「……わ、日本号さん。髪の毛すごいことになってますね」
「ん、ああ……くせ毛に雨は天敵だな」
「良かったら整えてあげましょうか?」
「いいのかい?んじゃ頼むとするかね」
「じゃあそこに座って……髪、ほどきますね」
「ああ」
「……ふふ、なんだか新鮮ですね。髪を下ろしてる日本号さんって」
「そうかぁ?まぁ確かに風呂上がりぐらいしか下ろしてねえか」
「もしかして、よく乾かさないまま結んでません?傷んじゃいますよ」
「へえへえ」
「適当なんですから……櫛、痛かったら言ってください」
「おう。…………あー、なんだ」
「? どうしました?」
「いや。存外心地良いもんだと思ってよ」
「な、何言ってるんですかいきなり……」
「なあ、これからはたまに頼んでいいかい」
「い、いいですけど……別に私じゃなくても」
「いや。あんたの手がいい」
「……からかうのはやめてください。はい、おしまいです」
「ん?なんだ、俺は至って真面目だぜ。好きな女に髪を結ってもらうのがこんなに心地良いもんだとは思わなかったからなぁ」
「は……!?」
「ありがとさん。また頼むわ」