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	<title>ソニック短編 &#8211; 揺れる</title>
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	<title>ソニック短編 &#8211; 揺れる</title>
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		<title>右と左を駆ける熱</title>
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		<pubDate>Thu, 12 Jan 2023 16:01:33 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[　仮面から覗く唯一の瞳は、彩度の高い黄色。全身は白と黒で構成されているからか、そこだけが毒々しいまでに鮮やかな色をしているのが、たまらなく美しいと思った。 　手を伸ばして、途中で止めた。がちゃりと鳴った手錠と鉄格子が、彼...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e5%8f%b3%e3%81%a8%e5%b7%a6%e3%82%92%e9%a7%86%e3%81%91%e3%82%8b%e7%86%b1/" title="続きを読む右と左を駆ける熱">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>　仮面から覗く唯一の瞳は、彩度の高い黄色。全身は白と黒で構成されているからか、そこだけが毒々しいまでに鮮やかな色をしているのが、たまらなく美しいと思った。<br />
　手を伸ばして、途中で止めた。がちゃりと鳴った手錠と鉄格子が、彼から温度を貰うことを阻んだのだ。</p>
<p>「無意味なことをするな」</p>
<p>　くぐもった、冷たい声がする。</p>
<p>「貴様はもうすぐあの世逝きだ。あの忌々しい救世主どもを殺せば捕虜の意味を成さない。奴らが引き裂かれるのをそこで見せてやろう。……必ず、貴様の恐怖を抉り出してやる」</p>
<p>　冷たい声に苛立ちという熱が混じった。<br />
　その声に、わたしの背筋にぞわぞわとしたものが走り抜ける。顔中に熱が集まり、自然と涙腺が緩んだ。</p>
<p>「わたし、その瞬間が待ち遠しいんだよ」</p>
<p>　インフィニットは何も言わない。感情の消えた瞳を私に向けているだけだ。</p>
<p>「あなたの傷がほしいの。傷をちょうだい」</p>
<p>「……俺の傷は、俺だけのものだ」</p>
<p>　何度繰り返したか分からない言葉に、返ってくるのはやはり何度繰り返したか分からない言葉だった。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>（それでもあなたは声をくれる）</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<title>ピンヒールと少女</title>
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		<pubDate>Thu, 12 Jan 2023 12:05:25 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[　長いピンヒールが似合うねと言われた。 　足がきれいだからよく映えるだろう、そう言ったのは付き合いたての恋人だった。何かのきっかけでそういう話になって、そしてそのまま近くの靴屋に入った。色とりどり、形もさまざまな靴たち。...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e3%83%94%e3%83%b3%e3%83%92%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%81%a8%e5%b0%91%e5%a5%b3/" title="続きを読むピンヒールと少女">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>　長いピンヒールが似合うねと言われた。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>　足がきれいだからよく映えるだろう、そう言ったのは付き合いたての恋人だった。何かのきっかけでそういう話になって、そしてそのまま近くの靴屋に入った。色とりどり、形もさまざまな靴たち。今まで選ばなかったもの。私が目を白黒させていると、恋人は真っ赤なピンヒールのパンプスを私の前に差し出した。おそるおそる足を入れ、立ち上がる私を見て、恋人はこう言った。</p>
<p>「きれいだな」</p>
<div style="height:200px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>　ばち、と目が合った。鮮烈な青色とふたつの緑がわたしを捉えている。呆けていると、目の前の青色はくつくつと笑った。</p>
<p>「名乗りもせず悪かった。オレはソニックだ」</p>
<p>　ハリネズミ……なのだろう。長いハリにとがった耳、鮮やかなエメラルドグリーンの大きな瞳。カフェのカウンターに寄りかかって、わたしを興味津々と見上げている。<br />
　胸中でこぼした。ああまたか、と。</p>
<p>「あなたの相手をしてる暇はないわ。わたし、人を待っているの」</p>
<p>「Oh, そうだったのか。邪魔したな」</p>
<p>　わざと突き放した言い方にも、彼は気を悪くした様子でもない気安さだった。だからこそ、余計に腹が立った。なんなんだいきなり、と。</p>
<p>「ソニックさんや、うちの店でナンパはよしとくれよ」</p>
<p>　見かねてか、カフェのマスターが声をかけてくれた。まだ若い女性だが、一人で店を構えているだけあって周囲をよく気にかけてくれる。</p>
<p>「そんなつもりじゃなかったんだがなぁ」</p>
<p>「人当たりが良いからねぇキミは……あーそうだ」</p>
<p>「What?」</p>
<p>「エミーが来るって言ってたんだわ」</p>
<p>「No way! 早く言ってくれよ！」</p>
<p>「ごめーんすっかり忘れてたや」</p>
<p>「頼むぜまったく……じゃあな！」</p>
<p>　言い終わるか否かのうちに、彼はピュンと風を巻き上げて走り去っていった。<br />
　なんてスピードだろう。本当に一瞬だった。瞬きをする間にもう姿がないなんて、一体彼は何者なんだろう。</p>
<p>「ソニック・ザ・ヘッジホッグ。ここいらじゃあ名前が知れてるよ」</p>
<p>　呆気に取られているのを見てか、マスターが付け加えた。</p>
<p>「有名人？」</p>
<p>「そらもうむちゃくちゃに有名人よ。知らない？」</p>
<p>「全然」</p>
<p>「あらら」</p>
<p>「軟派な人だというのは分かったわね」</p>
<p>「うーん手厳しいなぁ……ところで」</p>
<p>　マスターはカウンターに肘をつき、</p>
<p>「待ち人は来そうかい？」</p>
<p>　視線が、伏せられたままの携帯電話に向く。ピクリとも動かない、静かなまま。</p>
<p>「……今日は、ダメみたい」</p>
<p>「そーかぁ」</p>
<p>　気があるようなないような声で返事をすると、マスターはキッチンを片付け始めた。</p>
<div style="height:200px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>　「ピンヒールが似合う」というのは、初めて言われたことだった。<br />
　初めての言葉。今まで選ばなかったものたち。いままで誰の目にも留まることのないような私だったが、それは自分に新しい風を生み出してくれるような心地がした。<br />
　数センチ。ほんの数センチ高いところから見る景色は、今まで見たことのない全く別の世界のように見えた。その世界にたじろぐ私に彼がまた言った。「やっぱり、似合うなぁ」<br />
　声をかけられることが多くなった。長いピンヒール、真っ赤なルージュ、鮮やかに塗られたネイルはきっとよく目を引くのだろう。自分を飾るのは楽しいと思う。髪型と服の組み合わせを考えたり、季節によって違う色をネイルにしたり。新しい自分を少しずつ発掘していくような、そんな気持ちになれる。<br />
