再会の空
エッグマン軍の脅威は去った、とは言っても、街はまだまだ復興中。あっちこっちでトンカンやってるし、私のお店も完全とは言えない。そんな中で外食しようとか酒を飲もうっていうような酔狂はいないわけで、つまるところ、私の暇はまだまだ続くっていうもんだ。
に、しても暇だ。昼となりゃぁ一人くらい酔狂がいてもいいと私は思うよ。まあ、こちらもそこまで余裕があるワケじゃないのだけれど。
なんて、取り留めもないことを考えてカウンターにぱたりと倒れてみれば、ドアががちゃりと開いた。どうせいつもの郵便配達員だろうと思い適当に返事をすると、
「待たせるな」
跳ね起きた。カウンター席に座っていたのは、ここいらでは見たことないひとだった。黒い毛並みに左右で色の違う瞳。その瞳には私から見て左側に大きな傷がある。
きっと彼も、この戦いで傷ついたに違いない。
「おお、お客だ」
「店に客が来て違和感か」
「いやぁ滅相もない。でも、街まだこんなだし、仕入れも十分じゃないし、店だって狭いしさ。よく来てくれたねぇ」
「気が向いた。それだけだ」
その言葉に、私は一つ笑みを零した。
「さて、ご注文は?」
「そうだな……と言うより何が出来るんだ」
「んー昼だから軽食?とすれば、サンドウィッチとか……あっでもパンがなかったや」
「それでよく店を開けたな……」
「いやちがくてですね。今日仕入れ予定だったん……いや本当だって!ウソだと思うならあっこの店でパン受け取ってきてよ!仕入れ先だから!」
「客を走らせる気かお前は!」
「やだねぇ助け合いでしょうが!こんな時なんだよ!」
彼は思い切り苦虫を噛み潰したような顔をしてから、席を立つ。
「……入れるものを寄越せ」
「あら優しい」
「いいから早くしろ!」
私は大きめの箱を彼に手渡し、その背中を見送って、
「そう言えばさ」
「なんだ」
「キミ、友達いない?」
「……」
「ごめんて!そんな睨まなくっても」
「友達と呼べるかは不明だが」
姿が扉の向こうに消える瞬間。
「つるむ奴らは、いる」
「……そういうのを、友達と言うのではないのかな?」
残った私はニヤける顔を抑えつつ、早速二人分の昼食の準備に取り掛かった。