ACT4. ???
「まったく……散々な目に遭ったわい」
「それはこっちのセリフなんですけどね」
メタルに思いっきりぶっ飛ばされたドクターは、私が手当した腹やら腕やらをさすりながらぶちぶちと文句を言った。自業自得である。……が、片棒を担いでいた私にメタルからの文句がない、ってのは安心したよーな逆に怖いよーな。
それはともかく、この一件でまるまる一日潰れたわけだし、明日からはまた世界征服に向けての計画を進めるってことになるんだろう。
「……ところで、未登録名前」
ドクターが、いきなり真顔になった。この期に及んでまだなにか企んでいるのか、そう思った時、
「お主を解雇する」
「……」
「ぬわぁーんじゃそのチベットスナギツネみたいな顔は!ちったぁ驚かんかい!」
「驚くか!みえみえだわ!散々その手の嘘ついてきたでしょーが!」
「何を言う。日付はとっくに越えとる。4月2日はホントのことしか言っちゃいけない日なんじゃぞ?」
「え、うそ!」
言われて時計を見れば、確かに、12時を過ぎている。ゴタゴタしてたせいで全く気づかなかった。エッグマンがそんな記念日に詳しいことにも驚きだが、ホントのことしか言っちゃいけない……ってことは!?
慌ててドクターを振り返れば、いつものニンマリ顔が飛び込んできた。
「ダァーーッハッハッハ!!!お主の慌てぶりは傑作じゃわい!」
「な、こ、この……ホントのことしか言っちゃいけないんじゃないの!?」
「なんのことじゃろーな?」
「このくそじじい……」
自分で言っておきながらズルすぎる!そんなの騙されるに決まってるわ!ドクターがズルい性格なのは今更だけど!
これ以上ドクターの横暴に付き合ってられない、そう思った私はずかずかと部屋を出ていく。
「ああ、嘘じゃ。エイプリルフールじゃないから訂正しとくぞい」
ドアが閉まる瞬間に聞こえた言葉に、私は思わず足を止める。
エイプリルフールは終わった。本当のことしか言っちゃいけない。私を解雇するというのは嘘。解雇の反対が、本当。
「……くそじじい」
そんな悪態も、こんな顔で言ってたら説得力ないんだろうけどさ!