「……未登録名前?」
「ん、なにリンク?」
わたしは料理する手を止めないまま、返事をした。
「髪の毛。上げてるから驚いたよ」
「ああ、ちょっと邪魔になってきたからね。で、何か用事?ごめん今ちょっと手が離せないんだ」
「そっか。じゃあ後でいいよ」
……とは言ったものの、リンクはなかなかその場を動こうとはしない。
わたしが不思議に思って、振り返ろうとしたそのとき。
ちゅっ
「っ!?」
首筋に、やわらかい感触。
思わず手を止めて振り返っていた。
「普段みえないからさ、未登録名前のうなじ。きれいだなって思って」
「だ、だからって……」
「うん、首から肩にかけてのラインもきれい」
そう言って、ぐっとわたしの首に顔を近づける。
ばしっ
「あいたっ」
わたしはリンクの頭をはたいていた。
「いい加減にしなさいっ!」
今度から髪の毛を上げるのはやめておこう、と思った。
するとリンクが「髪あげないの?」なんて聞くから、「誰のせいよ誰の!」とまた怒ったのだった。