刀剣:日本号と笹貫

「おう、いい飲みっぷりだねえ」
「まーね。薩摩の男舐めてもらっちゃ困るなぁ」
「そういやあんたは薩摩の出か。どおりでな」
「そう言うアンタは……福岡、だっけ?」
「今はな。それより前は、まぁ色んな土地や持ち主を渡り歩いたもんだ」
「呑み取りの槍、槍に三位の位あり……か。随分と大事にされてたんだね。アンタは」
「はは、なんだぁ?羨ましいか」
「……そりゃあね。何しろオレは何遍も捨てられてるし?」
「その都度戻って来たんだろ?だから今ここに在る」
「……求められたワケじゃない。オレが帰りたくて帰ってきたって、それだけ」
「ふぅん……」
「だから、色んな人に今なお求められてるアンタが、ちょーっとばかし眩しいんだよね。……たはは、なーんて」
「ばぁか」
「ば……」
「過去はどうでも、今はあんただって求められてんだろーが。でなきゃ本体だって残ってねえ、刀剣男士にもなってやしねぇよ」
「……、」
「いいか?カミサマってのは、人の信仰無くしてあり得ねぇんだよ。肝に銘じとけ若造」
「……オレ、鎌倉生まれなんだけど」
「励起されて一年も経ってねぇんだ。若造だろ」
「そっか。……そっかぁ」
「つーことで、早いとこ強くなって、俺が酒だけ飲んでりゃいいくらいに活躍してくれや」
「それは、ヤだな」
「あぁ?」
「アンタの祝杯に付き合えなくなる」
「……っはっはっは!違ぇねぇ!」