恐怖映画短編

2019年バレンタイン

--フレディ「なんでチョコ持ってねえんだよ!」「夢の中ですよここ」「気合いで持ってこいよ」「夢魔が言うんですかそれ……っていうかチョコ欲しいんですか?」「お前から貰えるモンは全部欲しいなぁ」「かっこいいけど、それ命も含まれてるんでしょうね」…

籠絡

--ややいかがわしい ベッドの上での小さな背中を抱え込み、足を絡める。経験が浅いためかそれだけで面白いほどびくりと体を震わせた。は身をよじって抜け出そうとするが、俺が服の中に手を入れ腹部に這わせると「あ、」と息に似た声を漏らして動きを止める…

カボチャの警鐘

 ぎりぎり、と頭が痛む。割れそうなほどの痛みに息を吐くとマスクの内側が熱くなった。テレビから流れてくる町の浮かれた様子も、もう僕の耳には届かない。 体を動かせば寝そべったソファが悲鳴を上げた。まるで人の喉をきゅうと締め上げるときみたい。人の…

二月の丘

 その女の子の瞳は、黒色をしていた。 小さなころ、ママにもらった宝石ずかんでみたことがある。黒い水晶だ。真っ黒だけど、つややかで、なめらかな色をした水晶。ママが教えてくれたよ、水晶は、この湖の名前なのよって。ほかにも、水晶にはたくさん色があ…

安定フラグ回収

--だいぶメタい、会話文のみ「ねえ!!!!俺のドラマ見た!?!?」「うるっさいな何時だと思ってんの!!アパート暮らしなめんなよ!!!」「んなことよりドラマ見たかって!!ネット配信されてるやつ!!!」「見たけどそれがなにか!?」「えっマジ?て…

一発殴るじゃ済まされない

 おなじみのボイラー室に、フレディさんの姿はなかった。おかしいな、いつもだったら、よく来たなぁ#name1#って大げさに手を広げてくるのに。そして私が、来るもなにもフレディさんが呼ぶんでしょうって言って、そうだったかなと笑う彼を見ているのに…

きみを頼るはなし

 きみだけが頼りなんだ。 言葉を発していなくても、マイケルが言っていることはわたしには分かる。それだけ一緒の時間を過ごしてきた仲だから。 だけど、いくらマイケルの頼みでもきけないものはある。それが、マイケルが大事にしてる妹のことならなおさら…

おかしたりない

「フレディさんは、なんでもできるのね!」 色とりどりのお菓子を出してやれば、はキラキラ輝く瞳で俺を見上げた。テーブルの上にはキャンディやチョコレートやクッキーで埋め尽くされている。 テーブルに寄りかかった俺は、の頭を撫でてやった。さらさらの…

レイン・コール

 まっくらい夜の中にざあざあと降る雨を、ぼんやりと見上げていた。冷たいという感覚ももはやなく、ぬかるんだ地面に足を投げ出しながらコンクリートの硬い壁に背中を預けていた。「しくったなぁー」 豪雨にかき消えてしまうくらいの声で、わたしは独りごち…

純情可憐殺戮障害

 はぁ、ひっ、は、は、 走る男の息は乱れに乱れ、目はぎらぎらと血走りながら涙をこぼす。満月は鬱蒼とした木々に隠れてしまい、眼前の闇を照らすものは何もない。こうなってしまえば頼れるのは音だけだ。けたたましいモーター音と、大きな男の足音から遠ざ…

呼吸と同義

--マイケル一人称 の背中はとても小さい。腰に腕を回して、僕が少し力を入れれば、ぱきりと折れてしまいそうだ。背中だけじゃなく、手も小さいし首だって細い。の体は、なにもかもが僕とは違う。「……マイケル」 腕の中のが、おずおずといった調子で名前…