、気は抜かなかった。<br />
さあいよいよ魔物の姿を見つけると、少年はまた驚いた。<br />
そこにいたのは人間の女の子だったからさ。年は、多分同じくらいだろう。長い黒髪が風になびいていたよ。<br />
楽しそうに、気持ちよさそうに、けれど一人で、女の子は歌っていた。</p>
<p>「ここでなにをしてるんだい」</p>
<p>少年は思わず聞いていた。女の子は少年に気づかなかったのだろうね、びくっと肩を震わせてから、こちらを見た。サンザシの実のような、赤い目をしていた。<br />
最初は驚いた顔をしていたけど、すぐに、嬉しそうに笑ったんだ。</p>
<p>「あなたが妖精さんなのね」</p>
<p>少年には、女の子が何を言ってるのか分からなかった。だから、黙ってしまった。それを女の子はかんちがいしたらしく、やっぱりそうだってまた笑ったんだ。<br />
どうしていいか分からない少年に、女の子は走りよって手を取った。</p>
<p>「わたし、ずうっと待っていたの。妖精さんが、きっとわたしをむかえにきてくれるって」</p>
<p>やっぱり、何を言っているのか、少年には分からなかった。</p>
<p>「魔法のくすりがなくても、ちゃんとあなたのことみえるわ。満月のせいかしら。きっとそうね、きっと」</p>
<p>嬉しそうに話す女の子を前にして、今更違うって言えるかい？少年はひどく後悔したよ。ああどうして最初に黙ってしまったんだろうって。少年の悪いくせさ。肝心なときに、声をだすことができないんだから。<br />
女の子は少年の手を離して、その場でくるっと回ってみせた。</p>
<p>「ダンスパーティ、は、ないのね。そのために、いっぱい練習してきたのだけど。でもよかった。あんまりうまくおどれないから」</p>
<p>「……僕も、踊るのは苦手だよ」</p>
<p>やっと少年が声を出した。すると女の子は目を丸くしてから、にっこり笑った。</p>
<p>「ああよかった。言葉がつうじないのかとおもったわ」</p>
<p>女の子は、とても表情が豊かだったよ。よく顔がかたいって言われる少年とは、おおちがいさ。あれが年相応、っていうんだろうね。とにかく、その子はよく笑った。</p>
<p>「おどるのがにがてなら、歌はどうかしら？歌なら、わたしもちょっとだけ自信があるのよ」</p>
<p>「それなら、」</p>
<p>少年は、もう、間違いを訂正するよりも、女の子と話をしていたいという気持ちになっていてね。</p>
<p>「あら、きれいな青いオカリナね？」</p>
<p>「これで伴奏しようと思って」</p>
<p>「すてき！」</p>
<p>女の子はよりいっそう、笑顔になったよ。真昼の太陽を見てるみたいだった。今差し込んでる光が、もし太陽の光だったら、もっと輝いてみえただろうなって、少年は思ったよ。<br />
それで、女の子の歌と、少年のオカリナで、ささやかな演奏会が開かれたんだ。<br />
少年は一度聞いた曲をすぐ覚えられるから、伴奏するのは簡単だった。それほど難しい曲でもなかったしね。<br />
森の中だったし、人目を気にせず思い切り演奏した。女の子も、思い切り歌っていたよ。一人で歌っていたときよりも、ずっと美しく聞こえたものさ。</p>
<p>曲が終わると、二人は見つめあって、それから笑った。</p>
<p>「こんなにたのしい気持ちで歌ったの、はじめてだわ」</p>
<p>「僕も、こんなに楽しくオカリナ吹いたのはじめてだ」</p>
<p>「いっしょね、わたしたち」</p>
<p>「うん、いっしょだ」</p>
<p>うん？ああ、そうだね。少年は、いつの間にか年相応ってやつになってたよ。女の子につられたのかな。笑い方もね、心の底から笑ってるって感じがして、心地よかったよ。とても。<br />
少年も、すぐそれに気がついた。けれど、それを言おうかどうしようか、少し迷ったんだ。それを話すには、本当のことを言わなければならないし、少年の、たいへんな身の上も話さなくてはならないから。身の上の話は、長くなるからまた今度。<br />
でも一言、お礼が言いたかったんだ。こんな気持ちにさせてくれた女の子に、ありがとうを言いたかった。<br />
さて、覚えているかな？少年の悪いくせ。そう、その通り。少年は言うことができなかったんだ。<br />
そのうち女の子が、どこかもうしわけなさそうに、こう言った。</p>