　それらを教えてくれた彼のことを特別に想うようになったのも、ごく自然のことだった。彼と一緒にいればどんどん新しい世界が見えてきそうで、楽しくて、きっと私はこの人と一緒に生きていくのだと、そう思った。</p>
<p>　だけど。<br />
　<br />
　目を覚ます。部屋の中は薄暗く、閉め忘れたカーテンの向こうは星が輝き始めていた。ソファから起き上がり、軋む背中をなんとか伸ばしながらローテブルに投げ出したままの携帯電話を見た。</p>
<p>　今日は遅くなる</p>
<p>　（今日「は」、ねぇ……）</p>
<p>　通知画面に表示されたそっけない一行。既読を付けるだけで返事はせず、また携帯を伏せて目を閉じた。</p>
<div style="height:200px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>「よ」</p>
<p>　鮮烈な青。透き通る緑。まるでそうするのが当たり前みたいに、昨日のハリネズミはわたしに笑いかけた。名前は、そう。</p>
<p>「……ソニック」</p>
<p>「Yes!　覚えててくれてたんだな」</p>
<p>「店を変えるべきだったわ」</p>
<p>「そう言うなって」</p>
<p>　笑いながら、彼はぽんぽんと隣の椅子を叩いた。なぜこんな態度が取れるのだろう。不思議でならないが、今から店を変えると昼休みの時間がなくなってしまう。仕方なく、わたしはソニックの隣に腰掛けた。マスターは接客中で、今日は助け舟を期待できそうにない。<br />
　ランチメニューを広げていると、不意にソニックが「そういえば、」と切り出した。</p>
<p>「Aランチが売り切れだって言ってたぜ」</p>
<p>「うそ、目当てだったのに」</p>
<p>　このお店のランチはほとんどが日替わりで、そのどれもが美味しいから日々の楽しみになっていた。しかし、ないとあれば仕方がない。代わりにBランチのパスタを注文し、マスターが慌ただしそうに準備するのをカウンター越しに見ていた。</p>
<p>「雑誌かなんかに載ったらしいな、こんな反響あるとは思わなかったーってよ」</p>
<p>　ソニックの言葉に周囲を見渡すと、確かにいつもより客数が多い気がした。</p>
<p>「そうなんだ。隠れ家的なお店だと思ってた」</p>
<p>「本人もそのつもりだったらしいぜ」</p>
<p>「でもまぁ、有名になるのは素直に嬉しいことね。ここ、美味しいもの」</p>
<p>「な。常連としちゃ嬉しいもんだ」</p>
<p>「あなた常連だったの？全然見たことなかった」</p>
<p>「Ah, 普段は色んなとこ旅してるからな。こないだ帰ってきたばっかりなんでね」</p>
<p>「それでか。じゃあ、これからはよく来るの？」</p>
<p>「そのつもりさ。アンタもよく来るんだろ？また会うかもな」</p>
<p>「そうかもね」</p>
<p>　ふふ、と笑みをこぼすと、ソニックはきょとんとした顔になった。</p>
<p>「どうしたのよ」</p>
<p>「嫌がらないんだなーと思ってさ」</p>
<p>「嫌がる？」</p>
<p>「初めて会った時からさ、嫌われてるもんだと思ってた」</p>
<p>「ああ……」</p>
<p>　言われてみれば、初対面のときは印象が悪かった。最悪だったと言ってもいい。<br />
　けど、今は不思議とそんな気持ちは湧いてこない。それどころか、少し、楽しいという気さえしている。自分でもよく分からない。でも、ソニックともっと話がしたいと思っている。<br />
　あれ、そもそも。<br />
　わたし、どうしてソニックのこと嫌ったりしたんだろう。最初にソニックに言われた言葉、それがなぜか私の胸につかえて苦しくなった気がする。その言葉は、――</p>
<p>「きれいだな」</p>
<p>　どくり。</p>
<p>「え……」</p>
<p>「今日履いてる靴も似合ってる」</p>
<p>　今日履いてる靴は、</p>
<p>「そう？ありがとう」</p>
<p>　靴は、</p>
<p>「そういやアンタ、名前は？」</p>
<p>　今日は、</p>
<p>「……未登録名前」</p>
<p>「未登録名前。また会おうぜ」</p>
<p>「ええ」</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>　今日はヒールのない白いパンプスだった。</p>
<div style="height:200px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>　夜から雨が降りそうだった。外食するには不安があるものの、今日のほかに予定が合わない。洒落たレストラン。落ち着いた客層。正面に座る恋人の、慣れた手つきのフォーク。</p>
<p>「久しぶり」</p>
<p>　困った様子で恋人が言う。</p>
<p>「久しぶり」</p>
<p>　出来るだけ、色を消した。</p>
<p>「こういう店も久しぶりだな」</p>
<p>「そうね」</p>
<p>「ごめんな、最近忙しくて、なかなか会えなくて」</p>
<p>「……そうね」</p>
<p>　知っている。<br />
　その言葉が嘘でないのを。彼は有名企業に勤めていて、芽を出そうと懸命になっている。毎日勉強をして、慣れない接待をしていることを。<br />
　知っている。<br />
　その中で、徐々に薄らいでいく感情があるといいうことを。</p>
<p>「わたしね」</p>
<p>　びくりと、彼が肩を震わせた。</p>
<p>「ピンヒール、好きじゃなかったみたい」</p>
<p>　彼の視線が私の足元に向いた。</p>
<p>「……そうか」</p>
<p>　長く息を吐いて、目を伏せた。</p>
<p>「だから、さよなら」</p>
<p>　立ち上がって、わたしは店を出ていく。最後まで彼は、私を見ることはなかった。</p>
<p>　冷たい夜霧が街を包んでいる。風を切って進むたびに冷気が頬を撫で、首の後ろを通り抜ける感覚に身震いした。そのとき誰かの談笑が聞こえて、聞きたくなくて首をすくめた。<br />
　こんな寒い思いをしているのはきっとわたしだけなのだ。そんな錯覚をして、どうしてもいられなくて、私は足早に家に向かう。けれど長いヒールでは思うように走れない。カツカツという短い足音だけが、いやに反響しているように聞こえた。<br />
　がつ、と石を踏んだ。<br />
　地面に投げ出される。荷物が散らばって、擦り剥いた膝からは血が滲んだ。痛みを堪えて立ちあがろうとして、違和感を覚える。靴のヒールが片方だけ根本から折れていた。<br />
　目の奥がじんわりと痛み出す。歯を食いしばって堪えても、勝手に涙が頬を伝い落ちた。何か叫びたくて、けれど叫ぶ言葉が見つからなくて、嗚咽だけが喉から漏れる。<br />
　きっと間違いだった。最初から、全部間違っていた。それなのに、ばかな私はそんなことにも気づけなかった。<br />
　嫌いだ。ぜんぶ、なにもかも、派手なルージュも、おしゃれなレストランも、長い長いピンヒールも、みんな。</p>
<p>　けれど一番嫌いだったのは。</p>
<p>「……未登録名前？」</p>
<p>　俯いた視界に、赤い靴。<br />
　ゆっくりと顔を上げた。<br />
　眩いばかりの、あの鮮烈な青と緑色。</p>
<p>「ソニック……」</p>
<p>　ソニックは驚いていた様子だったが、わたしの足と靴を交互に見て、すぐさま折れたヒールと靴を拾いわたしの腕を自身の肩に回した。</p>
<p>「っえ、」</p>
<p>「ちょいと歩きにくいと思うけど、我慢してくれよ。家は近いのか？」</p>
<p>「う、うん。でも」</p>
<p>「行くぜ。疲れたらオレの靴を踏んでいいからな」</p>
<p>　腕を引かれてゆっくりと立ち上がる。ソニックに合わせて屈んでいるのでいつもより景色が低い。ヒールを履いていては、決して見えないもの。</p>
<p>「……わたし」</p>
<p>　片足ずつ進む道。</p>
<p>「違う自分になりたかった。メイクをしたり、きれいな服を着たりしてると、今まで見えなかった自分の姿が見えるみたいで楽しかった。けど、それって」</p>
<p>　ぽた、と、小さな雫が地面を打つ。</p>
<p>「間違ってたんだよね」</p>
<p>　ぽた、ぽた、雫はいつしか数を増やす。雨が、少しずつ勢いを増した。</p>
