<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?><rss version="2.0"
	xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/"
	xmlns:wfw="http://wellformedweb.org/CommentAPI/"
	xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
	xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom"
	xmlns:sy="http://purl.org/rss/1.0/modules/syndication/"
	xmlns:slash="http://purl.org/rss/1.0/modules/slash/"
	>

<channel>
	<title>十二月の午後 &#8211; 揺れる</title>
	<atom:link href="https://swingswing.echo.jp/work_type/%E5%8D%81%E4%BA%8C%E6%9C%88%E3%81%AE%E5%8D%88%E5%BE%8C/feed/" rel="self" type="application/rss+xml" />
	<link>https://swingswing.echo.jp</link>
	<description>Un official text site.</description>
	<lastBuildDate>Mon, 06 Feb 2023 09:39:44 +0000</lastBuildDate>
	<language>ja</language>
	<sy:updatePeriod>
	hourly	</sy:updatePeriod>
	<sy:updateFrequency>
	1	</sy:updateFrequency>
	

<image>
	<url>https://swingswing.echo.jp/wp-content/uploads/2023/02/cropped-揺れるロゴ-1-32x32.png</url>
	<title>十二月の午後 &#8211; 揺れる</title>
	<link>https://swingswing.echo.jp</link>
	<width>32</width>
	<height>32</height>
</image> 
<site xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">214212483</site>	<item>
		<title>思い出していた。</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e6%80%9d%e3%81%84%e5%87%ba%e3%81%97%e3%81%a6%e3%81%84%e3%81%9f%e3%80%82/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 16 Jan 2023 05:54:34 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://swingswing.echo.jp/?post_type=works&#038;p=284</guid>

					<description><![CDATA[埃を被った、風景だった。 　俺は街へ出るためにエンジェルアイランドを発った。カレンダーは、もう見ていない。必要がなくなったからだ。 　街に降りると、ひゅうと冷たい風が吹き抜けた。枯葉が舞い、足元でかさかさ音を立てる。その...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e6%80%9d%e3%81%84%e5%87%ba%e3%81%97%e3%81%a6%e3%81%84%e3%81%9f%e3%80%82/" title="続きを読む思い出していた。">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="hikarinoniwa">埃を被った、風景だった。</div>
<p>　俺は街へ出るためにエンジェルアイランドを発った。カレンダーは、もう見ていない。必要がなくなったからだ。<br />
　街に降りると、ひゅうと冷たい風が吹き抜けた。枯葉が舞い、足元でかさかさ音を立てる。その枯葉を踏みしめて、俺は両腕の荷物を抱えなおしながら歩き出す。<br />
　目指すのは、街の端。海が見える場所。<br />
　誰もいない桟橋にたどり着くと、俺は抱えていた荷物……エンジェルアイランドから持てるだけ持ってきた花を、海へと下ろした。<br />
