反対性類似色

反対性類似色

あいつを召喚してからというもの、私は忙しい日々を送っていた。
なにせ、あいつのチカラを引き出すためには私がもっと強くならなきゃいけない。そのためにはたくさん勝負をしていかなければ。
それまで使い切ることがなかったやる気も魔力もすぐ底をつくので、その間に次の目標を立てて効率をあげるための計画をする。
やっぱり、私の手の余る存在だと思い知らされた。
だけど。
あいつと約束したんだ。退屈はさせないって。それに何より、私自身が、あいつの本来のチカラを見てみたいと思うようになっていた。

「……まだやってたのかい」

「あ、クルーク」

呆れた声に振り向けば、部屋の入り口で腕組みをしているクルークがいた。

「何度もノックをしたのに気づかないとは、ずいぶん集中しているじゃないか?」

言葉だけを捉えれば、褒められているようにも見える。
しかしクルークの口調は不機嫌そのものだった。

「なんでちょっと怒ってるの?」

「別に?不真面目なキミがよくやるよと思って」

やっぱり怒ってる。
そういえば、クルークとあいつってどこかしら似てるんだよね。姿や声、性格も。
あ、だから惹かれたのかもしれない。

「そんなに、あいつがいいのかい」

「んーそういうことに……なるのかなー」

素直に返すと、クルークはよりいっそう不機嫌になって。

「ああそうかい!邪魔したね!」

ばたん!と乱暴にドアを閉めて去って行った。
なんでクルークは、あんなにも怒ってるんだろーか?