究極の愛
究極の愛(……朝、か)「……ん」「?」「……」(まだ寝ているか。無理もないな。……それにしても)「……」(こんなに近くで彼女の寝顔を見られるとは)「……んぅ」(少しだけなら……)ちゅ「……」(……起きない。ならもう一度……)ちゅう「……」「…
おわりのないうた
究極の選択
究極の選択「っは、っはあ、はあ……やっと、見つけた」「、どうしてここが」「シャドウが行きそうなところ、ぜんぶ、見てきた。自分の足で、走って」「……」「ねえ、どうして?どうして、わかれる、なんて、書きおき」「……」「っう、わたし、が、人間だか…
おわりのないうた
究極の焦燥
究極の焦燥「……」「シャドウ?どうしたの?」「ちょっとそこに座ってくれないか」「いいけど、なんで?」「とにかくだ」「よっと。これでいい?」「ああ」「それでどうし――(ぎゅ)シャドウ?」「。君が好きだ」「あ、え、突然どうしたの」「黙っていろ」…
おわりのないうた
究極の生活
究極の生活「。君は……不安じゃないのか」「ん?なにが?」「僕と一緒にいることが」「大好きな人と一緒にいるのに不安になんてならないよ」「君は、普通の人間だ。しかし僕は、」「針鼠だから?そんなの関係ないよ」「……」「わたしはシャドウが好きなんだ…
おわりのないうた
究極の声
究極の声「もう一週間経つんだねえ」「なにがだ?」「わたしとシャドウが一緒に暮らすようになって」「……そうか」「ふふ」「ハル?」「思い出し笑い。わたしが好きって言ったら、シャドウはじゃあ一緒に暮らそうって言ったの、おかしかったなって」「悪かっ…
おわりのないうた
思い出していた。
埃を被った、風景だった。 俺は街へ出るためにエンジェルアイランドを発った。カレンダーは、もう見ていない。必要がなくなったからだ。 街に降りると、ひゅうと冷たい風が吹き抜けた。枯葉が舞い、足元でかさかさ音を立てる。その枯葉を踏みしめて、俺は両…
十二月の午後
夏の風景を
カレンダーを見返すことが多くなった。 今日が日曜日だと再度確認して、早速エンジェルアイランドを飛び立った。街に降り、むせ返るほどの暑さであっても、との約束を思い出せば気にならなかった。 自然と小走りになる足でいつもの公園に着くと、麦わら帽子…
十二月の午後
河原で僕は
カレンダーなんて買ったのは、初めてかもしれない。 エンジェルアイランドから離れることはほぼないし、日付や曜日なんて知らなくても困ることはなかった。 俺は、遠い昔滅んだ一族の生き残りで、この島にあるマスターエメラルドを守ることが使命だからだ。…
十二月の午後
十二月の午後、
これは、ある夏の日のことだった。「……暑い」 思わずそう独りごちてしまうほど、空と地上では気温に差があった。あった、なんて言葉は優しすぎるとさえ思う。 特に今は真昼、太陽はじりじりとアスファルトを焼いて、その熱が息苦しい空気を作り出していた…
十二月の午後
トライアングルゲーム
「それ、Cの4じゃない?」 チェス盤を前に考えていると、隣に座る音と少女の声がした。見なくても分かるが、僕は苦笑して彼女に向く。「考える楽しみを奪わないでくれよ」「ごめん、ごめん。でも、ずいぶん長いことそうしていたから」「まあね」 言いつつ…
その他バロック,主人公
拗れて捻れたパラドクス
白い服。杭が刺さった十字架。大きな羽。金色の髪。 そして、泡。「……なんだ、その目は」 金色の隙間から、鮮やかな赤い色の目がのぞく。チリチリと焼けるような視線を投げるので、私はぱちりとまばたきをした。すると私を包んでいる培養液が揺れて、小…
その他バロック,上級天使
きっとそう遠くない未来について
久しぶりに会った幼なじみの金沢キツネは、以前とは少し『違って』いた。「……お前か」 ドアを開けるなり、キツネは僅かに眉をひそめた。「お前で悪かったですねえ」 口を尖らせるとキツネはため息をつく。「なんだいきなり。へそ曲がりは相変わらずか」…
その他バロック,金沢キツネ