　エンジェルアイランドに季節はない。12月の今でも、色とりどりの花が咲き乱れている。それを見たら、きっと未登録名前だって喜んでくれるはずだ。<br />
　未登録名前は、海を見ていると故郷の河原を思い出すと言っていた。いつか、俺を案内してくれるとも言っていた。それはもう叶わない。だから、せめてこうして、花を届けてやりたかった。<br />
　いつかの日曜日。いつものように公園を訪れると、未登録名前の代わりに見知らぬ女性がそこにいた。面差しから、すぐに未登録名前の母親だと分かった。<br />
　あなたがナックルズさんですね、と、未登録名前の母は優しく、寂しそうに言った。そして、未登録名前からあなたのことを聞いていました、とも。<br />
　未登録名前の母親は言った。未登録名前は不治の病であったこと。手術は失敗ではなかったが、短い命をつなぐに過ぎなかったこと。未登録名前は全て承知で、この公園に来ていたこと――<br />
　その瞬間に、俺はエンジェルアイランドから持ってきた花を、地面に落としてしまったのを覚えている。やり場のない思いで、震えた拳のことも。<br />
　海に下ろした花が遠くに流れ、やがて深く深く沈んでいくのを見届けると、俺は海に背を向けて歩き出す。刺すように冷たい木枯らしが吹き抜けても、エンジェルアイランドに唯一あるカレンダーは、夏の日付のままだった。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
		<post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">284</post-id>	</item>
		<item>
		<title>夏の風景を</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e5%a4%8f%e3%81%ae%e9%a2%a8%e6%99%af%e3%82%92/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 16 Jan 2023 05:53:13 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://swingswing.echo.jp/?post_type=works&#038;p=282</guid>

					<description><![CDATA[カレンダーを見返すことが多くなった。 　今日が日曜日だと再度確認して、早速エンジェルアイランドを飛び立った。街に降り、むせ返るほどの暑さであっても、との約束を思い出せば気にならなかった。 　自然と小走りになる足でいつもの...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e5%a4%8f%e3%81%ae%e9%a2%a8%e6%99%af%e3%82%92/" title="続きを読む夏の風景を">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="hikarinoniwa">カレンダーを見返すことが多くなった。</div>
<p>　今日が日曜日だと再度確認して、早速エンジェルアイランドを飛び立った。街に降り、むせ返るほどの暑さであっても、未登録名前との約束を思い出せば気にならなかった。<br />
　自然と小走りになる足でいつもの公園に着くと、麦わら帽子を被った白いワンピースが目に入る。</p>
<p>「ナックルズ！待ってたよ」</p>
<p>　今日の未登録名前は、本を持っていなかった。俺がくると信じてくれたからか、と思うと嬉しさが込み上げた。人と会うのが嬉しいとは、俺もずいぶん変わったもんだ。</p>
<p>「ねえナックルズ。前はわたしの話ばっかりだったから、今日はあなたの話が聞きたいな」</p>
<p>「気ぃ使わなくたっていい。お前の好きな話をしろ」</p>
<p>　たしなめるように言いながら未登録名前の隣に座ると、未登録名前は少しうつむいて、</p>
<p>「なんで分かったかな」</p>
<p>　ばつのわるそうに眉をひそめながら俺を見上げた。</p>
<p>「それぐらい分かるぜ」</p>
<p>　いたずらっぽく言ったからか、未登録名前は少しだけ頬を膨らませた。<br />
　未登録名前は、優しいやつだ。優しすぎて自分のことは顧みないほどに。<br />
　それはやはり、病気を抱えた生活が長いからだろうか。周りに迷惑かけまいと自然と身についた術なのかもしれない。だが、未登録名前がどういうふうな暮らしをしてきたのか知らない俺には、わかりようもないことだった。<br />
　俺は、未登録名前のことがもっと知りたい。</p>
<p>「お前の故郷の話。俺は興味あるな」</p>
<p>「……気を使ってない？」</p>
<p>「ねえよ。俺と似たような環境で育ったっつうから気になるだけだ」</p>
<p>「そっか、ナックルズも自然が好きって言ってたね」</p>
