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シャドウと初めて会った時のこと(SA2)

Section.05

Section.05 女性と二人、並んで歩く。 思った通り彼女の母親だった。これから見舞いに行く途中で、バスもそのために乗っていたのだという。 娘は1ヶ月ほど前事故に遭い、それきり目覚めないのだという。つい先日まで救急病棟におり、状態がやや…

Section.04

Section.04 事務所に戻ったオレは、ドアを閉めるのも忘れ飛び込む勢いで机に向かい、パソコンの電源を入れながら資料の束を引っ張り出す。チャーミーが「どうしたのさ!」と慌ててドアを閉めていたがお構いなしに、隣で未だ困惑している彼女に向け…

Section.03

Section.03 この事件の要点は大きく分けて二つある。 一つは、「今のところオレにしか見えない」という点。これによりオレと縁のある人物だから見えるという仮説が立てられるが、オレ側に見覚えがない点を省みると、女が一方的にオレを知っている…

Section.02

Section.02「ねえべくたー。ゆうれいって、ほんとにいるのー?」 依頼のないある日のこと。……誰だいつものことって言ったヤツは。とにかくある日だ。ソファに座ってテレビを見ていたチャーミーが不意にオレのほうを振り返り首を傾げた。その横で…

Section.01

Section.01「こないだの収入がこれで……電気代と水道代とガス代がこんだけで……」「ベクターさんベクターさん」「かあーっ!今月も食費切り詰めねえと厳しいな……」「ベクターさーん」「あーあ、たまには肉のある青椒肉絲が食いてえよなァ……っ…

くれないのキス

くれないのキス「っと、悪いな兄さん」 夜、すでに馴染みとなった店のドアを開けようとしたところ店から出てきた男とぶつかりかける。男は朗らかに笑うと俺に道を譲った。おそらくは常連か、こう気の良い奴ならアイツと気が合うだろうなと思いながらドアをく…

名前と約束

名前と約束「そういや、キミの名前を聞いていなかったよ」 パンを買って女に渡すと、調理を始めたところでふと顔を上げた。こちらを見ながらでも手が止まらないのはさすがと言うべきか。 に、してもその通りだ。今まで名乗る機会がなかった……いや、初めて…

再会の空

再会の空 エッグマン軍の脅威は去った、とは言っても、街はまだまだ復興中。あっちこっちでトンカンやってるし、私のお店も完全とは言えない。そんな中で外食しようとか酒を飲もうっていうような酔狂はいないわけで、つまるところ、私の暇はまだまだ続くって…