<p>「オレは間違いだなんて思わない」</p>
<p>　きっと。<br />
　ひどい雨になると思っていたのに。</p>
<p>「どんな姿も、それは間違いなく自分の一部さ」</p>
<p>　雫は小さく地面を濡らす。冷たい、けれど透き通るような空気が頬を撫でた。</p>
<p>「ありがとう」</p>
<p>　今のわたしは、初めて高いヒールを履いたときよりも不恰好に歩いていることだろう。誰かの手を借りて、低く屈んでよろよろと歩く。傷だってまだ痛むし、化粧だって雨で流れ落ちているはずだ。だけど、これからのわたしはピンヒールが似合わないと、そう思えることがなんだか誇らしくて、嬉しかった。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>真夏の驟雨も悪くない</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e7%9c%9f%e5%a4%8f%e3%81%ae%e9%a9%9f%e9%9b%a8%e3%82%82%e6%82%aa%e3%81%8f%e3%81%aa%e3%81%84/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 12 Jan 2023 12:03:19 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[　お店から外に出ると雲行きがあやしく、今にも降り出しそうな気配をみせていた。急いで帰ろうと走り出したところでぽつりぽつりと降り出してしまったので、仕方なく近くの軒先を借りることにした。シャッターが閉まっていたので少し申し...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e7%9c%9f%e5%a4%8f%e3%81%ae%e9%a9%9f%e9%9b%a8%e3%82%82%e6%82%aa%e3%81%8f%e3%81%aa%e3%81%84/" title="続きを読む真夏の驟雨も悪くない">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>　お店から外に出ると雲行きがあやしく、今にも降り出しそうな気配をみせていた。急いで帰ろうと走り出したところでぽつりぽつりと降り出してしまったので、仕方なく近くの軒先を借りることにした。シャッターが閉まっていたので少し申し訳ない気持ちになりながら、バッグからハンカチを取り出してほんの少し濡れた肌を拭いた。<br />
　夏の夕立なんて珍しくもなんともないのだけれど、どうしても、わたしが出かけた時に限って、だなんて考えて憂鬱になる。<br />
　雨はどんどん勢いを増していき、ごろごろと雷も鳴り始めた。これはあと1時間くらいは続くかなぁなんて思っていると、大きく風が吹いたのでぎゅうと目をつむった。そして再びあけたとき、驚きのあまり一瞬言葉をわすれてしまった。</p>
<p>「……シャドウ？」</p>
<p>「他にどう見える」</p>
<p>　しばらく見つめて、おそるおそる彼の名を口にすると、いつものような口調でふんと鼻を鳴らした。すごい偶然だけど、きっとシャドウも急な雨に降られてここに駆け込んだに違いない。彼の体もすっかり濡れて――あ！</p>
<p>「シャドウ、濡れたままじゃ風邪ひいちゃうよ」</p>
<p>「僕は風邪など引かない」</p>
<p>「いいから！これ……使っちゃった後で悪いけど」</p>
<p>「いらんと言っている……」</p>
<p>　それでもハンカチを出しても払いのけるそぶりを見せなかったので、わたしは水滴を払うように拭いていった。<br />
　ぱたぱたと地面を濡らしていくしずくと、その一歩先にある大粒の雨。とても対照的で、不思議な気持ちになる。つまさきから向こう側はまるで別の世界のようだ。ほんのすこししか、変わらないのにね。</p>
<p>「おい」</p>
<p>　呼ばれて手を止めると、すこしだけ目を細めたシャドウがこちらを見上げていた。</p>
<p>「針はいい」</p>
<p>「え、でも、いちばんひどく濡れているよ」</p>
<p>「いいから触るな」</p>
<p>　ぴしゃりと言われては、引っ込むよりほかはない。もしかしたら、針はむやみに触られたくない場所なのかもしれない。とても大事なものだから、親しい人以外には触れてほしくないのかも。わたしはまだ、親しくはないのだろうなぁ。ちくり、胸が痛む。</p>
<p>「あ、雨、まだやまないねぇ」</p>
<p>　気にしないふりをして、わたしは正面に向き直った。雨はざあざあ降り続き、雷も近づいて、声だって大きくしなければ聞こえないほどだ。雷は、そんなに苦手ではないけれど、急に光るとびっくりして肩がすくんでしまう。でもそんなところをシャドウに見られるのははずかしいから、やっぱりなんでもないように死線をあちこちめぐらせていた。</p>
<p>「未登録名前は」</p>
<p>「え？」</p>
<p>「どこかの、帰りだったのか」</p>
<p>　シャドウが話をふってきたことを珍しく思い、わたしはうれしくて頬を緩ませた。</p>
<p>「うん。これから家に帰るところだったの。でも天気予報、見てなくて、こんな夕立が来るだなんて知らなかった」</p>
<p>「まぁ、夏だからな」</p>
<p>「そうだねえ、夏は、空がきらきらしていて好きだけど、出かけたときにかぎってこんなふうに雨がふっちゃうのは、困るなぁ」</p>
<p>「僕は、そこまで嫌いではないな」</p>
<p>「そうなの？なんだか意外……てっきり邪魔だって言うかと」</p>
<p>「まぁ面倒ではあるが……雨自体が嫌ではない」</p>
<p>「そうなんだ。でも確かにシャドウと雨って似合うかも。落ち着いてて、雨の音以外静かで」</p>
<p>「君には僕がそう見えるのか」</p>
<p>「うん。あ、もしかしてへんなこと言った？気を悪くしたのなら、ごめん」</p>
<p>「いいや、――」</p>
<p>　シャドウがそこで言葉を切り、ふと上を見上げたので、わたしもつられて上を見ると、雲のすきまから光がさしていることに気がついた。</p>
<p>「雨、あがるね」</p>
<p>「そうだな」</p>
<p>　わたしは、もったいないな、と思った。いつも忙しくしているシャドウと、こんなふうにばったり出会って、ゆっくりと会話をすることなんてないから、この時間が終わってしまうのが、とても、もったいなかった。せめてもうすこしだけ、と願いをかけてみるけれど、あんなに勢いよく降っていた雨はいつしか小雨になり、ぬるい風とともにぴたりと止んでしまった。</p>
<p>「よかった、ようやく帰れる」</p>
<p>　うそ。ほんとうは全然よくなんかない。でも、そんなふうに思っているのはきっと私だけだろうから、わたしは一歩前に出てシャドウを振り返る。</p>
<p>「それじゃあ、またね」</p>
<p>「ああ」</p>
<p>　ゆるく手を上げてみせると。シャドウもまた返してくれて、そのあと、ぴゅうと姿を消してしまった。そうか、シャドウには空間を移動するちからがあるんだった。惜しいなぁ、もうちょっとだけ姿を見ていればよかった――</p>
<p>「……あれ」</p>
<p>　じゃあ、シャドウには、あまやどりなんて、</p>
<p>　その事実に気がついたとき、わたしの顔に全身の熱があつまったみたいになって、ひょっとしたら真夏の太陽よりも熱くなってしまったんじゃないだろうか。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>彼はヒーロー</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e5%bd%bc%e3%81%af%e3%83%92%e3%83%bc%e3%83%ad%e3%83%bc/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 12 Jan 2023 12:02:16 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[　わたしには、好きなひとがいます。 「こんにちは。ビッグ君、かえる君」 　ミスティックルーインの端っこ、ビッグ君のおうちを訪ねれば、彼とそのおともだちはいつものように川べりで釣り糸を垂らしていた。ビッグ君はわたしの声にか...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e5%bd%bc%e3%81%af%e3%83%92%e3%83%bc%e3%83%ad%e3%83%bc/" title="続きを読む彼はヒーロー">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>　わたしには、好きなひとがいます。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>「こんにちは。ビッグ君、かえる君」</p>
