レジスタンスとクリスマス

「輪つなぎ出来たぜー!」

「お疲れシルバー!ソレそのままそっちの壁に!」

「あっぼくがやるよー!とべるし!」

「テイルス!エミーたちどうだった?」

「料理はあとちょっとかかるって!」

「了解!じゃあシルバー手伝ってあげて!テイルスはモミの木の飾り準備で!あの二人そろそろ戻ってきそうだし!」

「オッケー!」

 エッグマン軍から世界を取り戻し、初めてのクリスマスを迎えた今日。一度はバラバラに散ったレジスタンスだけれど、こんな日ぐらいまたみんなと会いたい。そう思って声をかけたら、みんなも同じことを考えてくれてたみたい。あっという間に、元レジスタンス軍司令本部は華やかなパーティ会場に早変わりした。

「大丈夫か。無理はするなよ」

 エスピオにぽんと肩を叩かれる。立案者だからと朝から動き回っていた私を気遣ってのことだ。そんな些細な気遣いでさえも何十倍に感じてしまい、私は満面の笑みを浮かべる。

「ありがとう。でも、楽しくって!」

「……そうだな。拙者もまた、貴殿と会えて良かったと思う」

「なーにーえすぴお、くどいてる?」

「なっなにを!拙者はただ……!!」

「大丈夫だよーその気はないって分かってるからさ」

「それもそれで複雑だ……」

「おおーい!モミの木持ってきたぜい!」

 そこへ、ひときわ大きな声と木が運び込まれてきた。ツリーに使う木を担当したベクターとナックルズが帰ってきたんだ。二人が背負っていたモミの木を垂直に立てると、なんと見上げるほど高い。2m近くはあるんじゃないだろうか。

「わあ、随分大きいね!」

 するとナックルズはへへっと笑った。

「おう、モミの木はエンジェルアイランドでも育ってるからな。いっちばん上等なやつ持ってきたぜ」

「切り出したのは俺様だからな!」

「いばんな!俺もやったっての!」

「あはは、二人ともお疲れ様!ちょっと休憩してて。あとやっちゃうから」

「「いや手伝う!!」」

 二人は声を揃えると、部屋の飾り付けを終えたシルバー、チャーミーとツリー飾りを運んできたテイルスに加わり飾り付けを始めた。そのはしゃぎようといったら、やれ星は最後に付けるだの、やれデカ過ぎて飾りが足りないだの、すごい騒ぎだ。いつもは諌め役のテイルスも、大好きなクリスマスとあって率先して意見している。

「ウフフ、すごい騒ぎねぇ」

「ホント。もうちょっと静かにやれないのかしら」

「ルージュ、エミー!お疲れ様」

 料理を担当していた二人がやってくる。あとはチキンが焼き上がるのを待つだけなので、オメガに任せてこちらの様子を見に来たのだとか。

「そうそう、さっきシャドウから連絡あったわ。もうすぐ来るそうよ」

「本当!?よかった、間に合わないんじゃないかって思ったよ」

するとエミーがクスクスと笑った。

「アタシはシャドウが来るってほうが驚きだけどね。こういうの嫌いだと思ってたわ」

それには同意だった。シャドウは一人を好むので、てっきり断るものだと思っていたが、意外にも二つ返事だったらしいのだ。しかも、遅れるからクリスマスプレゼントは僕が用意しておく、だなんてらしくないセリフを添えて。らしくないけど、断られると思っていたから、余計に嬉しかった。私はその時のことを思い出して、自然と笑顔になる。

「不思議よね」

「ルージュ?」

「ちょっと前までは、みんな命を賭けるような戦いをして、街だってまだ完全に復興してない……なのに今、こんなに笑顔で溢れてる」

「ホント。アタシも同じこと考えてたわ。大変な戦いだったし、もうあんな思いはしたくないけど……絆が深まったのは間違いないのよね」

絆。その言葉に、私は深く頷いた。それと同時に、いない顔を思い出して、無意識のうちに手を胸にあててぎゅっと握る。
みんなと会いたい。そう言ったのは私だけど、叶えたのは、実は私ではない。レジスタンス軍の柱とも言える存在。その彼が自慢の足でもって、散っていったみんなに声をかけてくれたのだ。おかげでこうして集まれたのだが、肝心の彼がここにいない。また、どこかふらりと旅に出てしまったのだろうか。

「……そんな、辛気臭い顔すんなって」

ナックルズの声に顔を上げれば、準備を終えたみんなが私を見つめていた。

「アイツのことだ、今にきっと来る」

「おう!俺様のカンもそう言ってるぜ!」

「そーそー、まずはたのしくやろ!」

「案外騒ぎを聞き付けてやってくるかもしれないぞ」

「それに、レジスタンス軍の柱は君も同じなんだからさ」

「そうよぉ。主賓が楽しまなきゃダメよ?」

「オレ、あんたと知り合えて本当よかった。だから今日は目一杯騒ごうぜ!」

「最初から来れなかったアイツが悔しがるくらい、盛り上がっちゃいましょ!」

「みんな……」

エミーが私の手を取った。その暖かさに目の奥が熱くなったが、すぐに頭を振って笑顔を返した。

「……どうやら間に合ったようだな」

「シャドウ!」

振り返れば、シャドウが扉を開けて入ってくるところだった。いつの間にか外は日が落ち、夜に差し掛かっている。冷気に身震いするが、シャドウはなぜか扉を閉めなかった。

「遅くなった。プレゼントを用意するのに手間取った」

「そんな、気を使わなくても」

「使わなければ、君が後悔するだろう?」

「どういう、」

意味、と言いかけて、やめた。
開けたままのドア、そこに影が差し掛かる。目の覚めるような青色。それが、二つ。

「Sorry! ちょいと遅れちまったが、レジスタンス軍『全員』で、今日は思いっきり楽しもうぜ!」

「ソニック!!」

私は、ソニッククラシックソニック、両方に飛びついた。来られないんじゃないかって思ってたし、クラシックソニックに至っては諦めていたから。だから、本当に嬉しくて。今日は最高のクリスマスになることが決まったのだった。

「……って、なんかコゲくさくないか?」
「あっオメガーー!?」
「あらやだ、アタシとしたことがすっかり忘れてたわ」
「見テイロ、トシカ聞テイナイ」
「融通きかないんだからもう!!」
「だっ大丈夫だよエミー!!表面だけだから!!表面削ればなんとか!!」

Merry christmas!!!