むっつめ

光の雫が全て集まると、リンクとミドナは光に包まれてどこかへ行ってしまった。
光の精霊を復活させるために集めていたというから、きっとそこへ行ってるんだろう。
うーん、やっぱり不思議な世界だ。
わたしは教会入り口で待つことにした。
しばらくすると、ミドナと、見慣れない青年がやってきた。

「やあ。さっきはありがとう」

「え?」

金髪碧眼の、青い瞳をした青年は、さも親しげにわたしに話しかけてきた。
当然、わたしには分からない。知らない人だ。でもミドナが一緒にいる。
どういうことなんだろう。

「やっぱり分からないか」

青年はちょっと困ったように笑って、自分の耳を見せた。
そこには、見覚えのある青いピアス。

「え、それ、リンクが」

「うん。俺がリンク」

「え、えええ!?」

なんで!?どうして!?
リンクって、狼だったんじゃないの!?
なんで人間の姿に……。
わたしがいっぱいハテナマークを頭に浮かべていると、ミドナがククッと笑った。

「前言っただろ。人間は、トワイライトでは魂になる」

「う、うん」

「こいつの場合は特殊でな、狼になっちまうのさ」

「へえ、そうだったの。……ってそうじゃない!」

わたしはリンクに背を向けて、顔を覆った。
ってことは、てことはだよ。

わたし、リンクに、き、きっ、

「そーいやオマエ、リンクにキスしてたなあ!」

「わああ言わないでよばかあああ!!」

振り返って、ミドナをたたこうとした。しかしミドナはするりと脇を抜けて、思いっきり笑いながらどこかへ行ってしまった。
ひ、ひどい!ほんとうにひどい!
こんな状態で、どうリンクと接すればいいの!
頭の中がぐるぐるして、思考が止まる。

「あーあのさ。未登録名前」

わたしはどきりとした。
だって、リンクって、すごく整った顔してるんだよ。
金髪で青い瞳で、声もよく通るいい声。
そんな人にわたしは……。
あーもう考えたくない。

「あのさ。俺、嫌じゃなかったよ」

え?
わたしは思わず振り返っていた。
にこにこ笑顔のリンクが、そこにいた。

「未登録名前にキスされて、嫌じゃなかった」

それって。
またわたしの思考が停止する。

「未登録名前は狼の俺のほうがいい?」

「そっそんなことない!」

反射的にそう答えていた。

「よかった。俺もできればこっちのほうがいいから」

「……そう、なんだ」

リンクはわたしに歩み寄って、顔を近づけた。
驚いて動けないわたし。そして、

「俺からもキスがしたいから」

唇にやわらかい感触が降ってきた。