「全く、とんだ茶番だな」
後ろからかかった声。
クルークのようでクルークでない、魔物のほうの声だった。
あざけるような口調の魔物に、クルークはそちらを見ずに言う。
「……何か文句でもあるのかい」
「いや?貴様もよくやるものだと思ってな」
そういえば、この二人が並んでいるところを見るのは初めてだ。
見れば見るほどよく似ている。まるで同一の肉体を使っているような。
実のところ、私はこの魔物の素性をよく知らない。強大なチカラを持っている魔物、ということぐらいしか。
特に知ろうとも思わなかったし、それよりこいつのチカラをどう運用するかのほうが重要だった。
こうして並んでいるのを見ると、少し、気になってきた。
「ねえ、――」
「そもそも、クルークがはっきり言わんのが原因だろう。この私に嫉妬していると」
「は、え、嫉妬?」
そんな私の疑問は彼方へ吹っ飛んだ。
「なんでそれを言うんだよ!」
クルークも、さっきまでの威圧的な態度から一変する。
っていうか、
「否定しないの?クルーク」
「うぐ」
「後は勝手にやってくれ。私は知らぬ」
「おっおい!卑怯だぞ!」
魔物が去って、残されたのは私とクルーク。
……えーっと。
クルークが魔物に嫉妬してたって、ことはさ。
そういうことだって、思っていいって、こと?
「あ、あのさクルーク」
「なんだいなんだいみんなして!ボクをいじめて何が楽しいっていうんだ!」
「ちょ、」
「ああそうさ!ボクは嫉妬してたさ!キミにかまってもらえるあいつが羨ましくて仕方なかったよ!それがどうしたっていうんだ、ボクだって好きな人に振り向いてもらいたかったよ!」
「クルーク、落ち着いて」
「これが落ち着いていられるかー!うわあああん!」
泣き出してしまったクルークに、私が言えることがあるとしたら。
「ね、聞いて。私ね、クルークのこと」
「嫌いだっていうんだろうわあああん!」
「違うよ。私、クルークのこと好きなんだよ」
「……ふぇ?」
(やっぱり違う存在だ)