「あっメタルちょっといい――ってどしたのそれ」
振り返ったメタルの額には、立派なドクロの絵が描いてあった。手には大きな鎌と真っ黒いローブを持っているし、なんだか物騒な雰囲気だ。さすがに鎌の刃は潰してあるようだが。しかしメタルはどこか楽しそうにしている(ように見える)。
「誰かに描いてもらった?」
尋ねると、メタルはこくりと頷いた。この基地でそんなことしてくれるのは、オーボットとキューボットくらいだろうなぁ。でも何でドクロ?と少し考えて、
「ああ、もうすぐハロウィンか」
そう言うと、メタルは二回ほど頷いてみせた。メタルがこういうイベントを楽しむなんて意外すぎる。
「けど基地にいたんじゃハロウィンもなにも関係ないんじゃないかなあ……それともここでパーティでもするの?」
メタルは首を横に振ったが、急に壁の方を向いて、スクリーン映し出した。そこには……
「……ハロウィン乗っ取り計画?」
ドクターの新しい計画らしい。なんでも、ハロウィンで浮かれて油断している街に潜入し、内側からソニックを倒してしまおうという計画だった。しかも決まったのがついさっき。それで呼ばれてたのか……メタルにも声をかけておこうかなと思ったけどひと足遅かったみたい――って、
「私も潜入する計画か!!」
計画書にはしっかり私の名前と行動内容まで書かれていた。各地にリモコン爆弾設置……そのためだけに私まで仮装する必要あるのか?っていうか私はメカニックとして雇われているはずでは!?最後にちっちゃく「予定時間より早く終わったら街を散策してもよいぞ」とか書いてあるけど絶対終わる量じゃないよね!
がっくり項垂れていると、ぽんぽんと肩を叩かれる。スクリーンを消したメタルがローブを被ってこちらをじっと見つめていた。そりゃもうじーっと。
「……メタルに訴えられると、なんか断れないんだよね」
するとメタルは私の手をぎゅっと握って走り出した。
「えっうわっ!早い早い!」
私の足とメタルの足じゃ違いすぎて、何度ももつれそうになったがメタルは全く聞いてないみたいだった。そんなにハロウィンが楽しみなのか、それとも別の理由があるのか、今回は私にもよく分からなかった。
(ちなみに、計画はいつも通りソニックたちにぶっ飛ばされておしまい!)
(けど、メタルが頑張ってくれたおかげでちょっとだけ街をまわれたから、まあいいかな)