<p>　ミスティックルーインの端っこ、ビッグ君のおうちを訪ねれば、彼とそのおともだちはいつものように川べりで釣り糸を垂らしていた。ビッグ君はわたしの声にかたほうだけ耳を立てて、大きなからだをこちらに向けた。</p>
<p>「こんにちは、未登録名前」</p>
<p>　ビッグ君ののんびりとした声に頬を緩ませながら、わたしは小走りで駆け寄った。</p>
<p>「今日もね、お弁当を作ってきたの。お昼がまだなら、どうかな」</p>
<p>「うわぁい、ありがとう」</p>
<p>　持ってきたバスケットを見せると、ビッグ君は釣り竿から手を離して座り直してくれた。かえる君も嬉しそうに、ビッグ君の頭の上で飛び跳ねていた。<br />
　彼はからだがおおきいからたくさん食べる。用意するのは大変だけれど、作っているあいだじゅうビッグ君のことを考えていられるのはしあわせなことだと思った。</p>
<p>「今日はどう？つれた？」</p>
<p>「あーんまりー。でも、」</p>
<p>「でも？」</p>
<p>「釣りしてるだけで、楽しいからー」</p>
<p>「ふふ、そっか」</p>
<p>「うん」</p>
<p>　お昼を食べながら、こうやって何でもない話をするのが、一番好き。彼と一緒ならどんなお話だって嬉しくてたのしくなるから、ビッグ君はとてもふしぎなひとだと思う。都会の喧騒なんかはまるきり届かないような、この場所も大好きだ。<br />
　初めて会ったのは、ステーションスクエアだった。あのときは街がエッグマンに襲われていて、ひとでごった返した中をわたしも逃げまどっていた。こわくて、心ぼそくて、泣きだしそうになるのをぐっとこらえていたけれど、だれかに押されて転んでしまい、膝をすりむいた痛みで涙があふれてしまった。押したひとも誰かわからない、泣いてるわたしを振り返るひとも誰もいない。さびしくてもううごけない、そんなふうに思って地面にへたり込んでいたとき、大きな大きな手がわたしの前に差し出されたのだ。</p>
<p>「だいじょうぶー？」</p>
<p>　釣り竿を肩にかけた大きなネコは、周りの騒がしさとはかけはなれた声でわたしの前で膝を折っていた。びっくりしたわたしは涙もとまり、何回かまばたきしたあとその大きな手に自分のものをかさねた。<br />
　あの時から、ビッグ君はわたしのヒーローだった。騒動を解決してくれたのはおなじみの青い彼だけれど、手を差し伸べてくれたビッグ君のあたたかさは、わたしの中でいちばんきらきら輝いていた。だから、彼はわたしのヒーローなんだ。<br />
　ふっ、と疑問がうかんだ。ビッグ君は、あの時のことをおぼえているだろうか。わたしがこうしておうちを訪ねること、なんでかって分かってくれてるだろうか。もしかしたら、ビッグ君はやさしいから、気にしていないだけなのかもしれない。だって彼は一度もあの時の話をしたことがない。<br />
　一度そんなふうに思いはじめると、不安が、とまらなくなってしまう。</p>
<p>「未登録名前？」</p>
<p>　はっとすると、ビッグ君が首をかしげながらわたしを覗きこんでいた。わたしは慌てて「なんでもない」と言い、すっかりカラになったバスケットを抱える。</p>
<p>「ごめん、今日はもう帰るね」</p>
<p>　こんな気持ちでビッグ君のとなりにいるのがなんだか辛くて、わたしは逃げるように背をむける。その瞬間、足がもつれてバランスが崩れた。</p>
<p>「――！！」</p>
<p>　倒れる。ぎゅっと目をつぶった。だけどわたしのからだは、あたたかいものに支えられていた。<br />
　ビッグ君がわたしの腰に腕を回して、しっかりと抱えていたのだ。</p>
<p>「あーぶないよー」</p>
<p>「ビッグ、くん」</p>
<p>「未登録名前はー、初めて会ったときからー、あぶなっかしーよ」</p>
<p>　初めて会ったとき。<br />
　その言葉に、わたしは目の奥がじんと熱くなった。</p>
<p>「ありがと、う」</p>
<p>　わたしはそのまま、ビッグ君のおなかにしがみついた。泣いているのをみられたくなくて、でもビッグ君のあたたかさに触れていたくて、真っ白くてやわらかい毛に顔をうずめた。<br />
　ビッグ君は、なにか考えたふうで小さくうーんと言ったあと、もうかたほうの腕をわたしに添えてくれた。その手はやっぱり大きくて、あたたかくて、とっても安心できる手だった。<br />
　遠くのほうで、かえる君がけろけろと鳴く声が聞こえた。</p>
<p>　わたしには、今でもずっと、好きなひとがいます。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>寂しがりの応酬</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e5%af%82%e3%81%97%e3%81%8c%e3%82%8a%e3%81%ae%e5%bf%9c%e9%85%ac/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 12 Jan 2023 12:01:33 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[　暇だ。暇すぎる。暇が売れたら大儲けできるくらい暇だ。 「シャドウー。ねーシャドウー」 「うるさい、気が散る」 　さっきから何度も呼びかけているが、シャドウはローテーブルの上に広げたノートパソコンから目を離さずに同じ返事...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e5%af%82%e3%81%97%e3%81%8c%e3%82%8a%e3%81%ae%e5%bf%9c%e9%85%ac/" title="続きを読む寂しがりの応酬">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>　暇だ。暇すぎる。暇が売れたら大儲けできるくらい暇だ。</p>
<p>「シャドウー。ねーシャドウー」</p>
<p>「うるさい、気が散る」</p>
<p>　さっきから何度も呼びかけているが、シャドウはローテーブルの上に広げたノートパソコンから目を離さずに同じ返事しかしてくれない。観念した私はクッションを枕にソファに寝そべった。<br />
　昨日の電話で、シャドウはいつ休みなのと聞けば明日だと答えたのでいそいそとマンションまで遊びにきたが、昼頃に私が来たときからずっとこの調子だ。休みじゃないじゃないか。っていうか休みあるならもっと早く教えて欲しい。仮にも私は恋人なのだし。……自分で『仮にも』なんて言ってしまうのがめちゃくちゃ悲しいけど。<br />
　もう一度、シャドウを見る。相変わらず、視線はパソコンに向かったまま。なんだこれ、私いる意味あるのかな。もう帰っちゃおうかな。</p>
<p>「帰ろうとするな」</p>
<p>　心臓が跳ね上がる。</p>
<p>「シャドウって心も読めるの」</p>
<p>「君限定でな。顔を見ればそのくらい分かる」</p>
<p>　はあ、それって私が分かりやすいってことですかそーですか……ってちょっと待て。シャドウはずっとパソコンに向かってて、私のことなんか全然見てなかったはず。<br />
　なのに。<br />
　がばっと起き上がって、枕にしていたクッションを抱きしめた。</p>
<p>「シャドウ。帰るのやめた」</p>
<p>「……そうか」</p>
<p>　心なしか声が優しくなった気がして、私は自然と笑顔になる。</p>
<p>「帰ってほしくないんだもんね？」</p>
<p>　もう一つ、気づくのが遅れたことを口にしてみると、返事の代わりにシャドウの額にシワが刻まれた。その意味が分かった私はますます気分良くシャドウを見つめる。このままシャドウを待ち続けても、きっとさっきみたいな気持ちにはならないだろう。</p>
<p>「……全く」</p>
<p>　ため息とともに、パソコンが閉じられた。あれ、と思う間もなくシャドウは私の手を取って立ち上がらせた。</p>