<p>「妖精さん、妖精さん。わたし、もう帰らないといけないの。だから、森からだしてくれるかしら？」</p>
<p>少年は、そこでやっと思い出したんだよ。この森、迷いの森っていうんだ。<br />
それで全てが繋がったと思った。迷いの森の奥には、確かに妖精がいるんだ。女の子は、それを探しに来たんだって。<br />
それで、妖精である少年を見つけることが出来たから、迷いの森から外へ案内してほしいって、そう言ってるんだって思ったんだ。<br />
少年は頷いて、女の子の手を取ってあげた。女の子は少しびっくりしていたけれど、また笑顔になって、少年の後ろをついて歩いた。<br />
少年はちょっと理由があってね。森の抜け方をよく知っていた。だから迷うことなく、森の外に出ることができた。</p>
<p>「ありがとう、妖精さん。またあえるかしら？」</p>
<p>会えるよって、少年は言いたかった。でも言えない理由があった。<br />
旅をしているからね。もう、ここを離れなくてはならない。</p>
<p>「もうここに来てはいけないよ。僕のことは、忘れるんだ」</p>
<p>おもいきって言ったよ。少年にしては珍しく、ね。うん、悪いくせは出なかった。そのことに少年は安心してた。しきってたんだ。<br />
女の子は驚いた顔をしてた。それから少しだけ悲しそうな顔をした。</p>
<p>「そう……じゃあ、さよならね。妖精さん」</p>
<p>「さよ、なら」</p>
<p>なんて、苦しい言葉だろうね。実際、その言葉を口にするのに、時間がかかったよ。だってもう、会えないんだから。少年がここに戻ることも、おそらくないのだから。<br />
それでも女の子は笑ってたよ。なんて強い子なんだろうね。少年は、笑えなかった。何度も別れを経験してきたけれど、こればっかりは、いつになっても慣れないんだ。</p>
<p>「妖精さん、さよなら」</p>
<p>女の子はそう言って、走っていったよ。後から思えば、家まで送っていってあげるべきだったのだろうけど、その時の少年は、石のようにかたまってしまってね。女の子の後姿を、じいっと見つめていることしかできなかった。<br />
黒髪が闇にとけていって、影も見えなくなるころに、少年は、少しだけ、情けない話だけど、泣いたんだ。</p>
<p>話は、ひとまずこれでお終い。それから少年はどうしたか？それは、また今度。<br />
え？また今度がふたつもあるって？しょうがないな、じゃあ、少しだけ話してあげるよ。<br />
少年は、一度離れていったけれど、結局、その国に戻ったのさ。一度だけ。女の子のことが、忘れられなくてね。<br />
そうしたら、ある噂を聞いたのさ。</p>
<p>「サンザシの実みたいな赤い目のスタルキッドが、迷いの森で歌を歌っている。その歌にとらわれてはいけない。森から出られなくなってしまうから」</p>
<p>スタルキッドのことは知ってるね。そう、魔物のことだ。そのスタルキッドが、あの迷いの森にずっといるんだって。歌を歌いながら。今も、ずっとね。<br />
さ、これで話はほんとうにお終いだ。そろそろ眠ろう。でないと、赤い目のスタルキッドの歌に惑わされてしまうよ。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>Title：ZABADAK</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>わたしが人魚になった日</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e3%82%8f%e3%81%9f%e3%81%97%e3%81%8c%e4%ba%ba%e9%ad%9a%e3%81%ab%e3%81%aa%e3%81%a3%e3%81%9f%e6%97%a5/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 Jan 2023 11:02:52 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[「きみ、そこで何してるの？」 振り向いた先には、金髪碧眼の少年が立っていた。 わたしは視線を海に戻してから答えた。 「海を見ているの」 「それだけ？」 「それだけ」 他になにをしているように見えるというのだろう。 少年は...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e3%82%8f%e3%81%9f%e3%81%97%e3%81%8c%e4%ba%ba%e9%ad%9a%e3%81%ab%e3%81%aa%e3%81%a3%e3%81%9f%e6%97%a5/" title="続きを読むわたしが人魚になった日">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>「きみ、そこで何してるの？」</p>
