–アニメ2期のこと
「ナッコはさ、もしわたしがメタレックスに捕まったら、助けてくれる?」
「は?」
マスターエメラルドの手入れをしていたナックルズは、わたしの言葉を受けて一瞬呆けた。
まあ、当然の反応だと思うけど。
「もしもの話だよ。しかも今すぐにでも殺されちゃうーってなったら、どうする?きてくれる?」
「どうする、ってなあ……」
ナックルズは案の定、腕組みをして考え込んでしまった。
彼のことだから、こんなもしもの話でも大真面目になってくれるって分かってた。
だからすごく嬉しくて、わたしは思わず笑みをもらした。
「なに笑ってんだよ。お前が聞いてきたんだろ」
「ごめん、ナッコは真面目だなーと思って」
「悪かったな!」
「そう怒らないでよ」
とは言いつつも、やっぱり笑顔になってしまう。
それを見たナックルズはすっかり機嫌を損ねてしまい、鼻を鳴らしてそっぽを向く。
けれど。
「さっきの」
「え?」
「俺は、助けに行ってやる」
ぜったいに。
そう、彼は言った。
「……ありがとう」
「仲間なんだ、当然だろ」
当然、か。そっか。
その言葉がすごく嬉しくて、嬉しすぎて涙が出そうだった。
ナックルズがあっちを向いたままで本当によかった。
そのはずみで、本当のことを言い出しそうになったけれど、やっぱりわたしに、その勇気はなかった。
例え話をするくらいでしか、わたしには。
でもね、その約束、わたしどうなるか知ってたの。
(なんで、なんでお前なんだよ!)
(ごめんね、ほんとうにごめんね)
――あなたたちをだましていて
タイトル:坂本真綾