思い出していた。
埃を被った、風景だった。 俺は街へ出るためにエンジェルアイランドを発った。カレンダーは、もう見ていない。必要がなくなったからだ。 街に降りると、ひゅうと冷たい風が吹き抜けた。枯葉が舞い、足元でかさかさ音を立てる。その枯葉を踏みしめて、俺は両…
十二月の午後
夏の風景を
カレンダーを見返すことが多くなった。 今日が日曜日だと再度確認して、早速エンジェルアイランドを飛び立った。街に降り、むせ返るほどの暑さであっても、との約束を思い出せば気にならなかった。 自然と小走りになる足でいつもの公園に着くと、麦わら帽子…
十二月の午後
河原で僕は
カレンダーなんて買ったのは、初めてかもしれない。 エンジェルアイランドから離れることはほぼないし、日付や曜日なんて知らなくても困ることはなかった。 俺は、遠い昔滅んだ一族の生き残りで、この島にあるマスターエメラルドを守ることが使命だからだ。…
十二月の午後
十二月の午後、
これは、ある夏の日のことだった。「……暑い」 思わずそう独りごちてしまうほど、空と地上では気温に差があった。あった、なんて言葉は優しすぎるとさえ思う。 特に今は真昼、太陽はじりじりとアスファルトを焼いて、その熱が息苦しい空気を作り出していた…
十二月の午後