<p>振り向いた先には、金髪碧眼の少年が立っていた。<br />
わたしは視線を海に戻してから答えた。</p>
<p>「海を見ているの」</p>
<p>「それだけ？」</p>
<p>「それだけ」</p>
<p>他になにをしているように見えるというのだろう。<br />
少年はわたしの隣に当然のように座って、同じように海を眺め始めた。</p>
<p>「なにか辛いことでもあったの」</p>
<p>よくもまあ初対面の人間にそんなことが聞けるわね。<br />
わたしはすこしむすっとして答えた。</p>
<p>「ないわ」</p>
<p>無視すればよかったかもしれないが、遅かった。</p>
<p>「じゃあ海が好きなだけ？」</p>
<p>「いいえ」</p>
<p>「え」</p>
<p>「海は嫌いよ」</p>
<p>海がきらい。そう言うと、大抵の人は珍しがる。大抵、といってもこの島にいる人間は少ないからそれが一般論なのかどうかわたしには分からないけれど。<br />
でもきっとそうなんだ。その証拠にほら、少年が返事をしないでいる。<br />
ややあって、</p>
<p>「嫌いなものを見るって、どんな気持ち？」</p>
<p>わたしは思わず少年のほうを見た。<br />
少年はにこにこ笑っていて、わたしが驚いてることに気づいていないようだった。<br />
そんなことを聞かれるとは思わなかった。<br />
てっきり返事に困っているものだとばかり思っていたので、答えを用意していなくて、わたしは少し考えてしまった。<br />
どんな気持ち。<br />
考えたこともなかった。</p>
<p>「たぶん、嫌な気持ちになると思うわ。だって海が嫌いだから」</p>
<p>「たぶん、って。自分のことじゃないか」</p>
<p>「自分のことだからよく分からないのよ」</p>
<p>自分のことを１００％全部知り尽くしてる人なんてきっといないわ。誰かが言ってたもの。<br />
心って、思っているよりずっと複雑なのよ。</p>
<p>「きみって変わってるなあ」</p>
<p>笑いながら言うものだから、嘲笑されたのかと思ったけれど、そうではなかった。</p>
<p>「でも、そこがきみの魅力なんだろうね」</p>
<p>出会って間もない人間に、魅力がどうの、なんて話をされるとは。<br />
わたしも変わってるかもしれないが、この人だって十分変わってる。<br />
比べる対象がいないのが残念だ。前述の通りこの島には人が少ないから。</p>
<p>「で、どうして海が嫌いなのに見てるの？」</p>
<p>「……正確に言うと、海は見てないわ」</p>
<p>「じゃあ、なにを？」</p>
<p>わたしは腕を真っ直ぐ伸ばして、水平線を指差した。</p>
<p>「海の先」</p>
<p>なんの変哲もない、ただの線が横たわっているだけ。<br />
でもわたしは信じているんだ。<br />
この線を越えると、まだ見たことのない世界が広がっているって。<br />
村の人に言うと、みんな口をそろえて「そんなものない」って言う。<br />
マリンだけは、きっとあるよって言ってくれるけど。</p>
<p>「だから海が邪魔なの。嫌いなの。海さえなければ、どこへだって行けるから」</p>
<p>「なるほどね。……ねえ、僕がどこから来たか、知ってる？」</p>
<p>なぜそんなことを聞くんだろう。<br />
この島にいる以上、メーベの村から来たに決まってるのに。<br />
待って。<br />
わたし、この少年のこと、知らない。<br />
狭い村で、知り合いがいないってこと、ありえないのに。<br />
海を見てるのに夢中で気づかなかった。<br />
そうだ。わたしはこの少年を知らない。</p>
<p>「僕は、ここに漂着したんだよ」</p>
<p>ということは、やはり他の世界があるのだ。<br />