<p>　未登録名前の表情が笑顔に変わる。それを見た俺も安心した。</p>
<p>「でも、どこから話したらいいのかな。故郷の話はいっぱいあるけど」</p>
<p>「じゃあお前の一番好きな場所の話は、どうだ」</p>
<p>　そう尋ねると、未登録名前は少しだけ唸り、</p>
<p>「そうだ。この街は海があるんだよね」</p>
<p>「ああ、そうだな」</p>
<p>「わたしのいたところ、海ってないんだ。山のほうだったから」</p>
<p>「ならここで初めて海を見たってことか？」</p>
<p>「ううん……潮風は体によくないって、間近で見たことはないんだ」</p>
<p>　しまった、と俺が次にかけるべき言葉に迷っていると、</p>
<p>「でもね！病院の窓からちょっとだけ、見えるんだ。そうすると、故郷のことを思い出すの。海じゃないけど、河原をね」</p>
<p>「河原？」</p>
<p>「そう。すごく浅い川なんだけど、夏の日はよく日差しを反射して、目が開けられないくらいまぶしくひかるの。わたし、夏の日はいつもそこへ行って、両足を水にひたしていたんだ」</p>
<p>　少し想像してみる。<br />
　今みたいに白いワンピースを着た未登録名前が、浅い河原で立っている。夏の日差しを受けた水面が、揺れながら未登録名前の姿を映す。陽の光を浴びて、白いワンピースが明るく光る。水面も、ちらちらと光を反射して未登録名前の足元を照らしている。<br />
　想像でしかないのに、なぜか、とても美しい光景を見ているような錯覚を覚えた。</p>
<p>「……行ってみてえな」</p>
<p>　その呟きは、ごく自然に生まれた。</p>
<p>「ほんとう？」</p>
<p>　ぱっと未登録名前が明るく笑いかけた。自分の好きなもの、大事なものに興味をもってくれて、嬉しくなる気持ちは、俺にはよく分かった。</p>
<p>「ああ。お前が元気になったら、案内してくれよ。お前が見てきたもの、聞いてきたもの、俺も知りたいんだ」</p>
<p>「案内するよ！ぜったい！約束しよ、わたし、すぐ元気になってみせるから！」</p>
<p>「楽しみにしてるぜ」</p>
<p>「うん！とびきりの場所を教えてあげるから、待っててね！そうしたら、ナックルズの住んでるところも行きたいな」</p>
<p>「ああ、いくらでも案内してやるぜ！ホントに大自然だから、体力つけとけよ？」</p>
<p>「う……が、頑張る！」</p>
<p>「ま、無理しねえ程度にな」</p>
<p>「なにをー！そのうちびっくりさせちゃうから！」</p>
<p>「ははは、期待しとくぜ」</p>
<p>　約束。<br />
　確かに俺はあのとき約束したんだ。<br />
　ある夏の風景の中で、俺は――</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
		<post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">282</post-id>	</item>
		<item>
		<title>河原で僕は</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e6%b2%b3%e5%8e%9f%e3%81%a7%e5%83%95%e3%81%af/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 16 Jan 2023 05:51:56 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://swingswing.echo.jp/?post_type=works&#038;p=280</guid>

					<description><![CDATA[カレンダーなんて買ったのは、初めてかもしれない。 　エンジェルアイランドから離れることはほぼないし、日付や曜日なんて知らなくても困ることはなかった。 　俺は、遠い昔滅んだ一族の生き残りで、この島にあるマスターエメラルドを...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e6%b2%b3%e5%8e%9f%e3%81%a7%e5%83%95%e3%81%af/" title="続きを読む河原で僕は">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="hikarinoniwa">カレンダーなんて買ったのは、初めてかもしれない。</div>
<p>　エンジェルアイランドから離れることはほぼないし、日付や曜日なんて知らなくても困ることはなかった。<br />
　俺は、遠い昔滅んだ一族の生き残りで、この島にあるマスターエメラルドを守ることが使命だからだ。だが物心ついたときから一人だったんで慣れているし、ソニックやテイルスたちがたまに来るから完全に孤独ってわけでもない。俺はそういうふうに生きてきたから、この島に一人でも日付なんか気にならない。<br />