<p>「これから出かける。準備してこい」</p>
<p>「えっ……ええ！？急すぎ！ってか仕事は！？」</p>
<p>「昨日からほぼ徹夜だ。今日を休みにするために。時間は……午後6時か。急げ。ディナーの予約をしてあるからな」</p>
<p>「いっいつの間に！？」</p>
<p>「うるさい早くしろ」</p>
<p>　急かされて、隣の部屋に駆け込んで服装を正してから化粧を直し、バッグを確認して戻ると、シャドウはすでに玄関を開けて待っていた。急いだおかげで息が上がり、胸を押さえて深呼吸する。</p>
<p>「も、もう……本当、もうちょっと早く言ってよ……そしたらもっと可愛い服とか着てきたのに」</p>
<p>「いつもと変わらん」</p>
<p>「ひっど！私だってシャドウが気に入るようなのとか色々――」</p>
<p>「違う」</p>
<p>　ぴしゃりとした言葉に声を詰まらせる。ややあって、シャドウは私を見ないでこう言った。</p>
<p>「……いつもの君が好きだと言っている」</p>
<p>「え、と」</p>
<p>「早く行くぞ。予約時間まであと30分しかない」</p>
<p>「うええ！？間に合うの！？」</p>
<p>「何の問題もない。……それと」</p>
<p>　シャドウはカオスコントロールでもするつもりか、私を横抱きした。目まぐるしくかわる状況について行けずついにリアクションを失うと、シャドウの顔が寄せられて、</p>
<p>「夜も帰さないからな」</p>
<p>　瞬間まばゆい光に包まれ、オートロックドアが、バタン、と閉まった。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<title>桜の下に死体を埋める</title>
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		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 12 Jan 2023 12:00:55 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[　虚空に手を伸ばし、強く握り込むと目の前の巨木は紙クズのようにひしゃげて折れた。舞い上がる土煙と火の粉の中、俺は真っ直ぐ標的に向かって歩き出す。 　一瞬、土煙が揺らいだ。 　俺は胸のファントムルビーに触れ、走り寄る標的の...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e6%a1%9c%e3%81%ae%e4%b8%8b%e3%81%ab%e6%ad%bb%e4%bd%93%e3%82%92%e5%9f%8b%e3%82%81%e3%82%8b/" title="続きを読む桜の下に死体を埋める">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>　虚空に手を伸ばし、強く握り込むと目の前の巨木は紙クズのようにひしゃげて折れた。舞い上がる土煙と火の粉の中、俺は真っ直ぐ標的に向かって歩き出す。<br />
　一瞬、土煙が揺らいだ。<br />
　俺は胸のファントムルビーに触れ、走り寄る標的の空間を歪める。相手は足を縺れさせ、転がるように地面に倒れた。俺はそいつの首を片手で掴み上げ、仮面の奥で密かに嗤う。</p>
<p>「言い遺すことはあるか？」</p>
<p>　もがくレジスタンスの首をほんの少し緩めてやると、ヘルメットがずれ落ち顔が露わになる。ネコの女だった。</p>
<p>「……」</p>
<p>　女は、何も言わなかった。そのかわり口角を薄く持ち上げ、瞳を弦月のように細めて笑ってみせた。戦場にはおよそ似つかわしくない、まるで慈雨の如き微笑みだ。<br />
　気に入らない。気に入らない。何がお前をそうさせる。そんな笑顔を向けて何がしたいというのだ。お前には何も残されてはいまい。この街を染め抜いた恐怖でさえも、全て俺が奪い取った！</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>　爪を立て、そいつの首を握り潰した。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>　額から滑り落ちる汗の感触で目を覚ます。そこには咽ぶ土煙も鉄錆の匂いもない。あるのは洞穴特有の湿った空気と、薄汚れた仮面が横たわるだけだった。<br />
　あいつらに負けて以降、行き場をなくした俺は逃げるように各地を転々とした。皮肉にも仮面を付けていない俺を『俺』と認識できる者はおらず、正体が露見することなく陽の下を歩けた。<br />
　だが、こうして時々、夢をみる。<br />
　同じあの日を繰り返し、繰り返し、映像記録を巻き返すように寸分違わず記憶をなぞる。<br />
　あの時の女が俺をせせら嗤っている。<br />
　ずっと、夜よりも暗い底から嗤い声がする。女につられ、今まで積み上げた屍共も声を重ねた。木霊のように響き渡る。どれだけ耳を塞いでも、自分の声で掻き消そうとも、こびりついたように離れない。</p>
<p>――おまえは弱いんだよ</p>
<p>――じぶんの弱さを認められなかった</p>
<p>――特別になりたい？いいやおまえはただの犬だよ</p>
<p>――その目はなんだ、かたほうだけ色が違って</p>
<p>――しょせんはただの、出来損ないさ</p>
<p>「っああああ！」</p>
<p>　洞穴の奥に向かって石を投げ、俺は仮面を掴んで外に飛び出す。走ったところで行き場なんてない。そんなことは分かっている。それでも足は止まらない。俺自身、どこへ向かっているのかも分からない。俺には何も残されていない。<br />
　『俺』を知る者など、もう何処にもいないというのに。</p>
<p>「――ここ、は」</p>
<p>　森を抜けると小高い丘に出た。そこから臨む景色は、よく見知ったものだった。<br />
　一度はエッグマン軍の手により灰が降り注いだ街。それが今、崩れた建物の周囲には足場が組まれ、瓦礫は着々と運搬されていき、何より道には人が行き交っている。<br />
　ここには、何も残っていない。破壊し尽くし、恐怖で染めた。そう思っていた。思っていた？思っていたのは、誰だった？<br />
　目眩がした。思わず額に手をやり、側の折れた巨木の前で倒れるように膝を折る。<br />
　……折れた巨木？ここは、まさか。<br />
　目を見開き、視界に飛び込んできたものに息を呑む。折れた木の根元から真新しい芽が伸び、小さな蕾を蓄えていた。</p>
<p>その時、確かに視界に映った。<br />
真っ直ぐ立った巨木が薄桃色の花を咲かせ、花弁が風に舞い、踊るように青空のもとへ消えていくのを。</p>
<p>　持っていた仮面を地面に置いた。それから両手で、穴を掘る。<br />
　ここにあるのは『俺』の死体。あの日の荷物は、俺にはもう必要ない。</p>
<p>「じゃあな、インフィニット」</p>
<p>　汚れた手袋脱ぎ捨て、俺は街に背を向け歩き出す。脳裏には、吹雪くように舞う花弁で満たされていた。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>かえりみち</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e3%81%8b%e3%81%88%e3%82%8a%e3%81%bf%e3%81%a1/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 12 Jan 2023 11:59:49 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[　買い物を終えて駐輪場に向かうと、意外な姿を見かけて荷物を落としそうになった。 「ソニック……！？」 「よっ」 　私の自転車の荷台に座って、青いハリネズミがご機嫌に片手を上げた。 　夕暮れの下を自転車で走る。雲が出てきて...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e3%81%8b%e3%81%88%e3%82%8a%e3%81%bf%e3%81%a1/" title="続きを読むかえりみち">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>　買い物を終えて駐輪場に向かうと、意外な姿を見かけて荷物を落としそうになった。</p>
