「ですから、何度も申し上げますが僕はアンドロイドで」
「そうだね」
「……警官を補佐する立場でもあり」
「うんうん」
「重要な任務を遂行中です」
「そっかぁ。そいつは大変だ」
「……あなたは、どう説明すれば納得していただけるのですか」
「説明?そんなのいらないよ」
「では、一体――」
「私が欲しいのは、コナーくん。きみのハートなんだよ!」
そう言うと、彼女は白い歯を見せて笑った。その笑顔は『青空によく似合う』という形容句を思い出させた。
なぜかは、わからなかった。彼女の度重なる接触により感化されていったのかもしれない。
ハート。心。つまりは――感情。
「明日こそはきみのハートをがっちり掴んでみせるからさ、ここでまっててよね!」
そう言い残し、彼女はカフェテラスから足早に立ち去っていった。残った僕が彼女の飲み終えたカップのトレイを持ち、カップのゴミを捨ててトレイを店に返すまでが一連のやりとりになっていた。
僕が何一つとして持ち得ないものを、彼女はねだり続ける。それでも僕は、ここで彼女を待つことをやめたりしないのは、彼女の指令を受けたからか、それとも――