長いこと繋がりがなかったこの島に見えた、一筋の標。</p>
<p>「じゃあ、あなたは知らせにきたのね」</p>
<p>この島の、閉塞の終わりを。<br />
そう言うと、少年は笑って、</p>
<p>「そうかもしれない」</p>
<p>と言った。<br />
実際、わたしは興奮していた。<br />
このつまらないたいくつな世界が、華々しいものに突如変わった気がして、目の前がクリアになった気がして。<br />
少年がとてもすばらしい存在のように思えたのだ。<br />
少年はおもむろに立ち上がって、</p>
<p>「僕はリンク。きみは？」</p>
<p>「未登録名前」</p>
<p>熱に浮かされた頭で答えた。</p>
<p>「未登録名前。また会おうね」</p>
<p>わたしの視線はすでに、リンクから離せなくて。<br />
彼が海岸を去るまで、ずっと、ずっと見ていた。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>その日から、海岸に行くのが日課のようになっていた。<br />
行けば、またリンクに会えるような気がして、わたしは夜になるまでそこにいた。<br />
けれどあの日以来リンクに会うことはなかった。</p>
<div style="height:50px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>なのにその日だけは、違った。</p>
<div style="height:80px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>海岸に向かうと、リンクの後姿が見えた。<br />
わたしは嬉しくなって駆け寄ろうとして、足を止めた。<br />
一緒に、誰かいる。<br />
あれはマリンだ。<br />
とっさに、わたしはヤシの木の陰に隠れた。別に隠れることはないのに、なぜだかいけないものを見た気がしてしまい、そうするよりなかった。<br />
会話が聞こえる。</p>
<p>「リンクを見つけたとき、私ドキドキしたわ」</p>
<p>「どうして？」</p>
<p>そうか、リンクを助けたのはマリンだったのか。</p>
<p>「この人は海の向こうから、なにかを告げに来たんだって」</p>
<p>それは、わたしが言った言葉よ。</p>
<p>「そうかもしれないね」</p>
<p>それはわたしに言った言葉じゃない。リンク。<br />
わたしはもう、耳をふさいでいた。<br />
その場にしゃがみこんで、これ以上何も聞くまいと。<br />
あんなに仲のよさそうに話す二人に、割ってはいることはできない。<br />
マリンがリンクを助けたのなら、なおのこと。<br />
強い絆が、二人にはある。<br />
わたしが入る余地なんて最初からなかった。<br />
なのにわたしは。</p>
<p>二人が並んで海岸を後にする。<br />
もう、耐えられなかった。<br />
わたしは走った。海に向かって。<br />
突然現れたわたしに驚いていた二人。<br />
かまわずわたしは海に飛び込んだ。</p>
<p>ばしゃん</p>
<p>海の水は昼間だというのに刺すように冷たく、わたしの体にまとわり付いた。<br />
口からごぼごぼと泡がでる。もう息がもたない。</p>
<p>ほら、はやくたすけてよ。わたしがおぼれているのよ。<br />
ねえったら。どうしてたすけてくれないの。<br />
わたし、あなたにたすけてほしくてとびこんだのに。<br />
どうしてマリンとどこかへいってしまうの？<br />
はやく、はやく、でないとほんとうにしんでしまう。<br />
おねがい。おねがい。はやく、おねがい、</p>
<p>「早く！」</p>
<p>わたしは布団から跳ね起きた。<br />
目からは涙がこぼれていた。<br />
そう。あれは夢。でもどこから？<br />
きっとわたしが飛び込むところから。<br />
ほんとうは、木の下でずっと縮こまってた。<br />
出て行く勇気なんてなかった。<br />
すごすご家に帰って、布団に入って、泣いていた。</p>
<p>わたしはリンクのことを好きになってた。<br />
けれど思いはもう届くことはない。</p>
<p>海は嫌い。嫌いよ。<br />
