青い空に
青空のような人。それが、最初の印象。その人は城下町を走りまわっていて、いつも忙しそうにしていた。背中に立派な剣と盾を背負っていたから、旅人なんだってすぐ気が付いた。時折立ち止まって、町の人に話を聞いては笑顔を振りまく。端正な顔をしているから…
ゼルダ短編時の勇者
言葉の意味を知るより先に
「ちょっとリンク、休むときはわたしの家に泊まってって言ったじゃない。なんでマリンの家行くのよ」「だって、女の子一人の家に泊まるなんて」「いいじゃない別に。わたしたち恋人同士なんだし」「そうだけど……でもなあ」「でも何よ。なにか問題あるわけ?…
ゼルダ短編※,夢島
きみとみたゆめ
「あーくそっ!あといっこ鍵がみつからん!」あたしはゲームボーイから顔をあげて叫んだ。ちくしょー、ここ開ければあとはボスだけなんだけどな。地図にもう宝箱の印がないとこを見ると、うえから降ってくる系なんだろうか。厄介だな……。「うう、今日はもう…
ゼルダ短編木の実
何よりも深く
ダークは私にやさしくない。一応、私たちは想いが通じ合った仲なんだけど、それも私が好きって言っただけで、返事はもらってない。頷いただけ。あれ、それって私が勝手に思い込んでるだけなのかな。本当は別に私のことなんて好きでもなんでもなくて、浮かれて…
ゼルダ短編勇者の影
空からしあわせ
※スカウォまだやってない。ゼルダの口調がわからんので想像。リンクとゼルダとわたしは、幼馴染。子供の頃はよく3人で遊んだりしたけど、今はわたしだけ離れてる。なんでかって?それはとても難しい問題で。わたしはリンクのことが好きなんだけど、でもリン…
ゼルダ短編空の勇者
寂夜
明かりを消す。窓から差し込む月の光だけが、わたしの部屋をてらした。冷たい布団に潜り込み、体をぎゅっと丸める。「おやすみなさい」返ってくる言葉は、ないけれど。今はいない同居人に向けて。彼、リンクは、今どうしてるだろうか。月明かりの下で、眠って…
ゼルダ短編時の勇者
ドジな子
がちゃん。派手な音を立てて、壷が割れてしまった。「はドジだなー」「う、うるさいな」あわてて屈み、破片を拾おうとすると、リンクに制されてしまった。危ないから、とわたしをのけてさっさと破片を拾い集めてしまう。もう、子供みたいな扱いして!「昔から…
ゼルダ短編時の勇者
もっと見せてよ
「……?」「ん、なにリンク?」わたしは料理する手を止めないまま、返事をした。「髪の毛。上げてるから驚いたよ」「ああ、ちょっと邪魔になってきたからね。で、何か用事?ごめん今ちょっと手が離せないんだ」「そっか。じゃあ後でいいよ」……とは言ったも…
ゼルダ短編時の勇者
離れてやらない
「ねーリンク。いい加減離れてよー」「んー……」さっきからこうして、リンクがわたしの背中にひっついたまま離れようとしない。「ね、もうそろそろご飯作らないといけないから」「後でいいだろ」「リンクー……」何を言っても、動く気配がない。わたしは困り…
ゼルダ短編時の勇者
桜の八日
主の行き先は分かっていた。確証があったわけではないが、彼女が行くとしたらそこしか考えられない。まるで何かに導かれるように、おれの足は止まらず走り続ける。幾度も辿った道。ある時は気晴らしだと、またある時は皆と祭りだと。主とともに紡いだ思い出…
引き継ぎ本丸ととろろ蕎麦
山茶花の二十六日
山茶花の二十六日 地面を舞う枯れ葉の数も減り、風景から色が失われて行きつつある時分。迫る年末に向けて本丸はにわかに忙しさを増していた。普段の出陣や遠征に加え、本丸内の大掃除や、年末年始は閉まる万屋街へ必需品の買い出し等、やることは山積みだ。…
引き継ぎ本丸ととろろ蕎麦