ボクの私の勝負事情

強者だけが登ることを許された塔が、ここプワープアイランドに存在する。……というか、ほほうどりが勝手に作ったとかなんだとか。
そんなことはどうでもいい。今重要なのは、目の前の敵を倒して、さらなる高みを目指す。それだけだ。

「さすがに、今のはこたえたでしょ……」

私は肩で息をしながら、目の前の敵……まぐろを睨みつける。

「なかなかきいた……よ★」

まぐろは息こそあがっていないが、その声音にはいつもの余裕がない。
普段味方でいるやつが敵になるというのは、やりづらいしなにより手強い。
だが、手強いだけにやりがいも感じている。自分の腕がどこまで通用するのか、全力を出して戦うというのはやはり気分がいい。
相手も同じことを思っているのだろう、ここまで戦った相手も手を抜くことなく全力でぶつかってきた。

「じゃあ、ちょ~っとだけ、本気をみせちゃおっかな★」

まぐろの言葉に、私は身構えた。
次はどんな攻撃をしかけてくるのか。得意技は攻撃を割りこませる、通称「追撃」だが、まぐろの本質はそこじゃない。本気を出す、と言っている以上、やはりあの、

「きらっ★」

「わああああああ!?」

叫ぶと同時にまぐろの開かれた前髪のむこうから目をそらし、そのはずみで思いっきり転んだ。

「ちょ、そんなんアリか!必殺でしょーが!」

「必殺って、なにも殺すわけじゃないんだから★」

「ある意味殺されるわぼけー!」

まぐろが前髪から手を離しても、まだ心臓がどきどきしている。
それは、転んだからとか驚いたからってだけじゃない。口には出せないけど、自分が一番よくわかってる。

「でも、いいの?」

「なにが」

「見なくて★」

いつもなら絶対に出そうとはしない、まぐろの素顔。
おそらくいつもと違う勝負でテンションが上がっているからで、この機を逃したら、もう。

「そんなことより!私は塔を登って自分のチカラを示したいの!」

「そっか★なら、しょうがない★」

私とまぐろは再び構え、勝負を再開した。

(ちょっとだけ……残念★)
(アレで落ちるまえに落としてやるんだ)