キスの日

「ぬわあ~疲れた~」

今日一日の授業を終え、私は机のうえに倒れこんだ。
ようやく期末テストが終わったので、疲労感がどっと押し寄せる。

「おつかれさま、未登録名前ちゃん★」

顔を横に向けて見上げれば、まぐろくんが立っていた。
さして疲れたふうでもなく、いつもどおり爽やかだ。
まぐろくんは頭がいいから、テストなんかへでもないんだろう。実にうらやましい。ちなみに私はお察しの通り。
これでも私たちは付き合っているという関係なのが不思議だ。

「疲れたなら、はやく帰ろうよ★」

「あーうん……それは分かっているんだけどね」

私は両手をぶらぶらさせながら目を閉じた。

「はっきり言うと疲れすぎて動きたくない」

「えー……★」

まぐろくんが、なぜか嫌そうな声をあげた。

「どうしたの、そんな露骨に嫌そうな」

「だってさー★」

するとまぐろくんは私の手を握って、自分の口元にもっていき。
いきなり手首にキスをした。

「ちょっ……!」

周囲に人がいるので大きな声はだせなかったが、裏返るほど動揺した声と顔は、そばにいるまぐろくんにはばっちり見られていたわけで。

「テストで忙しくて、かまってくれなかったから★」

だからって人前でそういうことをするのはやめてくれないか。