　でもあいつは、未登録名前は違う。察しの悪い俺でもそれだけは分かった。<br />
　日曜日の午後、エンジェルアイランドを飛び立った俺は約束どおりあの公園にやってきた。今度はしっかりタオルを持ち、頭のハリを一つにまとめて縛り首周りの風通しもよくしてきた。未登録名前はすでに来ていて、先週と同じようにベンチで本を読んでいた。違うところは、着ているワンピースが薄いピンク色だということ。</p>
<p>「あ、きてくれた」</p>
<p>　俺に気づいた未登録名前が、本を閉じて微笑みかけた。</p>
<p>「約束だからな」</p>
<p>　隣に座ると、彼女は少しだけ視線を足元に向ける。</p>
<p>「実は、ちょっとだけ不安だったんだ。きてくれないんじゃないかーって」</p>
<p>　まあ、会ったばかりのヤツをそこまで信じられねえよな。俺自身勢いで約束したところもある。</p>
<p>　だが、<br />
「俺はうそつきにはなりたくねえ」</p>
<p>　ソニックには相手を簡単に信じすぎだと馬鹿にされるし、実際それで痛い目をみたことも何度もある。けど、俺は相手の裏を読めるほどできた頭じゃないし、本当に困ってるんだとしたらなにもできなかったことをきっと後悔する。そうなるくらいなら、いっそ騙されたほうが気が楽だ。<br />
　すると未登録名前は目を丸くして俺を見た。</p>
<p>「キミって……お人よしだって言われない？」</p>
<p>「うぐ」</p>
<p>　自覚はしているが、人から指摘されるとなんかこう……。唸っていると、未登録名前はまたくすくす笑った。</p>
<p>「でも、わたしは良いと思うよ」</p>
<p>　相変わらず褒めてるのか貶してるんだか分からんヤツだ、そんなふうに思っていると、未登録名前は空を仰ぎ見た。</p>
<p>「そういうひとって、とっても大事だと思うんだ。わたしは……」</p>
<p>　ふっ、とそこで言葉を切った。反射的に続きを聞きそうになったが、空を仰ぐ未登録名前の横顔を見たら声が出せなかった。空を見ているようで、見ていなくて、泣きそうなのに嬉しそうで。そんな、不思議な表情だった。</p>
<p>「な、なあ！お前のいた国って、どんなところだったんだ？」</p>
<p>　未登録名前のそんな表情が見ていられなくて、俺はなんとか明るい声で話を振った。未登録名前は一瞬驚いた顔をしたがすぐにまた笑った。</p>
<p>「わたしがいたところはね、自然がたくさんあるところだったよ。都会に出たら、ここみたいにビルがいっぱいなんだけど、わたしが住んでたところは田舎だったから」</p>
<p>「ああ、だからお前はこの公園が好きなのか」</p>
<p>　ビルとビルの間にあって、誰もが通り過ぎてしまうくらい小さな公園。だがここには緑がある。樹で囲われているからか、雑踏もあまり届かない。ここだけは、とても静かな時間が流れている。</p>
<p>「そう。だからここを見つけたとき、なんだかほっとしたんだ」</p>
<p>　その気持ちはよく分かった。エンジェルアイランドも緑で覆われているからたまに街に出るとうんざりするが、この公園を見たとき俺も少しほっとした。</p>
<p>「そうだな。緑があるほうが落ち着く」</p>
<p>「ナックルズも？ナックルズが住んでるところも、緑がいっぱい？」</p>
<p>「いっぱいなんてもんじゃねえぞ、大自然だぜ」</p>
<p>「それはすごいねえ！」</p>
<p>　未登録名前は子供のように無邪気に笑った。本当に自然が好きなんだな。それなのに、この都会の病院に入院しなきゃならなくて、自由時間も多くはない。手術こそ成功したって言ってたが、不自由はきっと多いだろう。</p>
<p>「そうそう、この帽子ね」</p>
<p>「ん？」</p>
<p>「この帽子についてる花ね、造花じゃないんだ。わたしの故郷に咲いてたやつ」</p>
<p>「へえ！そうなのか」</p>
<p>　未登録名前は帽子のつばを少し下げて、花を見せた。青や紫色をした見たことのない花だ。一つ一つの花は小さいが、密集しているので大きく見える。それらが麦藁帽子をぐるりと一周していた。可愛らしい雰囲気がこいつによく似合うと思ったが、恥ずかしさを覚えて口には出せなかった。<br />
　しかし故郷から持ってきたにしては、ずいぶん鮮やかさを保っている。引っ越してきたばかりとはいえ、花は摘んでしまったらすぐに枯れてしまうはずだ。</p>
<p>「やっぱり不思議？」</p>
<p>　そんな疑問が顔に出ていたのか、未登録名前が帽子をあげた。</p>
<p>「特別な技術で、枯れてないように見えるんだ。プリザーブドフラワーっていうの。水分を抜いて、人工の色をつけてね」</p>
<p>「そんなもんがあるのか」</p>
<p>「うん。できればそのままで持ってきたかったけど、そうはいかないから無理言って作ってもらっちゃった」</p>
<p>「店でそういうのやってんのか？」</p>
<p>　すると未登録名前は照れたようにはにかんだ。</p>