<p>「ソニック……！？」</p>
<p>「よっ」</p>
<p>　私の自転車の荷台に座って、青いハリネズミがご機嫌に片手を上げた。</p>
<div style="height:100px" aria-hidden="true" class="wp-block-spacer"></div>
<p>　夕暮れの下を自転車で走る。雲が出てきて少し風もあり、スピードを出せば涼しい空気が肌を撫でた。</p>
<p>「まさかソニックが迎えに来てるとはねー」</p>
<p>　自転車を漕ぎながら、背後で荷台に立つソニックに言う。ソニックは私の肩に掴まって器用にバランスを保っていた。</p>
<p>「会えてラッキーだろ？」</p>
<p>「へーへー僥倖でございますー」</p>
<p>「お前な……」</p>
<p>　なんて、嬉しいに決まってる。気まぐれなソニックと会えるなんて中々ないから、それこそ気まぐれに私を探しに来てくれたことが、嬉しくないはずがない。<br />
　自転車でよかった。隣に立っていたら、顔色できっと分かってしまうから。<br />
　ビル街を抜けて住宅の多い路地に入ると、何かを売ってるワゴンのそばを通った。</p>
<p>「お、アイス売ってた」</p>
<p>「買わないぞ、通り過ぎたし」</p>
<p>「そこまで言ってないだろ、期待はしてたけど」</p>
<p>「してんじゃないの！」</p>
<p>　瞬間、遠くのほうでゴロゴロ……という音が聞こえた。見上げれば黒い雲が徐々に迫ってきている。</p>
<p>「Shoot(ちぇっ), 通り雨か」</p>
<p>「うわーまずい。洗濯物出しっぱだよ」</p>
<p>「急げ急げ?」</p>
<p>「いやソニックは走りなよ」</p>
<p>「分かってないねぇ、未登録名前といたいんだって」</p>
<p>「はーそうですかー」</p>
<p>「棒読みかー」</p>
<p>　本当は、心臓が止まるかと思った。いつもの軽口なのに、ソニックにその気があるわけないのに、自分にどれだけ言い聞かせても喉の奥がヒリヒリするし胸が詰まって息ができない。<br />
　肩に触れる体温が、重みが、一つひとつ染み込んでいくみたいに私の体にふりかかる。<br />
　この時間が、ずっと、続けばいいのに。<br />
　そんな突拍子もないことを考えているうちに、私の家まで着いてしまう。仕方ないけれど、ソニックとはここでお別れだ。</p>
<p>「ソニック、着いたよ」</p>
<p>　しかし、なぜか後ろから降りようとしない。ソニックが乗ったままでは私も降りられず、両足を地につけたまま振り返ろうとしたが、頭に片手が添えられて動けなくなる。</p>
<p>「なーんか……」</p>
<p>「え、なに？」</p>
<p>　触れられたせいで高鳴る胸を抑えながら、ソニックの言葉を待った。だが彼は押し黙ったまま、私の髪を梳くように撫でている。何度か往復したのち、ふと手の動きが止まって、指ですくってのち離れた。</p>
<p>「……ソニック？」</p>
<p>　荷台から降りたソニックを振り返るが、彼はいつもと同じような表情をしてうんと伸びをしている。</p>
<p>「なんでも！雨振りそうだしついでに夕飯ご馳走になるかなー」</p>
<p>「別にいいけどついでにってのが釈然としない！」</p>
<p>「細かいことは気にすんな！」</p>
<p>　本当に自由なんだから……と呆れつつも、この笑顔に弱い私はいつも通りソニックと付き合うのだった。<br />
　でも、さっき。<br />
　指にしちゃすごく柔らかかったような気がするけど、多分気のせいだろう。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>イージー・ゴーイング</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e3%82%a4%e3%83%bc%e3%82%b8%e3%83%bc%e3%83%bb%e3%82%b4%e3%83%bc%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%b0/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 12 Jan 2023 11:59:01 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[「しまったなあ」 　の家に遊びに来ていて、そろそろ帰ろうかと思っていたところにの呟きが溢れる。セリフの割に緊迫感のない口調だったので大したことではなさそうだが、一応尋ねてみた。 「どうしたんだよ？」 「牛乳切らしてたの忘...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e3%82%a4%e3%83%bc%e3%82%b8%e3%83%bc%e3%83%bb%e3%82%b4%e3%83%bc%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%82%b0/" title="続きを読むイージー・ゴーイング">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>「しまったなあ」</p>
<p>　未登録名前の家に遊びに来ていて、そろそろ帰ろうかと思っていたところに未登録名前の呟きが溢れる。セリフの割に緊迫感のない口調だったので大したことではなさそうだが、一応尋ねてみた。</p>
<p>「どうしたんだよ？」</p>
<p>「牛乳切らしてたの忘れてた」</p>
<p>　些細も些細だったか、と苦笑していたら、次の一言は衝撃を生む。</p>
<p>「まだスーパー開いてるし、ちょっと行ってくるわ」</p>
<p>　時計を見れば午後7時前、いくらなんでも不用心すぎだ。</p>
<p>「危ないだろ。オレが代わりに」</p>
<p>「悪いからいいよ。歩いて十分かからないし、すぐ買って帰れば大丈夫だって」</p>
<p>　心配性だなあ、と笑う未登録名前に内心でため息をつく。確かに、ジョーシキ的に女の子一人を夜出歩かせられないってのはある。だがそれ以上に、未登録名前が訳の分からない事件に巻き込まれでもしたらと思うと、全身の針が逆立つ思いだ。</p>
<p>「なら一緒に行く。それならいいだろ？」</p>
<p>「本当心配性だなぁ。走らないからね？」</p>
<p>「たまには歩くさ。すぐなんだろ？」</p>
<p>「まあねー」</p>
<p>　なら急げと、二人揃って家を出る。外はまだ明るく、道路には車も何台か走っていたが、人通りはあまりない。やはり一人にはさせられないな、とさりげなく道路側を歩く。</p>
<p>「なんか、ソニックと並んで歩くの珍しーよね」</p>
<p>「そういやそうだな」</p>
<p>「家にきてまったりするのも珍しいなーって思ったけども」</p>
<p>「お前が家出たがらないからなー」</p>
<p>「ウッ……そういう私が引きこもりみたいな言い方よくないと思うなー？」</p>
<p>「実際休みの日はだらけてるだろー？」</p>
<p>「だってお布団最高なんだよ……」</p>
<p>「せめて起き上がれ」</p>
<p>「用があれば起きるさ！ソニックに会えるとかね？」</p>
<p>「そりゃドーモ」</p>
<p>「適当！」</p>
<p>　内心、ちょっとだけドキッとしたことは秘密だ。普段はだらしない未登録名前だけど、声をかければなんだかんだすぐ飛んでくる。今日だって急に会いたくなって訪ねたけれど、未登録名前はさして気にせず、むしろ嬉しそうに上げてくれた。そういう大らかなところが好きで、いつも彼女の行為に甘えて押しかけてしまうんだ。……ま、その大らかさが向くのはオレだけじゃないんだけどな。<br />
　そう思ったら、どうしても未登録名前を独占したくなって。隣で揺れる手をこっそり握ろうとして、ためらった。未登録名前はオレのことをただの友達としか思ってない。だから簡単に家に上げてくれるし、軽口を叩いて笑ってくれる。その距離を自分から壊すには、まだ、早いんじゃないだろうか。</p>
<p>「っと！」</p>
<p>　その時ぐいと手を引かれたかと思うと、猛スピードで自転車が通り過ぎて行った。</p>
<p>「ぼんやりしてるなんて、今日は珍しいことだらけだね」</p>
<p>　手を握ったままの未登録名前はニッと笑った。</p>
<p>「……たまには、だな」</p>