でも本当に嫌いなのは、わたし自身だったことに、その時は気づかなかった。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>（そんなことを話す子が、前にいたよ）<br />
（あら、未登録名前のことかな）<br />
（うん。すごく魅力的でね）</p>
<p>（僕は未登録名前のことを好きになってた）</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>Title：岩館真理子</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>お化けがこわい！</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e3%81%8a%e5%8c%96%e3%81%91%e3%81%8c%e3%81%93%e3%82%8f%e3%81%84%ef%bc%81/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 Jan 2023 10:20:43 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[※会話のみ 「ねーちょっと聞いてよ、こないだ怖いことがあったのよ」 「なんだよ」 「夜に一人でさ……」 「待った。やっぱり聞かねえ」 「えーなんでよ？あ、もしかして怖い話苦手？お化けとかそういうの」 「べっべつに苦手じゃ...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e3%81%8a%e5%8c%96%e3%81%91%e3%81%8c%e3%81%93%e3%82%8f%e3%81%84%ef%bc%81/" title="続きを読むお化けがこわい！">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>※会話のみ</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>「ねーちょっと聞いてよ、こないだ怖いことがあったのよ」</p>
<p>「なんだよ」</p>
<p>「夜に一人でさ……」</p>
<p>「待った。やっぱり聞かねえ」</p>
<p>「えーなんでよ？あ、もしかして怖い話苦手？お化けとかそういうの」</p>
<p>「べっべつに苦手じゃねえし！」</p>
<p>「ムキになるあたりが怪しいなあ」</p>
<p>「平気だっつってんだろ！ぶっとばすぞ！」</p>
<p>「なーんで怒るのよ。それに平気なら別に聞いてくれてもいいじゃない」</p>
<p>「嫌だ」</p>
<p>「一人で鏡の前でー」</p>
<p>「かっか勝手に話し出すんじゃねーよバカ！」</p>
<p>「やっぱ怖いんじゃない」</p>
<p>「別にこわくねーよ！もう俺は帰るぞ！」</p>
<p>「ほんとうに帰るの？」</p>
<p>「な、なんだよ声色変えて」</p>
<p>「知ってる？ハイリア湖って結構入水自殺者多いのよ。神殿住みのダークは知らないかな？」</p>
<p>「うっ……嘘だそんなの」</p>
<p>「本当よ。んでもって、出るらしいのよ」</p>
<p>「な、なにが、だよ」</p>
<p>「幽霊よ」</p>
<p>「うわあああああいやだああああああ！！！！」</p>
<p>「やっぱ怖いんじゃない」</p>
<p>「バカヤロウ！お前がそんな話するから帰るに帰れなくなっただろうがあ！」</p>
<p>「じゃあここに住めば？」</p>
<p>「は？」</p>
<p>「一緒に暮らしたら、きっと怖いのも半減よ」</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>（ああ、だから水の神殿のあそこのフロアだけ明るいのか）<br />
（察するな）<br />
（大丈夫大丈夫、わたしがいるから）<br />
（……普通、立場逆じゃね？）</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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	</channel>
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