<p>「それがね、この花を持って行きたいって言ったらお母さんが張り切っちゃって。元々手芸とか好きな人だから、私がやる！って」</p>
<p>「ははは、いい母さんじゃねえか」</p>
<p>「わたしもすっごく感謝してるんだ」</p>
<p>　楽しそうにしている未登録名前の様子をみて、俺もつられてまた笑う。そこまで考えてくれるなんていい親だと思った。俺には親がいないので、今までそういう感覚が分からなかったが、親の話をして嬉しそうにする未登録名前を見ていたら、ほんの少しその気持ちを分けてもらった気がした。</p>
<p>「あ、もう時間だ」</p>
<p>　未登録名前の視線の先には、公園に設置された古びた時計。短針が３の数字を指している。</p>
<p>「今日もありがとうナックルズ。すっごく楽しかった」</p>
<p>「そりゃよかった」</p>
<p>「それじゃあね」</p>
<p>　立ち去る未登録名前の背中に向かって、少し声を張った。</p>
<p>「また、次の日曜もくるからな！」</p>
<p>　未登録名前はびっくりした顔で振り返り、目を見張っていたが、やがて笑顔で手を振った。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
		<post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">280</post-id>	</item>
		<item>
		<title>十二月の午後、</title>
		<link>https://swingswing.echo.jp/works/%e5%8d%81%e4%ba%8c%e6%9c%88%e3%81%ae%e5%8d%88%e5%be%8c%e3%80%81/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[ngr]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 16 Jan 2023 05:47:54 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://swingswing.echo.jp/?post_type=works&#038;p=278</guid>

					<description><![CDATA[これは、ある夏の日のことだった。 「……暑い」 　思わずそう独りごちてしまうほど、空と地上では気温に差があった。あった、なんて言葉は優しすぎるとさえ思う。 　特に今は真昼、太陽はじりじりとアスファルトを焼いて、その熱が息...  <a class="excerpt-read-more" href="https://swingswing.echo.jp/works/%e5%8d%81%e4%ba%8c%e6%9c%88%e3%81%ae%e5%8d%88%e5%be%8c%e3%80%81/" title="続きを読む十二月の午後、">続きを読む</a>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="hikarinoniwa">これは、ある夏の日のことだった。</div>
<p>「……暑い」</p>
<p>　思わずそう独りごちてしまうほど、空と地上では気温に差があった。あった、なんて言葉は優しすぎるとさえ思う。<br />
　特に今は真昼、太陽はじりじりとアスファルトを焼いて、その熱が息苦しい空気を作り出していた。風も吹いていないので、よどんだ熱気が全身に纏わり付いて気持ち悪いことこの上ない。<br />
　都会はどうも好きになれない。普段はエンジェルアイランドにいるから季節ってもんを感じることはまずないが、そのおかげで、たまにこうして日用品の買い出しや地上で起きているニュースなんかを知るために降りたとき、その対策をすっかり忘れてごらんの有様だ。せめてタオルぐらい持って来ればよかったんだが、今となっては後の祭りだ。すぐ済む用事にわざわざ買うのもばからしく、俺はそのまま街を歩く。<br />
　頬を伝う汗をぬぐっていると、小さな公園が目に留まった。ビルとビルの間にあり、子供が遊ぶ遊具もない小さな公園ながら、周囲をぐるりと木で囲って大きな木陰ができていた。ここで少し休んでいくかと、俺はその公園に入っていった。日陰に入るとだいぶ暑さが和らいだのを感じ、息をつく。<br />
　水道で顔を洗い水を振るうと（拭かなくったってどうせすぐ乾くだろ）、座るところはないかと辺りを見回せば、ベンチがひとつあるのに気付く。同時に、先客がいることにも。<br />
　白いワンピースを着た少女が一人、花飾りのついた麦藁帽子をかぶって本を読んでいた。その光景は、そこだけ季節が違ったように涼しげで、だけどどこか寂しげにも見えた。それほどまでに少女の存在感はどことなく異質だった。<br />
　ふと少女がこちらに気づいたらしく顔をあげた。驚いた顔をしていたので、俺は近づいて声をかけた。</p>
