ホワイト・アウト

「佐々木くんってさあ、」

同じ委員会の女の子と、二人で教室に残って仕事をしていたときだった。

「なんだい?」

その子とはあまり話したことがないから、ずいぶん唐突だなと思った。

「佐々木くん、いつも楽しそうにしてるけど、それって本当?」

……ずいぶん、唐突だなと思った。
彼女は真っ直ぐにボクを見ている。

「質問の意図がわからない、なぁ★」

嘘。
本当は分かってた。
けれど答えるのが怖かった。
だってこんなにも真っ直ぐボクのことを見ている。

「わたしね。時々、佐々木くんのことが見えなくなるんだよ」

どうして。今ちゃんと見ているじゃないか。
答えようとしたけど、声が出せなかった。

「クラスのみんなといて、笑ってて。そういう時に、佐々木くんが光に呑まれたみたいに見えなくなる」

ボクは今どういうカオしてるんだろうな。
少なくとも、笑ってはいないだろう。
真っ直ぐボクをみる彼女の顔は、悲哀に満ちたものだった。

「ごめんね、変なこといって。でもどうしても気になったんだ」

「……ボクは、」

笑ってないボクを見つけた子は、りんごちゃん以来だったんだよ。