外国の人からすれば、キスなんて日常茶飯事で挨拶代わりのものなのだろうけど。
れっきとした日本人であるわたしからすると、いまだに慣れない習慣なのであって。
「つまるところ、恥ずかしいんですがソニックさん」
「Uhmmm…そんなお前もカワイイけど、いい加減慣れてほしいもんだね」
そんなこと言ったって、育ってきた環境が違うからってどっかの歌じゃないけど。
別に、そう、恋人同士だからそういうのがあってもおかしくない。
おかしくないけど、やっぱり慣れないものは慣れない。
それに、さ。
キスなんて挨拶ってことは、他の人にもそういうことしてるのかなって。そう思ったら、やっぱりやだなあって。
自由を愛する彼を束縛するようなことはしたくないから、言えないけれど。
「こら」
「ひゃ」
うつむいてたら、鼻をつままれた。
「なーに考えてんだ?」
「なっなにも!あ、わたしそろそろ夕飯の準備を――っわ!」
立ち上がったところに腕をつかまれ、バランスを崩したわたしは、ソニックの下に。
「なあ、」
顔が近くて、吐息がかかる。
突然の出来事に、わたしの思考回路は停止しかけていた。
「お前にしかしないんだぜ?こんなこと」
「え、そ、それ」
わたしの言葉は、彼によってのみこまれた。