<p>　そのまま歩き出したことに動揺しつつ、平静を装う。</p>
<p>「普段は逆だけどねー」</p>
<p>「自分で言うかー？」</p>
<p>「だってさ。今だって道路側歩いてくれてるじゃない？」</p>
<p>　言葉が詰まった。</p>
<p>「そんな気遣いできるソニックの前じゃぁ、ねぇ」</p>
<p>　言葉切れが悪くなり、ふと隣を見上げれば、ほんの少しだけ色付いた?が目に入る。オレは繋がれた手を握り直して、ゆっくり道を歩いて行った。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>遠い雷</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e9%81%a0%e3%81%84%e9%9b%b7/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 12 Jan 2023 11:58:14 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[　今日は午後から雨が降るとかで、街の人影はまばらだった。オレも濡れるのは嫌いだけど、街中を思い切り走るには今しかない。そう思い、いつも人でいっぱいのエメラルドコーストに向かって駆け出した。 　案の定、灰色の雲を抱える空の...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e9%81%a0%e3%81%84%e9%9b%b7/" title="続きを読む遠い雷">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>　今日は午後から雨が降るとかで、街の人影はまばらだった。オレも濡れるのは嫌いだけど、街中を思い切り走るには今しかない。そう思い、いつも人でいっぱいのエメラルドコーストに向かって駆け出した。<br />
　案の定、灰色の雲を抱える空の下で海岸を散歩しているようなヤツは見えない。まあ時期的にも中途半端だしな、と思いながら気分よくスピードを上げ――</p>
<p>　女性と目があった。</p>
<p>　人がいた、と気づいた瞬間にかかとでブレーキをかけたが、砂浜の上ではうまく機能しなかった。オレはそのまま、砂浜に頭からダイブしてしまう。</p>
<p>「いってえ?……」</p>
<p>「大丈夫？」</p>
<p>　なんとか起き上がってかぶった砂を振り落としていると、立っていた女性が近寄ってきた。口元には堪え切れていない笑みを浮かべて。まあ、当然っちゃ当然だけどな……。<br />
　そんな複雑な気持ちが顔に出ていたのか、女性はしまったとばかりに手を振る。</p>
<p>「ごめんなさい。急に現れたからビックリして」</p>
<p>「ま……オレだって目の前で盛大に転ばれちゃ、そうなるな」</p>
<p>「うん、正直言うとちょっとおもしろかった」</p>
<p>「おおい！」</p>
<p>「アハハ、ごめん。けど少し元気が出たよ」</p>
<p>「ん？」</p>
<p>　そういや、なんでこんな天気の悪い日に、しかも一人でエメラルドコーストにいたのか。オレみたいに無人の浜を走りたいから、なんてワケないだろうし。立ち上がって尋ねると、彼女は少し困った顔で笑い、視線を海に向けた。</p>
<p>「ここで人と待ち合わせ。たぶん、来ないけど」</p>
<p>　寂しげな瞳が見る海は、大きな白波を立てている。空の色はいよいよ黒く、雨が降るのは時間の問題だろう。<br />
　オレは、彼女へ右手を差し出した。</p>
<p>「走ろうぜ」</p>
<p>「え？」</p>
<p>「きっと気分は晴れるだろうさ」</p>
<p>　彼女は目をぱちぱちさせて、オレと手を交互に見たあと、ためらいがちに手を取った。オレはぐいと彼女を引っ張り、砂浜を駆け出した。<br />
　彼女でも追いつけるスピードでエメラルドコーストを駆け回る。波打ち際から桟橋、それを伝ってちょいと離れた小島まで。元気に飛び回るイルカはいないが、風に揺れるヤシや波の音は相変わらず心地よい。時々彼女のほうを振り返り、目が合っては笑いあった。</p>
<p>「ああ、こんなに走ったの、いつぶりだろう」</p>
<p>　思い切り走ったあと、彼女は膝に手を当てて大きく息をついた。</p>
<p>「な、走ると気分いいだろ？天気がよけりゃ、もっと気分がいいだろうけどな」</p>
<p>「そうだね、次来るときは天気のいいときだね」</p>
<p>　紅潮した?で笑顔を見せてくれた。その表情に、先ほどのような影は見当たらない。<br />
　瞬間、</p>
<p>「わ、――」</p>
<p>　強風が吹き、彼女の髪が大きくなびく。彼女はそれを手で押さえながらも、かすかに笑ってみせた。<br />
　遠くで、雷の音がした。じきに嵐が来るだろう。</p>
<p>　ただ。それだけのことだったのに、どうしてか、オレはそのシーンが忘れられなくなった。文字通り寝ても覚めても、走っているときでさえも彼女の仕草がリフレインする。</p>
<p>「そんなに気になるなら、名前を聞いておけばよかったのに」</p>
<p>　テイルスの工房にて、そんなことをこぼしていると、返ってきたのはやや呆れ気味の言葉だった。あんまりオレが彼女の話をするものだからテイルスも聞き飽きているのだろうとは思うが、あれから街のどこを探しても彼女を見つけることができずにいるので、オレとしてもフラストレーションが溜まっているので愚痴らずにはいられない。とはいえ、テイルスの言う通り名前を聞いておかなかったのは最大のミスだ。<br />
　機械作業に戻ったテイルスの後ろ姿をぼんやり眺めながら、オレは腰掛けたイスを傾ける。一体、彼女はどこの誰なのか。街の至る所を走り回ったが、それらしい姿も、彼女を知る人物にも行きあたらない。あれは夢だったのかとさえ思うのに、オレの足は追いかけることをやめないらしい。<br />
　どうしてそこまで彼女のことが気になるのか、ふと考えたとき。</p>
<p>「……ヤバイ」</p>
<p>「へ？」</p>
<p>「オレ、落ちたかも」</p>
<p>「落ちた、って……ぅえええ！？」</p>
<p>　がちゃん、となにかの機械が床を打ち付け、外れたネジがいくつかコロコロ床を転がった。テイルスは驚きのあまり口を開けたまま拾おうともせず、オレはぼんやりとした頭のままでネジが転がる先を見ていた。<br />
　ころころころ、とん。<br />
　ネジは、玄関のドアに跳ね返って動きをとめた。そのドアが、おもむろに開いた。</p>
<p>「こんにちは、あの……あっ」</p>
<p>　この声。髪。顔。<br />
　忘れるはずがない。</p>
<p>「ああ！？」</p>
<p>　オレはイスを跳ね上げんばかりに立ち上がって、彼女に駆け寄った。彼女はびっくりして目をぱちぱちしていたが、やがてふっと笑ってオレの手を取った。</p>
<p>「よかった、また会えて」</p>
<p>「……そりゃ、こっちのセリフだぜ」</p>
<p>「もしかして探してくれてたの？」</p>
<p>「ああ。街中走り回っても全然見つからなかった。あんた、どこにいたんだ？」</p>
<p>「それを話せば長くなるけど」</p>
<p>　聞けば、彼女はもともと遠い東の国にいて、恋人を訪ねにきたという。しかし、待ち合わせ場所だったエメラルドコーストに恋人が来ることはなかったために、一度国に戻ったのだそうだ。<br />
　それならこの街を探し回ったって見つかるはずがないし、彼女を知る者がいないのも納得だ。それにしても、今度はオレを探してテイルスの工房までやってくるなんて、これは、少し期待してもいいんじゃない、か？</p>
<p>「私、あなたに言いたいことがあってね」</p>
<p>　微笑んだ彼女に胸が鳴る。自然と、握られたままの手に力がこもった。<br />
　ちりちりする喉で、何を、と問えば、彼女はこう言った。</p>
<p>「あなたの名前を聞きそびれちゃったの」</p>
<p>　後ろでテイルスが吹き出す声がした。</p>
<p>（あれ、私へんなこと言った？）<br />
（いいや気にしなくていい）<br />
（そう？じゃあ改めて。あなたの名前は？）<br />
（オレはソニック！ソニック・ザ・ヘッジホッグだ！）</p>
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		<title>レジスタンスとクリスマス</title>