<p>「悪い、邪魔したな」</p>
<p>　少女は目を何度か瞬かせ、俺の顔をまじまじと眺めている。そんなに本に集中していたのか、それとも話しかけられたくなかったのか。どっちだか分からないが、戸惑ってるならこの場を離れたほうがいいんだろうかと迷っていると、少女は急に笑い出して本を閉じた。</p>
<p>「ごめんなさい。わたし、キミみたいなひとって初めて見たから。びっくりしちゃった」</p>
<p>　警戒されてるわけじゃなかったらしい。彼女の明るい笑顔につられて笑う。</p>
<p>「構わねえ。だが俺みたいな、ってのは？」</p>
<p>「なんていうのかな、人間とはちょっと違う種族？のひと」</p>
<p>　この街にいるってのに、珍しい感想だ。俺みたいなのはソニックを始めやまほどいるってのに。まあ……「俺自身は」ある意味初めて見たって言われてもおかしくはないんだが、初対面のこいつがそれを知るはずがないしな。<br />
　なんて言葉を返そうか考えていると、少女は少しだけ視線を傾ける。</p>
<p>「わたし、外国から引っ越してきたばっかりだから。テレビとかのニュースでは聞いてたけれど」</p>
<p>「ああ、そういうことか」</p>
<p>　納得と同時に疑問も浮かんだ。俺たちみたいなのがいない国となると、よほど遠くから来たってことだ。そんなに遠くから、一体なんの用でこの街にきたんだろうか。</p>
<p>「わざわざこの街に、なんで来たんだ？」<br />
「うーん……それはね」</p>
<p>　少女は困ったように苦笑して、</p>
<p>「病気でね、手術をうけるためにこの街の病院にきたんだ」</p>
<p>　自分の頭を殴りたかった。</p>
<p>「す、すまん！変なこと聞いて」</p>
<p>「ううん、大丈夫だよ」</p>
<p>「なわけあるか！病気のこととか、聞かれたら困るに決まってんだろ！」</p>
<p>「え、あー、ええ？」</p>
<p>「あーくっそ！俺ってばなんでこう……」</p>
<p>　こういう時に、自分の頭の悪さに嫌気が差す。これまでに何度も同じ理由で失敗してきたくせに、ちっとも進歩しない。これでも努力してるつもりなんだが……いやこうしてまた失敗してるってことは努力になってないってことじゃねえかちくしょう。</p>
<p>「あ、あの。わたしなら大丈夫だから！そんなに落ち込まないで」</p>
<p>「本当かよ……」</p>
<p>「うん。だって手術、成功したから」</p>
<p>「あ、そ、そうなのか」</p>
<p>　胸をなでおろし、安心した俺は大きなため息をつく。それを見ていた少女が、なぜか口元を抑えて笑い出した。</p>
<p>「なんだよ」</p>
<p>「キミ、面白いひとだね」</p>
<p>「はあ？」</p>
<p>「会ったばっかりの人にそこまで感情出せるのって、中々ないよ。でも、ありがとう。すっごく嬉しい」</p>
<p>　少女が優しく微笑むので、俺はなんとなく恥ずかしくなって視線をそむけた。<br />
　褒めてんだかけなしてんだかわかりゃしねえし……こいつも大概変なヤツだ。</p>
<p>「さて」</p>
<p>　不意に少女が立ち上がった。</p>
<p>「そろそろ戻らなきゃ」</p>
<p>「病院に、か？」</p>
<p>「うん。日曜日のお昼だけは出歩いていいことになってるから」</p>
<p>「そう、か」</p>
<p>　そうだよな。手術は成功したって言ってたが、それで終わりってわけじゃないもんな。わざわざ外国の病院で手術を受けるくらいだ、きっと重い病気なんだろう。それに、日曜の昼だけ、だとか特定の時間でしか出歩けないってことは……。</p>
<p>「なあ」</p>
<p>「なに？」</p>
<p>「また来週、ここに来いよ。俺もまた来る」</p>
<p>　放っておけなくなった。我ながらお人よしだとは思うが、事情を聞いてしまった以上、ここで別れたらきっとずっと気にしちまう。<br />
　女はまた目を丸くして驚いていたが、やがて優しく笑って、</p>
<p>「ありがとう。キミって優しいんだね」</p>
<p>「いや優しいっつか……気になるだけっつうか」</p>
<p>　自分でも、なんて言ったらいいのか分からない。ただ、一人でベンチに座って本を読んでいたあの姿が、言いようがないくらい忘れられない。<br />
　言いよどんでいると、また少女は小さく笑った。</p>
<p>「わたし、未登録名前。あなたの名前は？」</p>
<p>「ナックルズ、だ」</p>
<p>「そう、ナックルズか。また会おうね」</p>
<p>　未登録名前は麦藁帽子をかぶりなおすと、手を振りながら公園を去っていった。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
		<post-id xmlns="com-wordpress:feed-additions:1">278</post-id>	</item>
	</channel>
</rss>
