ふたりのかえりみち

へとへとになるくらい暑かった日中とはうってかわって、午後は涼しい風が吹いていた。
空が真っ赤に染まって、雲が紫色にたなびいていてとてもきれい。
その中を、わたしとリンクは並んで歩いていた。

「涼しくなってよかったな」

「そうだね」

会話はあまりないけれど、逆にそれが心地よい。
何も言わなくても通じるって、そんな仲ではないんだけど。
なれたらいいなあ、って、いつも思ってる。
だからこんな風に並んで歩けるのがとても嬉しくて、いっそ手を取ってしまおうかなんて考えて。
そんな勇気ないなって諦める。
さっきから、その繰り返し。

「未登録名前、どうかした?」

「えっなんでもないよ」

さっき、何も言わなくても通じる仲じゃないって言ったけど。
リンクにはわたしの考えてることわかるみたいで。
たまにこうして先回りする。

「フフッ」

「な、なに?」

突然、リンクが笑い出した。
かと思えば、

「未登録名前って結構、わかりやすいよな」

「え……っわ」

リンクがわたしの手を取った。
つまり、手をつなぐ。

「俺、この時間がずっと続けばいいなって思ってる」

「それって」

「ゆっくり歩こうか」

わたしが望んだことがかんたんに叶ってしまって。
ちょっとだけ恥ずかしくて、でも嬉しくて。
優しくリンクの手を握り返した。