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		<pubDate>Thu, 12 Jan 2023 11:01:32 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[「輪つなぎ出来たぜー！」 「お疲れシルバー！ソレそのままそっちの壁に！」 「あっぼくがやるよー！とべるし！」 「テイルス！エミーたちどうだった？」 「料理はあとちょっとかかるって！」 「了解！じゃあシルバー手伝ってあげて...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e3%83%ac%e3%82%b8%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%b3%e3%82%b9%e3%81%a8%e3%82%af%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%82%b9/" title="続きを読むレジスタンスとクリスマス">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>「輪つなぎ出来たぜー！」</p>
<p>「お疲れシルバー！ソレそのままそっちの壁に！」</p>
<p>「あっぼくがやるよー！とべるし！」</p>
<p>「テイルス！エミーたちどうだった？」</p>
<p>「料理はあとちょっとかかるって！」</p>
<p>「了解！じゃあシルバー手伝ってあげて！テイルスはモミの木の飾り準備で！あの二人そろそろ戻ってきそうだし！」</p>
<p>「オッケー！」</p>
<p>　エッグマン軍から世界を取り戻し、初めてのクリスマスを迎えた今日。一度はバラバラに散ったレジスタンスだけれど、こんな日ぐらいまたみんなと会いたい。そう思って声をかけたら、みんなも同じことを考えてくれてたみたい。あっという間に、元レジスタンス軍司令本部は華やかなパーティ会場に早変わりした。</p>
<p>「大丈夫か。無理はするなよ」</p>
<p>　エスピオにぽんと肩を叩かれる。立案者だからと朝から動き回っていた私を気遣ってのことだ。そんな些細な気遣いでさえも何十倍に感じてしまい、私は満面の笑みを浮かべる。</p>
<p>「ありがとう。でも、楽しくって！」</p>
<p>「……そうだな。拙者もまた、貴殿と会えて良かったと思う」</p>
<p>「なーにーえすぴお、くどいてる？」</p>
<p>「なっなにを！拙者はただ……！！」</p>
<p>「大丈夫だよーその気はないって分かってるからさ」</p>
<p>「それもそれで複雑だ……」</p>
<p>「おおーい！モミの木持ってきたぜい！」</p>
<p>　そこへ、ひときわ大きな声と木が運び込まれてきた。ツリーに使う木を担当したベクターとナックルズが帰ってきたんだ。二人が背負っていたモミの木を垂直に立てると、なんと見上げるほど高い。2m近くはあるんじゃないだろうか。</p>
<p>「わあ、随分大きいね！」</p>
<p>　するとナックルズはへへっと笑った。</p>
<p>「おう、モミの木はエンジェルアイランドでも育ってるからな。いっちばん上等なやつ持ってきたぜ」</p>
<p>「切り出したのは俺様だからな！」</p>
<p>「いばんな！俺もやったっての！」</p>
<p>「あはは、二人ともお疲れ様！ちょっと休憩してて。あとやっちゃうから」</p>
<p>「「いや手伝う！！」」</p>
<p>　二人は声を揃えると、部屋の飾り付けを終えたシルバー、チャーミーとツリー飾りを運んできたテイルスに加わり飾り付けを始めた。そのはしゃぎようといったら、やれ星は最後に付けるだの、やれデカ過ぎて飾りが足りないだの、すごい騒ぎだ。いつもは諌め役のテイルスも、大好きなクリスマスとあって率先して意見している。</p>
<p>「ウフフ、すごい騒ぎねぇ」</p>
<p>「ホント。もうちょっと静かにやれないのかしら」</p>
<p>「ルージュ、エミー！お疲れ様」</p>
<p>　料理を担当していた二人がやってくる。あとはチキンが焼き上がるのを待つだけなので、オメガに任せてこちらの様子を見に来たのだとか。</p>
<p>「そうそう、さっきシャドウから連絡あったわ。もうすぐ来るそうよ」</p>
<p>「本当！？よかった、間に合わないんじゃないかって思ったよ」</p>
<p>するとエミーがクスクスと笑った。</p>
<p>「アタシはシャドウが来るってほうが驚きだけどね。こういうの嫌いだと思ってたわ」</p>
<p>それには同意だった。シャドウは一人を好むので、てっきり断るものだと思っていたが、意外にも二つ返事だったらしいのだ。しかも、遅れるからクリスマスプレゼントは僕が用意しておく、だなんてらしくないセリフを添えて。らしくないけど、断られると思っていたから、余計に嬉しかった。私はその時のことを思い出して、自然と笑顔になる。</p>
<p>「不思議よね」</p>
<p>「ルージュ？」</p>
<p>「ちょっと前までは、みんな命を賭けるような戦いをして、街だってまだ完全に復興してない……なのに今、こんなに笑顔で溢れてる」</p>
<p>「ホント。アタシも同じこと考えてたわ。大変な戦いだったし、もうあんな思いはしたくないけど……絆が深まったのは間違いないのよね」</p>
<p>絆。その言葉に、私は深く頷いた。それと同時に、いない顔を思い出して、無意識のうちに手を胸にあててぎゅっと握る。<br />
みんなと会いたい。そう言ったのは私だけど、叶えたのは、実は私ではない。レジスタンス軍の柱とも言える存在。その彼が自慢の足でもって、散っていったみんなに声をかけてくれたのだ。おかげでこうして集まれたのだが、肝心の彼がここにいない。また、どこかふらりと旅に出てしまったのだろうか。</p>
<p>「……そんな、辛気臭い顔すんなって」</p>
<p>ナックルズの声に顔を上げれば、準備を終えたみんなが私を見つめていた。</p>
<p>「アイツのことだ、今にきっと来る」</p>
<p>「おう！俺様のカンもそう言ってるぜ！」</p>
<p>「そーそー、まずはたのしくやろ！」</p>
<p>「案外騒ぎを聞き付けてやってくるかもしれないぞ」</p>
<p>「それに、レジスタンス軍の柱は君も同じなんだからさ」</p>
<p>「そうよぉ。主賓が楽しまなきゃダメよ？」</p>
<p>「オレ、あんたと知り合えて本当よかった。だから今日は目一杯騒ごうぜ！」</p>
<p>「最初から来れなかったアイツが悔しがるくらい、盛り上がっちゃいましょ！」</p>
<p>「みんな……」</p>
<p>エミーが私の手を取った。その暖かさに目の奥が熱くなったが、すぐに頭を振って笑顔を返した。</p>
<p>「……どうやら間に合ったようだな」</p>
<p>「シャドウ！」</p>
<p>振り返れば、シャドウが扉を開けて入ってくるところだった。いつの間にか外は日が落ち、夜に差し掛かっている。冷気に身震いするが、シャドウはなぜか扉を閉めなかった。</p>
<p>「遅くなった。プレゼントを用意するのに手間取った」</p>
<p>「そんな、気を使わなくても」</p>
<p>「使わなければ、君が後悔するだろう？」</p>
<p>「どういう、」</p>
<p>意味、と言いかけて、やめた。<br />
開けたままのドア、そこに影が差し掛かる。目の覚めるような青色。それが、二つ。</p>
<p>「Sorry! ちょいと遅れちまったが、レジスタンス軍『全員』で、今日は思いっきり楽しもうぜ！」</p>
<p>「ソニック！！」</p>
<p>私は、ソニッククラシックソニック、両方に飛びついた。来られないんじゃないかって思ってたし、クラシックソニックに至っては諦めていたから。だから、本当に嬉しくて。今日は最高のクリスマスになることが決まったのだった。</p>
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<p>「……って、なんかコゲくさくないか？」<br />
「あっオメガーー！？」<br />
「あらやだ、アタシとしたことがすっかり忘れてたわ」<br />
「見テイロ、トシカ聞テイナイ」<br />
「融通きかないんだからもう！！」<br />
「だっ大丈夫だよエミー！！表面だけだから！！表面削ればなんとか！！」</p>
<p>Merry christmas!!!</p>
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