「…………は?」
ドクターの言葉を聞いて、私は口をあんぐり開けた。ドクターの気まぐれは今に始まったことじゃないが、今回のコレはあまりに突飛だ。
「理解できんかったか?」
ドクターはヌフフと気味の悪い含み笑いを浮かべた。私がこういう察しの悪い反応をすると大体機嫌を損ねるのだが、今日はいやにゴキゲンだ。椅子の上で踏ん反り返るという態度は変わらずなのだが。
「じゃから、お主をダシにして基地の連中にドッキリを仕掛けるんじゃ。で、その様子をモニタリングして楽しもうっていう計画じゃよ」
「いや、それは分かったけどね……『私がここを辞める』なんて言って、そこまで面白い反応が返ってくるの?」
「分かっとらんのーお主。あやつら絶対に慌てふためき動揺するに決まっとる!このワシが言うんじゃから間違いはない!」
まあ、確かに、基地内のみんなから良くしてもらってる自覚はある。オーボットやキューボット、メタルなんかは特に仲が良いとは、思う。だけど、冷静に考えて4月1日にそんなこと言ったら嘘だってすぐバレそうなもんだけどな。
だけどドクターはすでにウッキウキで準備を始めている。私はため息ひとつこぼしてから、ドクターのしょーもないイタズラを手伝うのだった。